僕が学んだシリコンバレー

シリコンバレーに来て3カ月ちょっとを終えたので、今日はこの3カ月間で感じたことや学んだことをまとめる。

実際にこういったシリコンバレー情報の記事はネット上に溢れていて、実はそれを徹底的に調べることでほとんどの情報は手に入るが、そもそも何を調べたらいいのかわからないと思う。

なので、ここでは僕がシリコンバレーに来て知ったことを完全に僕の主観で書くことにする。


文化
1.実現可能性なんて気にしない
2.自由な国ではなく自由なやつらの国
3.近すぎる人々
4 .人種差別に敏感
ビジネス
5.インプットとアウトプットの質
6.ビジネスに興味がある人だけではない
7.Fake it till you make it
マインド
8.学生だなんて通用しない
9.FIRE
10.スピリチュアルな力
11.計画的偶発性理論


1:実現可能性なんて気にしない

これはよく言うYes Andのコミュニケーションの話で、否定せずに相手の意見をくみ取ってアドバイスを付け加える人が多い。

実際に僕が「日本でスタートアップエコシステムを作ります!」と言ったときに

日本では「政府が出来ないのに、本当にできると思う?」に対して

シリコンバレーでは「それはまた大きく出たね~ そういえば○○ではこういった取り組みがあるよ!」という反応だった。

否定は自分の固定概念を押し付けているだけなので、基本的に何も生まれない。自分が持っている関連した情報(ヒント)を与えることに価値がある。


2:自由な国ではなく自由な奴らの国

これはシリコンバレーに限らずアメリカは自由の国だと思われているが、自由な人たちの国というほうがあっていると感じた。

実際に法律は厳しく、30代でもバーの年齢確認などは徹底されているが、人々のマインドがよく言えば自由で、悪く言えば適当なのだ。

バスの運転手はいきなりバスを止めてマクドナルドを買いに行くし、ファストフードの店員は客より友人との会話を優先する。

適当な話でいうと衝撃だったのが、電車に乗っていた時のこと。僕の隣にいた女性(乗客)は自転車を持っていたので、スタッフがその女性に話しかけた。

スタッフ「ここは自転車用の車両じゃないから隣の車両に移動してくれる?」

女性「じゃ、次の駅で移動するね」

スタッフ「よろしく」

しかし電車は次の駅で、降りて移動し始めた女性を気にすることなく扉を閉めて出発した。

あの駅は1時間に1本しか電車が来ない。女性も少し怒っていたが、すぐに諦めてベンチに座った。あの出来事は未だに理解できない。


3:近すぎる人々

アメリカ人はフレンドリーと言われるが実は地域によって違う。カリフォルニアの人々はとてもフレンドリーで、特にサウスベイと言われるシリコンバレー、サンフランシスコの人は異常に距離が近い

カフェで座っていても隣の人が話しかけてきたり、知らない人でもすれちがう時に「Hello」という時がある。

しかしそれを望まない人もいる。例えばニューヨーク出身の僕の先生はそのコミュニケーションを変だという。

電車で話しかけられることがよくあるが、話しかけないで欲しいらしい。「私は本を読みたいの」と言っていた。


4:人種差別に敏感

これはアメリカ全域だと思うが人種的な発言やLGBT関連には気を付ける必要がある。

ジョークなのかもしれないが、英文でたまにある「he/she (彼か彼女)」が見えない時、僕はだいたいheを使うそが、その時にちょっとしたディスカッションが始まる。

なんで男と思ったの?

そして下手なことを言うと「Racist (人種差別主義者)」と言われる。

特にカリフォルニアはダイバーシティで、サンフランシスコにはヒッピー文化からきたゲイの街がある。あまり深刻になりすぎる必要はないが、そういった面があることは知っておくべきだ。

日本では人種差別なんてしない(無縁)と思っている人も多いと思うが、「黒人が怖い、中国人はうるさい、韓国人を下に見ている」というのもの人種差別になる。

そして僕には何人かゲイの友達がいる。そんな彼らは「日本にもゲイはたくさんいるけど、彼らは告白できない。」と言っていた。なのでこういったダイバシティ的な考え方は他人事と思わずにそれぞれが持っておいた方が社会として良いと思う。


