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一般財源と特定財源【歳入】

 だいぶ更新があきましたが、頑張っていきたいと思います。今回も歳入の話です。だいぶぶっちゃけて言うと地方自治体の予算にはお金に「ひも」がついているのがあります。 お祭りの屋台でひっぱるやつ?ではないです。特定の事務や事業にしか使用できず、その基準や条件に反する支出が認められないものを特定財源(いわゆる「ひもつき財源」といいます。特定財源には主に国庫支出金(国からの負担金、補助金など)、都道府県支出金(都道府県からの負担金、補助金)、公共施設や行政サービスなどの使用料・手数料、起債(公共施設や消防車両など購入するためのローン)などがあります。

予算書を見るときに大事なこと

 行政の予算書を見るときに財政担当からみて一番大事なことは、その事業にはどれだけ特定財源が入っているのか、逆に言えばどれだけ一般財源が投入されているのかということです。どういうことかというと、例えば1億円の公共工事で特定財源が9千5百万円、一般財源が5百万円の事業があるとします。もう一つは修繕事業で事業費2千万円が全て一般財源とした場合、どちらが町で事業をやりやすいのかと言えば1億円の公共工事の方なんです。なぜかというと事業費に対する一般財源の額が修繕工事の方が多いので、事業費を捻出するのが難しいということなんですね。すなわち一般財源をつかう事業は他の事業と一般財源の取り合いになっているということなんです。
なので、予算審議において事業費が多い!けしからん!ではなく事業の財源としてどのようなものが特定財源として充当されているかということをきちんと理解していなければなりません。

特定財源で気をつけたいこと

  事業に国補助金などが充当されて、ヒャッホー何でもできるぜーと行きたいところですがそうは行きません。国や都道府県から補助金が出されるということは補助要項に従って事業を執行しなければならなくなります。よく議会の予算審議の場でこうしたらいいのに何故やらないのかという質問がありますが、やらないのではなくできないのです。仮に補助金の要綱を無視して独自に事業を行った場合、その後の会計検査などで補助金の全額返還などもありえます。
 また、同じ特定財源でも気をつけなければいけないのが、基金(貯金)からの繰出金と起債(借金)です。基金からの繰出金は特定財源に区分されていますが、繰り出す原資は決算時の繰越金や寄付金、税収などを財政調整基金に積み立てたものが多く元々は一般財源だからです。起債については広義では借金なのでその後に返還していかなければならないので後年度の支出が増える要因となります。起債については難しいのであらためて説明したいと思います。

特定財源は少ない方が良いのか?

 一般的には特定財源より一般財源が多い方が自治体経営上、自主的な事業ができるとなっています。まあ理屈上はそうなのですが、過去にさかのぼってみると、昔は国から地方への補助金が多く国の財政もひっ迫していた時期がありました。小泉内閣時代にその財政難を解消しようと郵政民営化など様々な施策が行われました。その事業の中に三位一体改革というものがあり記憶されている方もいるかと思います。
 具体的には、国から地方への税源移譲、国庫補助金の一般財源化、それに伴う地方交付税の制度改革です。
 この中で問題は国庫補助金の一般財源化と地方交付税改革で、どういうことかというと、具体例であげると公立保育所の運営に対してかかった経費の50%を国が、25%を都道府県が補助金として支出していたものを、補助金の交付ではなく普通交付税の算定基礎に「入所児童1人当たり〇〇円」として計上されるというものです。この算定基礎はいろいろな推計値から算出されるのですが、自治体の経費の平均値などを主に使用しているため特に人口の少ない費用効率の悪い自治体はかなりの財政出動を強いられました。一応税源移譲によって自主財源が増えるとのことでしたが、人口の少ない自治体にはわずかな増額しかありませんでした。この政策自体、国の財政ひっ迫の解消が目的なので当然といえば当然ですが。
 このことが要因で財政が悪化した自治体が増加し平成の大合併を生み出す要因になったのではないかと思ってます。
 個人的にはひもつきでも何でももらえるものはもらってしまえと思うんですけれどね。
 ちなみに画像は家庭菜園のカモミールです。いっぱい採れたら販売しようかな。


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