舞台観劇記録(2023-No.011)

祝!羽佐間道夫さん90歳記念公演
ボイスシネマ声優口演2023 in 有楽町

10月21日(土)・22日(日)
東京は有楽町での公演、全3回、観て参りました。
まずは、出演陣を…
知る人ぞ知るな凄い面々ですからして…
(敬称略にて、失礼をば)

企画・脚色・演出 及び全公演への出演
羽佐間道夫

10月21日
【昼の部】
井上和彦井上喜久子鈴村健一山寺宏一若本規夫
【夜の部】
井上喜久子・遠藤綾小野大輔武内駿輔千葉繁土井美加中尾隆聖浪川大輔安元洋貴
10月22日
【昼の部】
佐藤拓也林原めぐみ福山潤堀内賢雄・山寺宏一・若本規夫

ほか、サポート出演あり。公式ページにて参照されたし。

演奏
Tellers Caravan

スペシャルゲスト
大野裕之日本チャップリン協会 会長)
坂本頼光(活動写真弁士)

以上、どの方も声優業界にその人ありという方々ばかり。
声優ではないけれど、スペシャルゲストも凄い御二人、それは後程にて。

私がこの「声優口演」を知ることになったのは、2017年の、「第10回 したまちコメディ映画祭」にチャップリンの没後40年の特集として出展された際に観劇したことがきっかけになります。
検索から、当時の記事を映画ナタリーさんのとこで見つけたのでぺたぺた。

私自身が元々、チャップリン映画が好き、という前提がありまして。
また、広く声優さんに憧れと尊敬の眼差しを向ける私がありまして…
で、特に、山寺宏一さんの出演される朗読劇にはチケット運に縁があり、ちょくちょく観劇していることもあって…
今回の東京有楽町公演の全通につながった、と(笑:かなり間をはしょりましたがw

さて、公演の中身ついては…
ORICON NEWSさんやアニバースさんなどに写真付きの詳細な記事がありましたのでそちらを検索で手繰ってもらうとして…
私としては所感を交えて簡単に(?)まとめる程度に。

オープニングは、演奏を担当する Tellers Caravan の5人が演奏しながら登場、チャップリンの「モダン・タイムス」から、歌詞を書込んでいたカフスを飛ばしてしまった為にチャップリンが別の歌詞をあてた曲でスタート。

その後、羽佐間道夫さんと活動写真弁士の坂本頼光さんの御二方で登場。
声優口演をはじめるきっかけや羽佐間さんの原点にまつわるお話しを経て、まずはそのきっかけたる活弁を坂本頼光さんが披露し、次いでサイレント映画の最初期の作品に羽佐間さんが言葉を吹き込むとどうなるかといった感じに。それぞれ扱った作品名をば控えておこうかと。
 坂本頼光さん
  21日昼「喧嘩安兵衛」
  (ググった感じ「血煙高田の馬場(決闘高田の馬場)」と同じかな?)
  21日夜「石川五右衛門の法事」
  22日昼「日の丸太郎 武者修業の巻」
 羽佐間道夫さん(3公演共通)
  「幾つもの頭を持つ男」
  (仏題: Un homme de têtes 、英題: The Four Troublesome Heads )
  フランス 1898年 ジョルジュ・メリエス監督・主演 約50秒
坂本頼光さんによる活弁は、とても古めかしいなどとは形容できず、凡そ現代風に変化はしてるとは思いますが、今に息づく芸事の一つだな、と。
映し出される映像はモノトーンでも、素敵に色付いていると感じるほど。
で、羽佐間道夫さんの出番。
まずは無声映画をそのままに。
100年ちょっと前の映画、しかも1分に満たないものなのに…
映像だけで面白い…
そして改めて、羽佐間さんが声を重ねる…
即興とは言いつつも、恐らくは幾度も思考を重ねて、時事ネタも重ね、どのタイミングで何を言わんとしたいのか、羽佐間さんの培ってきた技術のその片鱗を味わえた感覚で…もちろんオーディエンスを前にした1発勝負でありますから、多少の揺らぎや口のまわりのままならない事も…けれどその上で尚、映像のみで面白かったものが更に現代風の面白みを加えて風刺まで…羽佐間さんのやりたいことの、なんとも…私などでは推し量りきれないほどに色々と考えてらっしゃるのかな、と思うに至る短くも濃い時間でした。

