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はじまり: 起業家の才能 3

「何を教えてくれてもいいんだ、経済学に引き付けてくれたら。ただし..」「ただし?」
「英語で教えてくれたら」
私はすぐにその友人の言葉の真意がわかった。
関西で英語で経済学の分野を英語で教えられる教員が見つからないのだ。
その友人とは旧知であった。
私は京都大学経済学部に入学する一年前に滋賀大学に在籍していたが、その友人はその時の同級生だった。
友人関係は長く続き、増補社会原理序説の構想に随分と協力してもらった。
そして、その友人はそのの構想を随分と評価していた。それは私が生きた振幅の広い人生から絞り出した社会理論だったが、実はスタートアップのための哲学的指南書とも言えるものだった。

その頃、気鋭のマルクス主義経済学者、斎藤幸平がいた。そういう大阪市立大学時代の経済学部で非常勤講師とは言え教鞭を執るのは非常にチャレンジングな試みに思えたし、何よりも英語で授業を担当するのが私自身にとっても面白かったのですぐにその提案を受け入れた。

教え始めるにあたって、その友人の研究室を訪ね、大阪市立大(現大阪公立大)杉本キャンパスにある「めたせこいあ」という教員がよく使う食堂でランチを食べた。

その友人は「さかはら、君に担当してもらうクラスには経済学部の上位1、2%の学生が集まるだろう。彼らの才能を開花させてやって欲しいのだ」と言った。

一年目には学問を志す勤勉な学生がいた。

二年目になり私の授業に参加したのはまだ高校生のようにあどけない二回生の女子学生、藤川だった。

(続く)

さかはらあつし
株式会社ロジグリッシュ共同創業者

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