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囲碁HotWeek(2023年12月23日)

今年も後1週間程度と少しになりましたが、囲碁界では各種棋戦におけるね熱闘対局が多く存在しました。

1.棋戦情報

1-1.名人戦リーグ

井山裕太王座と許家元九段の初戦がYouTubeチャンネル囲碁将棋TV -朝日新聞社-で12月21日ライブ配信されました。

双方、初戦でリーグ戦の勢いをつけたい対局のため、落とせぬ大切な1局でした。

白番井山裕太王座の174手中押し勝ちで幸先の良い1勝を得ました。
この試合は、井山裕太王座がキレキレの内容であり、その辺りを少々解説したいと思います。

  • 白30コスミツケ1本で白32の大きな押さえにまわったのが実践的

  • 黒35ケイマに対する白36から48までの露骨な稼ぎが実践的

  • 黒は、白48まで稼がれたため、厚みを背景に左辺白を内部から破壊するための黒51、黒53と仕掛けたが、この狙いを楽しみに右辺大場先行でもゆっくりした囲碁だった。

  • 白80までのわかれをみると黒は中央と下辺を分断したものの、白地を少しつけられた上で、大きな戦果を挙げられなかった。逆に後の手順に出るように黒77と黒95のケイマのツケコシを睨まれており、黒の嫌な展開となる。

  • 103、104と覗きを交換した事により、白の大石は後手活きが確保されている。(参考図1、参考図2)

参考図1

黒1と外壁をやんわり封鎖気味にすると、最終手段として生きるだけなら白2の掛けで生きが確保されている。白4に黒5は黒3の1路上の割り込みを防いで必要な手となる所が味噌です。

参考図2

黒がカケに対して、黒3と目を取りに行くと今度は白4とソっているだけで左辺の黒石1子を確保できる。以上の事から、外壁を黒番から完璧に封鎖されても後手活きは確保されています。

白112のケイマのツケコシから白126の筋から白128ツケ、白130ツケの鮮やかな筋から眼系を確保したり、形作りの秀逸さを是非味わって欲しい。井山王座の当日の調子の良さが伝わってきます。

尚、このLive配信終了後3分前に解説の高尾九段と対局終了後の井山裕太王座の感想戦は、タイトル戦で井山 vs 高尾戦を見てきた世代には、感慨深いものがありました。

名人戦リーグは、日本を代表する棋士が揃っているだけで開幕から非常に勉強になる名局が多いです。今後も注目対局がライブ配信されるはずなので、是非注目したいです。特に2月開催予定の一力 vs 井山戦は見逃せません。

1-2.棋聖戦FT

来年1月から開催される第48期棋聖戦は一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦することが確定していますが、既に第49期棋聖戦の予選が開始されています。
注目したい点は、アマチュア4名勢です。

一覧表に掲載されているブルーの色がアマチュアです。

  • 杉田俊太朗アマ

  • 村上  深アマ

  • 横塚 元輝アマ

  • 津田 裕生アマ

アマチュア囲碁界で活躍されている方々ばかりです。
そして、棋聖戦FTにおいて日本囲碁界最年少プロ棋士である藤田怜央(ふじた れお)初段10歳が、囲碁Youtuberとしても人気が出始めている中根直行九段に勝つという金星を挙げました。将来が楽しみです。

中根九段が対局前、10歳棋士を前に、胸の張り方と背筋の伸ばし方が最高に素晴らしいです。先輩棋士としての威厳を醸し出しています。

1-3.阿含・桐山杯

明日、12月24日(日)12:00から第30期阿含・桐山杯の決勝がLive配信されます。この試合は年内最後の一力棋聖 vs 井山王座戦であり、双方とも来年1月から開催される棋聖戦の事を考慮すると、この1局は意地でも制して相手の出鼻を挫いておきたい所でしょう。
来年の一力棋聖 vs 井山王座による棋聖戦の前哨戦として非常に熱い決勝戦となっています。

2.大会・イベント情報

2-1.群遊2023

出演者も豪華だし、年々参加者増えていると思います。
井山裕太王座が特別ゲストとして解説をしていたり、今を時めく女流5人がガチ系プロ棋士に挑戦していたりと非常に面白い大会です。
特に、来年韓国に行かれる仲邑菫女流棋聖と張栩九段の対局が非常に面白かったです。
優勝は、平成ビック5(山下敬吾、高尾紳路、張栩、羽根直樹、河野臨)が勝ち連覇をされました。ザ・フォーカス(林漢傑、蘇耀国、平田智也、鶴山淳志、鈴木伸二)チームが、今打てている中堅で体力もある棋士ばかりだったので、このメンバーに勝った平成ビック5の貫禄は流石です。

2-2.新春有楽会 2024年1月14日(日)

日本棋院有楽町囲碁センターで行われる打ち初めのための大会です。
当日は関航太郎NHK杯が来られます。

2-3.第2回 fuie囲碁フェスティバル
参加費は13,500円と値が張りますが、抽選で当たる賞品が良い物ばかりだったり、多くのプロ棋士と指導碁が複数回楽しめます。

来年1月以降も囲碁界のイベント盛りだくさんです。
各地域によって、囲碁の大会やイベントが異なりますので、年末前に日本棋院HPから確認しておきましょう。

3.その他

つ、遂に囲碁ロボット君が正式公開されました。
お値段、16万5,000円とちょっと高価なPC1台分です。
各家庭に導入するには、プレステ5の値段まで頑張って値下げして欲しいです。

Wifiなどの通信機器を整備している碁会所は、高価ですが導入効果高いです。この子1人が常駐しているだけで、あらゆる段級位者を相手できる上に宣伝効果高いので、席数の多い都市の碁会所は導入するメリットが非常に高いです。

囲碁ロボット君が常駐している碁会所です!とSNSで宣伝するだけで客数増えると思います。

囲碁って強くなると人vs人の戦いだと、負けるとF●ckと思ってしまうのですが、相手がAIロボットだと参りましたと潔く負けを認められるのが良いかも知れません。

年内も後少しですが、正月明けからの棋聖戦やアマチュアの各種イベントも目白押しです。

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