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囲碁HotWeek(2023年11月3日)

11月初旬というのに暖かさで、昼は上着が要らずに夜は肌寒いという不思議な季節感の中、今週の囲碁界は感動の名局が多くあった。

1.今週の棋戦

1-1.棋聖戦

来年1月に開催される囲碁界で一番賞金が大きい棋聖戦。
現在の棋聖戦は、一力遼棋聖・本因坊が所持している。
その一力遼棋聖への挑戦者決定戦は、井山裕太王座が許家元九段に勝ち切り挑戦者となった。今年、一力遼 vs 井山裕太戦の死闘がありましたが、タイトルフォルダーと挑戦者の立場を替えて来年1月から熱いタイトル争いが行われます。

1-2.名人戦

芝野名人4勝2敗で名人防衛

囲碁HotWeekをご覧に頂いてる読者の皆様に、この勝敗を分けたポイントを1つ説明するならば、名人戦第6局の前に開催されていた王座戦第2局井山王座対余正麒八段戦の半目差が勝負の彩となっている。

本第6局が開催される前に井山裕太王座は、
・王座戦第2局
・棋聖戦挑戦者決定戦
が実施されていた。王座戦は井山裕太王座が優勢だった内容を余正麒八段の粘り強さで半目差し返した内容だった。そして、棋聖戦挑戦者決定戦は井山王座が王座戦の半目差を引きずらない内容で勝ち切っていた。

そして、今回の名人戦第6局1日目は、井山裕太王座の絶妙のツケから黒の大模様で華麗な技が決まり、1日目の時点ではAIの判定で5~6目白有利な展開で封じ手となった。
トッププロ同士で半目~1目差という極まて機微な差を競っているハイレベルな戦いでは、5~6目分優位というのは望外な儲けだった。

2日目では、優勢を意識した井山王座に固さが感じられ、逆に負けを覚悟した芝野虎丸名人は諦めずにその盤面盤面で最善の一手を求めていった。
終盤まで1目半白優位な状況が続いていたが、ヨセの手順で芝野名人が捲って最終的には2目半黒勝ちの局面となり、井山裕太王座が投了した。

この対局では、解説に井山裕太王座と長年タイトルを競ってきた戦友(とも)である張栩九段と河野臨九段の解説が感慨深かった。長年、井山王座と前線で戦ってきた解説は、趣が深くて価値ある解説ばかりだった

©囲碁将棋TV 

画面左上左側が張栩九段。画面左上右側が河野臨九段。
河野臨解説者が、張栩九段や鶴山八段と局面の検討を楽しそうにしている様子を拝見すると、根っから囲碁を愛しているトップ棋士って、考えている時って最高に楽しいんだなと感じました。

芝野名人と井山王座の対決を彩る解説は、最高でした。

最近の井山先生の負けパターンの一つに強敵相手に序盤で5目以上の優勢をしている時に危ないですね。そして、張栩先生が語っていたように持ち時間は、終盤に向けて最低1時間残していた方がいいかも知れない。今回の第6局目は、時間配分の上手かった芝野名人が後半の勝負所で冷静に最善を尽くしていたので、この辺りも関係しているかもしれない。

ファンとしては、七番勝負の鬼として最終局がみたかったです。
でも二人のトップ棋士の名局を視聴できて、私は棋力が向上しそうです。

アマチュア囲碁ファンの方々には、封じ手を超えた辺りから芝野名人の手順を並べ返して下さい。非常に勉強になる名局で特に中盤から終盤にかけて焦らずにジワジワとヨセていく名人の1手1手を味わい尽くすだけで、相当棋力アップが見込めます。

アマチュア六段位までは、細かいヨセ勝負の囲碁に強くなり、焦り過ぎずにヨセを強くなるだけで相当な棋力アップが見込めます。

3.王座戦

11月14日(火) 10:00から日本棋院チャンネルでLive配信されます。

2.今週のアマチュア大会

2-1.虎丸カップ子供囲碁大会 11月26日(日) 日本棋院

各階級で優勝すると、芝野名人と囲碁を打てる特典が有ります。
※.芝野名人は、この大会を楽しみにしている子供達を背中に背負って名人戦に挑んでいてたかもしれない。

1-2.群遊2023 囲碁オールスター団体戦

2023年12月16日(土)
今年も名古屋コンベンションホールで開催される囲碁のチーム戦群遊。
前売りチケットが既に販売開始されています。

詳細はHPでご確認下さい。私は「平成ビック5」が時代なので、このチームの選手構成がツボです。

3.その他

年内も後少し、囲碁界の棋戦を観戦すると1年間経つのが本当に早いです。
気温の高低差が激しいので、風邪などを引かぬよう良い囲碁Lifeをお過ごしください。


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