そうしまして次なるは、声優口演の本編、声優アンサンブルによるチャップリン映画へのアテレコ。まずは演目をば。
 21日・22日昼共通
 「チャップリンの霊泉(The Cure)」
 「犬の生活(A Dog's Life)」(山寺宏一さんの独演)
 21日夜
 「チャップリンの勇敢(Easy Street)」
 「担へ銃(Shoulder Arms)」

以下、所感。
4作全て、一応観た記憶あり。
でも、この声優口演のような奇跡の様なワンオフの機会は中々に稀で有難くも嬉しくて、同じ作品でも全く別物。

チャップリン・ワールド(昼共通)への誘いは、若本ワールドへの誘い(笑
本来なら笑いの起こるようなところではないはずの導入で、満場一致の笑いありで引込める声優さんをあげたなら…若本さんはその筆頭だろうなぁ…
随所にアドリブと思しき雰囲気たっぷり、正に若本節全開でさいこ~♪
中尾隆聖さん、サービスし過ぎと思えるアドリブ。ばいきんまんの「ばいばいきーん」や、フリーザ「こ〇しますよ」などをピンポイントで。
物騒な台詞なのにフリーザ様の台詞と思うとそうではなくなるのだから…
怖いですねぇ…知名度の高さと愛されっぷりが(笑
武内駿輔さん、緊張からか入りの担当が自分であることを失念する…あるある、だなぁ…佳くも忘れられない思い出になったことでしょうて(苦笑
山寺宏一さんの独演による「犬の生活」は、2017年にも観ていたので懐かしくもあって…台本なしの即興とは仰ってたとは言え、そこはやはり培ってきたものがゼロなわけはありませんから…もちろん羽佐間道夫さんの脚色もあるのかな?まぁそれでも、あれだけの時間を台本なしに通せる地力は圧巻の一言で終わらせるには足りないほどに素晴らしい至芸でありました。

ほかにも堀内賢雄さんのイケボだったり、千葉繁さんのアドリブだったりと色々と書きたいことが山ほどあるはずなのに…チャップリン映画の面白さと、声優口演の調和のとれた完成度の素晴らしさで…刻一刻と全体の佳さばかりが頭に残って細部の記憶が…どんどんと薄れゆく…

ほか、MC・終演際など、所感など含めて。
鈴村健一さん、眼鏡を持ち込み忘れる。井上和彦さんには直前で打ち明けてたらしく、心配で仕方なかったと。
”おいおい”あっての17歳と自ら仰る井上喜久子さん、ことある毎に羽佐間さんからいじられる(笑:”はじめから40歳”のくだりは特に笑いをこらえられなかったですw
また夜の部で、声優口演の大阪公演の日付が12月17日と紹介があった際には「17」に釣られて自ら拾いに(笑:昼の部では拾ってなかったですw

日本チャップリン協会の会長、大野裕之さんも凄い方だった…どんな無茶振りにもしっかりとチャップリンにまつわるお話しとして披露されて…
以下、その無茶振り単語。
 鈴村健一さん :(とんこつ)ラーメン
 武内駿輔さん :有楽町
 林原めぐみさん:(固い)プリン
 佐藤拓也さん :赤頭巾
また、羽佐間道夫さんとも縁の深いシルベスター・スタローンの、その主演映画「ロッキー」(1976年制作)をチャップリンが晩年(1977年12月に亡くなっている)に観てたんだとか…そんな情報、どんなに検索しても出てこないよ?凄いなぁ…ほかにもチャップリンにまつわる貴重な写真の数々を見せて頂いて…凄いしか出てこない(苦笑

今回の声優口演で私自身に一番印象深く残ったのは、21日夜の部の「担え銃」とその終幕の際の羽佐間道夫さんのナレーション。
東京有楽町3公演のうち、この夜の1回のみでしたが…チャップリンがこの「担え銃」に込めた想いと、羽佐間道夫さんが演目に取り上げた想いを、自分なりに…心にずっと留め置きたいと、そう思うに至る回でした。
もちろん楽しかった、が1番表面の感情でいいと思うし…深刻に思い悩んだとしても、できることは微々たるものしかないとは思うけど…忘れないことが大事かな、と…
世界中から争いが無くならずとも、連鎖する憎しみが断ち切られ、佳い人生だったと誰もが笑いながら最期の時を迎えられるような…そんなもの夢だと馬鹿にされようとも…そんな世界を望みつつ…今回の乱文はこれまでにて。

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