5:インプットとアウトプットの質

シリコンバレーに来ると大きく成長できると思っていたが、そこの間にはちゃんとしたロジックが存在した。それがインプットとアウトプット質の向上だ。

シリコンバレーには学生も社会人も優秀な人達が集まってくる。ここには日本人に限らず世界中から様々な分野のスゴイ人がいる。

そんな人達と話すのだからたくさん知識(共通認識)を増やして、さらに自分自身の意見がないと相手は価値を感じてくれないし、2回目以降の機会があるかわからない。

結果的に必死に勉強して、さらに物事の本質を見るようになる。会話の後にはお互いに新たな気づきがあってそれについてまた調べる。

この流れが結果的に成長に繋がっているのだと思う。


6:ビジネスに興味がある人だけではない

シリコンバレーには意外にもテクノロジーやビジネスマインドを持たずにゆったりと暮らす人もたくさんいる。

僕は皆がプログラミングが出来て、外国人はみな仕事のためにここに来ていると思っていた。

しかし僕の語学学校の友人はほとんどが語学留学で来ていて将来の夢もやりたいこともないという。僕が起業するというと驚いていた。

気候が良くて自然豊かで、治安が良いこの地域は決してビジネスだけではなく生活環境としてのニーズも高い。しかし地価がとんでもなく高いため、ビジネス以外の目的でこの環境に来る人は特徴として裕福であることが多い。


7:Fake it till you make it(実現できるまでは偽る)

これはハーバード大学のビジネススクール准教授のエイミーカディーがTEDで話した有名な話で、「大きな目標を持ち、偽りながらも取り組んでいくうちに実現に近づいていく」というもの。

この考え方がシリコンバレーにはある。いいのか悪いのかわからないがそういった意味で嘘を言う人はたくさんいて、それが嘘になるのかどうかは誰にもわからない。

例えば、「血液一滴で様々な疾病を検査できる」といったセラノス元CEOのエリザベスホームズには多額の資金が集まったが、そのプロダクトは嘘だった。

一方で、人類を火星に移住させようとするイーロンマスクには「民間ロケット開発なんてできない。嘘つきだ。」という声が集まったが、打ち上げには成功した。

つまり結果的に実現できればすべて正しいし、その前のできるかどうかの議論よりはどうやったら実現できるのかを議論することに価値がある。


8:学生だなんて通用しない

来る前はシリコンバレーにはギブ&テイクの文化があり、何かギブできるものがなければ話にならないが、学生は別だと聞いてきた。

確かにそれは正しくて学生だというと話を聞いてくれてアドバイスもくれる。

しかし彼らも目的があってミートアップに参加していたり、その他の人も忙しいため、わざわざ時間を取って話を聞いてくれることは少ない。

これはシリコンバレーに限らずだが、学生だから与えてもらえるという考えは捨てたほうがいい。授業などは授業料を払っているので話は別だが、ここは学校ではなく社会なのでギブをまずは考えて相手に何かしらの価値を与えることが必要になる。


9:FIRE (Financial Independence Retire Early)

シリコンバレーに限らないかもしれないが、FIREという考え方を持った人が多くいる。

これは簡単にいうと、一生暮らせるだけのお金を貯めて若いうちに退職しようという考え方だ。

僕が知り合った台湾出身のfacebookのエンジニアはまさにこのFIREを目指していて「ここでお金を貯めたらリタイアして生涯日本で過ごす」と言っていた。

シリコンバレーのエンジニアの給料は高く、起業家が多い一方でそういった暮らし方を望む人も少なくはない。


10:スピリチュアルな力

これは起業家の話だが、目に見えない偶像的なモノや力を信じる人が多いように感じる。

実際に僕はタイのお寺生活や教会にタダ飯を食べに行ったこともあったが、そこにはたくさんの人がいてすごく暖かかった。

社会をよくしたいという理念はある意味皆に信じられる偶像的なモノで、世界感やコミュニティの在り方の究極が宗教ではないかと思う。

スティーブジョブズはヒッピー文化に魅せられてインドに旅に行ったり、寺院にただ飯を食べに7マイル歩いたりした。

この概念には遠いようで何か近いエッセンスがあるのだと思う。


11:計画的偶発性理論

これはシリコンバレーのすべてをまとめた一言だ。

スタンフォード大学のクランボルツ教授が言った理論で、キャリアの8割は偶然起きることなので、その偶然を計画的に作ろう!というものだ。

そして、「好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心」を持つことによってその偶然を作ることができるというものだ。

僕は実現したいものはあったが、その間のフローは何もない状態でシリコンバレーに飛び込んできた。しかしたくさんの偶然があって今の自分がある。

なので「とりあえず行動!」というのはやっぱり大切だ。


最後に

冒頭では情報はほとんどネットで手に入ると言ったが全てではない。さらに誰かが作ったアメリカのイメージはこうだ!というものに後出しで情報を集めてきたという事がよくある。

このnoteもまた、全て僕が感じた一部の意見なので正しいとは思っていないし、そもそも「○○はこうだ!」というのは存在しない。

なので現地で実際に一次情報に触れることが本当に大切だと思う。それがネット上にあったことでもいい。答えは一つではないので、その時その場で自分自身がどう感じるのかが最も価値あるものだ。

まだあと3か月あるのでこれからもがんばって取り組んでいく!


貴重な時間を使って読んでいただけるだけで嬉しいです!!ありがとうございます!