見出し画像

ビジュアルアーツ専攻/佐藤若奈

秋田公立美術大学卒業・修了展2022  学生インタビュー  

秋田公立美術大学卒業・修了展2022が2月16日〜2月20日まで秋田県立美術館・秋田市文化創造館にて行われます。それに伴って、出展者全員にインタビューを行い、卒制に対する意気込みや大学生活について語ってもらいました。

ビジュアルアーツ専攻
佐藤若奈

──秋美に来た理由を教えてください 

何でもできそうだったからです。あと、実家から通えるから。幼少期は外で散策したり、テニスやヒップホップ、体を動かしていることが多かったのですが、中高生の頃は吹奏楽部でホルンを吹いていました。曲を演奏するよりも、そのために行うようなウォーミングアップや基礎練習が好きで、なので将来、演奏者や指導者ではなくて、そういうふうな舞台や楽譜の裏側の音と向き合う行為を続けることはできないかなと、秋美の領域を創造する考え方に惹かれて、ここでその手法を探りたいと思い選びました。

──秋美に来たからできたことはありますか?

1・2年生の頃は特に、専攻に所属していないのもあって、様々な分野の先生方や助手さんに話を聞きに行きやすかったです。制作でも色々な素材に触れることができました。何でも見聞きしてやってみるということが、すぐにできたこの環境に感謝しています。3年次から所属しているビジュアルアーツ専攻では、短期間で制作し展示する課題がいくつかあり、そのテーマごとにコンセプトや素材、手法などを絞り込む訓練になりました。制作や設営は何度も計画倒れして、周りにも迷惑をかけてしまい、作品にならなかったアイデアや試作も沢山できました。毎回ボロボロでしたが、今やっている制作の過程で、その経験が判断の基準になっていると感じることが多くて、生かすことができているのではないかと思っています。二年間は本当に短かったのですが、できないことが分かる・なぜできなかったか考える・できるまで試してみるというのを何度も繰り返すことができた貴重な時間でした。卒展ではこの恩を返したいです。

画像3

『休息(Screen)』2021

──これまでどのような作品を制作してきましたか? 

“見ること” に対して、意識的に見ているものを「図」、無意識的に見ているものを「地」と定義して、 それらを反転させることで「地(無意識)」の性質を記録していくことを目標に制作してきました。話の「間」って記録されないな、と考えていて、話している内容とか、その人がどういうふうに話していたかは言葉で描写したり、映像や音声で残せるけれど「間」は、前後の話や文章だったり音がないと確認し得ない。そういうものの「個」の性質を残すことに興味があります。具体的には、三年次の専攻展で出した作品が一番最初に間を扱ったもので、「話の間」と瞬きが持つ機能とリズムを題材としたインスタレーション作品を制作しました。

画像2

《まをはたく》2021

──卒業制作ではどのような作品を作る予定ですか? 

「間」について考えたことを継続して、卒制も「地」を図にしていくような作品を作りたいと思っています。 光景の「間」として、“見ること”に対する瞬きの機能に着目して制作しています。

──今後の人生設計を教えてください

面白いと思うことと楽しいことを大切に生活していきたいです。

画像3

《まばたく》2021

──1番好きな制作過程はなんですか?

制作の最初だったり途中だったり終盤だったり、主に割く時間は作品ごとに異なるのですが、普段過ごしていて関心を持った出来事とか言葉、その意味などを、とりあえず画面に書き出す作業があります。その後カテゴライズしていって、それを抽象的な言葉に置き換えて範囲を広げていきます。ピタッとする言葉と、展示場所と、そこから派生する経験や空間的なイメージの見え方が合ってくるまで、ノートや空間に描いたり投影したり流したり撮ったりのドローイングをして構想を絞っていきます。このように元になるアイデアの手法やコンセプトの手ががりを探している実験段階が結構長く、しんどいですが楽しいと感じます。

──制作のどんなところが好きですか?

流れから離れられて、置いてきたものを遡れるのが好きです。 あと人と話すような緊張感がないところ。でも人と話してるような安心感があるところ。気になるところを気が済むまで処理できるところ。自分は掃除と整理整頓が好きで、だから散らかっていたり汚れているのが好きなんですけど、それと同じ位置にあるかもしれないです。広げたり片付けたり整理したりを繰り返してると、これまで見えてなかったものを拾える時があって、それで個人的には何かがまとまったり、解決したように感じるところも好きです。


秋田公立美術大学卒業・修了展2022 SNS
twitter
instagram
facebook

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?