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不安のメカニズム

コロナ禍の折、自殺者が増えています。人が自殺を選ぶのは未来を考えたとき、今より幸せな未来、希望が抱けないからです。自殺したい気持ちを払拭するには、不安な材料を取り除くしかありません。ですからまずは、私たちがどうして不安に陥るか、考えていきましょう。

ヒトは不安を強く感じやすくできている

霊長類ヒト科が地上に降り立ち生活を始めた時、マンモスやクマなどの巨大な生物、ライオン・チーターといった獰猛で素早い生物に、ヒトはなすすべなく捕食されていました。10万年前のヒトは地上のヒエラルキーで高い位置にはありませんでした。なので恐怖を感じやすいことは、生き残るための重要な機能だったのです。肉食獣の残飯中の残飯、ほかの動物が見向きもしなかった骨のなかの脊髄を、ストローのような道具で吸ってようやく生き延びてきました。人類史700万年の中でホモ・サピエンス以外の人類種が全て絶滅したことが、人類種の弱さを物語っているといえます。
やがて道具と知恵(認知)を駆使してマンモスを狩る技術を身につけ、ほかの肉食獣と対等以上になったのが紀元前25000年程で、野犬に襲われない安全な住居をこしらえてから3000年ほどしか経っておらず、ヒトはその間急激な発展と文化を形成してしまったので、生物としての進化が追い付いていません。百獣の王として君臨し続けているライオンのように堂々と振る舞うことは難しいのです。
徐々に資本主義で能力を発揮するような強いリーダーシップを持った個人の力がもてはやされるため目立ってはいますが、一方で共感力の弱いサイコパス性を持つ人は社会から疎外されるためダイバーシティにそぐわないとみなされることもあります。一長一短の多様性の中で、ヒトが明確な遺伝子の変化が認められるには、膨大な時間か大きな天変地異が必要でしょう。

ちなみに一般的に不安は喜びの2倍強く感じやすいと言われています。

不安が不安を呼び、負の感情を繰り返す負の連鎖

例えば電車の乗り降りで肩がぶつかった際に、失恋の悲しみに苛まれたり、上司への怒りが再燃したといった経験はありませんか?
脳の仕組みでは、恐怖や怒りをつかさどる偏桃体は、記憶をつかさどる海馬と隣接しています。そのため、感情の記憶を呼び起こしてしまうことがあります。これは「洞窟で寝ていたらクマの寝床だったので襲われそうになった」などといった死の恐怖を、2度と経験しないために思い出しやすいよう備わっているもので、「肩がぶつかった」→「失恋したからだ」などといった関連は実は全くありません。
そして「洞窟には何かいるかもしれないので危険」という可能性がある限り、知識として洞窟の中の情報を知らない状態では恐怖を感じやすいという「未知への恐怖」が備わっています。たぬきの寝床を見て「きっとこれはクマだろう」と離れるのも、クマの寝床を見て「きっとこれはたぬきだろう」と思い込むのも自分を安心させるための勝手な作用に過ぎません。この場合悲観的か楽観的か、どちらがより長く生きながらえるか想像できますよね?我々の祖先は多く臆病者こそが生き残ってきています。
しかしたとえクマの寝床を知らなくても、たぬきより大型の獣が入れそうだとか、足跡や血の匂いがするといった知恵を働かせることによってその場を離れることが出来ます。そのような言語化が出来ない「なんとなく嫌な予感がする」というのが感情の記憶です。
スーパーのイオンでは認知症のお客様に対し「なんとなく嫌な感じがするから行きたくない」という潜在的な記憶を植え付けてしまった経験から、どのようなお客様にも丁寧な対応をするべく心がけているといわれています。

日本の教育とニュースが不安を煽っている

人に限らずほとんどの生き物は、より長く生きるための「多様性」を求めて個体を分け、生命を紡いでいます。人間社会に於いても、個人の力より役割分担をした方が効率よく物事を進められることを、民主主義が証明しています。(現在は中国のような独裁的社会主義国が、中央集権的にテクノロジーの発展を推進し、経済的には豊かになっているように見えますが、それは果たして長続きするのか、新しい発見をもたらしたり、多様性のある種の繁栄に役立つかは疑問です)
日本の戦後教育は画一的な答えをもたらす問題に固執し、無能な利権主義者たちが、自ら考える有能な若者が現れることを拒み続けました。その結果、ルールに縛られることでしか自身のアイデンティティを見出せない者が非常に増えました。自粛警察などといった他人に正義を押し付ける輩も目に余る状況です。
また、自分が考えた幸せだと思い込んでいるレールも、誰かが敷いたものの場合が多いです。昔の女性は25歳までに結婚しなければならなかったのが、30歳までになっています。大学卒業から子供を産みやすい年齢というくくりでそのように言われていますが、子供を産むために結婚するのではないし、大学在学中も結婚できるので実は何の根拠もありません。社会がなんとなく誘導した共通認識です。
何より無料で溢れている情報のほとんどは恣意的で、金稼ぎを念頭に置いているます。広告は当然ですが、人気商売や環境問題に至るまで、都合の良い解釈や、切り取ったデータによる購買誘導の可能性が高いことを覚えておくと良いでしょう。
それから、日本のマスコミやテレビも既得権べったりで、甘い汁を吸いまくっているので自分たちに都合の悪い報道をしません。一部の省庁から優遇されているのですから、そちらについても隠そうとします。新聞が軽減税率の対象になったことからも明らかでしょう。さらには、人の不安は喜びの2倍感じやすくなっているので、視聴率を取るために強い表現で結論を持たず、事件や事故ばかりを放送しています。海外の衝撃映像を垂れ流すワイドショーは特に陰険に感じます。また新型コロナの感染者数報道について、さすがに疑問を感じた人も多いのではないでしょうか。

まとめ -不安を感じないためには-

対策を講じる前に原因の解説が長くなりましたが、不安に対抗するのに最も重要なことは、自分自身に何が起こっているかを理解することです。そうすることによって、「不安」と距離を置くことができ、他人に振り回されることは少なくなります。
特に情報と距離を置くことをお勧めします。そうすれば他人と比べたり、不安や怒りを覚えることが少なくなります。クリエイティブで、広告のない、noteだけ読めば良いでしょう。

そして何か不幸が起きたとき、生命を脅かす事件や事故でもない限りは、たまたま失敗しただけの話で、運命や星回りと関連付けないで、大したことないと切り替えることが大切です。
好奇心を満足させるための挑戦も、失敗はつきもので、2倍の悲しみが襲います。しかしそれも当たり前で気のせいなので、チャレンジし続けましょう。本来変化は新しい経験を得る可能性を含む、生物にとって楽しい作用なので。

死ぬほどつらいこと、あるかもしれません。でもあなたが死んでしまうと、私たちも悲しいです。生活や将来の不安は、テクノロジーがそのうち解決してくれます。だから不安の連鎖を断ち切り、幸せの糸口を見つけることに専念してください。そのときお互い少しでも、共感できることがあれば幸いです。

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