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2 姉とわたし

私には2歳上の姉がいる。
これが大層よくできた姉で、姉妹ネタに有りがちな
「比較されたら絶対に不利」な姉でして、
子供の頃からそれを自覚して生きてきた。

外向きの姉は優しくて頭も良くて努力家で、
先生から見ても友人達から見ても「優秀ないい子」だった。
ただ、家ではそんなこともなく
私は外っ面の良い人なんだと思っていた。

父親は4人兄弟の長男で、長男の子供、初孫ということで
父系の祖父祖母には物凄く可愛がられていた。
ここまで違うのか!と思うくらいに
露骨な贔屓に悲しんだ時期もあったけれど、
物心ついた頃には諦めることにした。

姉は長女が故の母親独占欲も強く、
例えば母と姉と私の3人で買い物に行っても必ず母の隣を独占した。
狭い道路を3人で並んで歩くことが厳しい場所でも
必ず母の隣にいたがった。
私はそういうことも諦めた。
いつも1人でスタスタ前を歩くか、
フラフラと後ろを歩くような子供だった。

反抗期が強い姉を見て育ったせいか、
私には姉のような反抗期はなかったと思う。
5歳下の弟がいるので、本人が自覚していないとは思うが
姉の独占欲はかなり強かったのではないかと思う。

特別、仲の悪い姉妹でもなかったが
私と姉の考え方や行動は明らかに違った。
優しく大人しい姉と思ったことをハッキリと言う個性的な妹。
周りの大人は私のことをとても扱いにくかったと思う。

姉は地元の大きな企業に就職した。
一方の私はやりたい事があって
短大を卒業しても就職せずにアルバイトをしていた。
途中で数年就職したけれど、すぐに自分で別の道を歩むことになった。
この段階でも親から見ても
「安心な姉」と「いつまでも心配な妹」
でしかなかったと思う。
普通の、よくいう一般の考え方からしたら
どちらが良いとされているのか、
他人様から見る評価は私も充分理解していた。


そんな姉が結婚することになった。
姉は昔から「結婚して子供が欲しい」女性だった。
私は違った。
私は昔からどこか漠然と「子供はいない人生だ」と思っていたし、
結婚すらしないのではないかと思っていた。
もう、とにかく全然タイプが違うのだ。
ただ、そんな私を姉は一度も否定した事がない。
常に理解してくれようと努めてくれた。

姉は本当に心優しい人と結婚した。
私にとっては初めて出来たお兄さん。
姉はこのお兄さんと結婚して、とても柔らかな表情をするようになった。
そして醸し出す雰囲気がとても温かくなった。
昔感じていた「外っ面の良い人」という印象はいつの間にかなくなって
自然体な姉になっていった。

相変わらずしっかり者の、気丈でがんばり屋さんなところは変わらず、
2人の子供に恵まれ、悪戦苦闘しながらも頑張って生きている。
姉の(勿論お兄さんも含む)子育てはそれは見事で
お子たちもとても優秀だし、がんばり屋さんだ。
「結婚して子供が欲しい」と思って生きてきた彼女にとって
大正解な人生だといつも思う。



自分の生き方とは真逆の生き方をしている姉を
私は認めているどころか尊敬もしているし、心から良かったと思っている。
どこに出しても恥ずかしくない、自慢の姉(笑)だ。

子供の頃の私が諦めたり、辛かったりした記憶は消えることはないけれど、人生長く生きてくると、いろんな気持ちや思いって本当に変化する。

人は其々の生き方が大事なのであって
他人と比べたり、無理に合わせたりするものじゃないんだと強く思う。
そして自分とは違う生き方を否定するのではなく、
ちゃんと認めたり、応援できることが
自分にとっても一番心地よい状態なのだと思う。

2人でお婆ちゃんになったら
一緒に旅行をしたり、温泉に行ったりしたい。
ちょうど今の母と叔母のように。


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