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囲碁HotWeek(2023年12月16日)

囲碁界では、年内の七大タイトルは既にその工程が全て終了しており、現在進行しているタイトルの多くは来年の予選や本戦が行われている。
ここ数年の中で一番強者が揃っていると名高い名人戦リーグが既に熱い対局が目白押しで熱気を帯びている。

1.棋戦情報

1-1.名人戦リーグ

来年の芝野虎丸名人への挑戦者争いを競う名人戦リーグの出場者が、囲碁界の顔的な一流棋士が勢ぞろいしている。

1.井山 裕太王座
2.一力 遼棋聖
3.余 正麒八段
4.山下 敬吾九段
5.許 家元九段
6.関 航太郎天元
6.張 栩九段
6.志田 達哉八段
6.富士田 明彦七段

井山王座の対戦相手が、許、一力(2月対局)となっており天王山は、棋聖戦の真っ只中に行われる一力 vs 井山 戦であろう。
この対局に勝った者がリーグ戦の先頭に立つ可能性が高く、挑戦者の可能性も高いであろう。

それでは。今週の激熱名人戦リーグを振り返ってみよう

1-1-1.一力遼棋聖 vs 張栩九段
中盤まで、均衡した好勝負が継続していた。黒番の一力遼棋聖の大模様と要所要所の小技がさえわたる。張栩九段といえば昭和から平成の歴史を築き上げた名棋士であり、コウの張栩と名高い。

コウの名手と呼ばれる張栩九段が、一力遼棋聖にコウ材有利な事を背景に中盤過ぎにコウ絡み好手で優位に立ち、そのまま寄せ切った。
超一流棋士の争いでは、地合いが均衡している事と、コウ材の少なさ即ち味の少なさや利きの少なさが勝負に直結すると感じた。一力遼棋聖の名局だった。

1-1-2.山下 敬吾九段 vs 志田 達哉八段
志田八段といえば、石がドッシリとして手厚い布石で慌てず騒がず細かい内容にした上で、確りヨセ勝つという棋風で、中堅一のヨセ力を持つ棋士です。
山下九段といえば、剛腕で石を攻めるのが得意にな棋士の印象が非情に強いですが、実は陣地にも非常に辛い側面も持ち合わせている。
山下 vs 志田戦は、棋風が逆だと思う位に山下九段が隅、辺を中心に稼ぎまくり志田八段が逆に中央に厚く構える内容となった。
非常に難しいヨセが中盤から終盤まで継続していましたが、山下九段が確定地の優位性を活かして細碁を逃げ切った。

1-1-3.余 正麒八段 vs 富士田 明彦七段
黒番の富士田 七段が中央に力を貯めて盤面全体を使う持ち味の攻撃を主体とした棋風に対して、余八段が辛く陣地を稼ぐ展開となった。
終始黒番の富士田七段が手厚い碁形を維持しており、地合いでも5目前後優位な状態が続いた。終盤まで最善を尽くしたヨセを打ち切れば黒の名局そして完勝だったのですが、余八段が最善のヨセを尽くして僅か半目差で終局直前のコウ争いを制してゴール直前で捲った。

名局だっただけに落とした富士田七段としては終盤のヨセが悔やまれた。
逆に余八段としては、後半に諦めずに最善を尽くした手順は流石だった。

2.今週のイベント

2-1.群遊2023

毎年出演者が豪華になっていく年に1回の囲碁界のチーム戦群遊。
このチーム戦は囲碁界の顔として育てて大きくしていきたい。
今年のビッグゲストは井山裕太王座で多くの方が来場されています。

3.その他

今年もあと少しですね。
年明けのアマチュア界の各種団体戦が終わるとあっという間に春先の各地区予選が開始されます。

年々日本囲碁界は、プロもアマもプレイヤーの囲碁偏差値がガンガン上がっているので、取り残されないように踵一つで踏ん張っています。
最近、思ってきたのですが、囲碁は体力が本当に重要であり、集中力を切らさないための体力作りも大切だと痛感しています。

読者の皆様も風邪等を引かず良い年末をお過ごしください。


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