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爪の痛い話

中学生の頃塾に通っていた。クセの強い先生が多かったのだが、その中でも一人の先生が印象に残っている。何せ二十年近く信じ込んだ嘘を教えられたからだ。

その先生は文系で、古文も現国も教えていた筈だ。だから平安時代からある言葉の話になったのだと思う。それとも現国で略語の話になったのだろうか。とにかく先生は私に冷たいが略語なのだと言ったのだ。中学生だった私は素直にそれを信じた。いや私は基本的に他人の言う事を頭から信用するタイプなのだが。

「爪が痛い、が略されて冷たいになったんだよ」
「えっそうなんですか」
「嘘だよ」
「嘘かい!」

それは敬語も取れる。雑談も雑談であったからそのまま終わった。それから私は二十年近くその尤もらしいけれど嘘なのだと信じ込んでいた。それが先日テレ朝系ニュース番組グッド!モーニング内のコーナー林先生のことば検定で冷たいは元々爪が痛いという言葉だったと紹介していたのだ。嘘でしょ。

先生も誰かに引っ掛けられたのだろうか。それとも趣味だったのだろうか。そもそも冷たいは本当に爪が痛いの略なのだろうか。ずっとわからない。これなんの話?

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