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新春自転車旅2024(4才~11才と一緒)

1月2日早朝4時起床。準備は前日にすべて整えてある。着替えを済ませて5時半自宅を出発した。今日は従妹の娘たちも連れていく。4歳アツ、6歳ミク、11歳メイ、夫ミツ、私の5人での旅だ。6時前従妹宅に到着。子供たちはまだ出てこない。人数が多いので車2台で向かう。後部座席フラットにした軽自動車に自転車4台を積み込み、入り切らない1台は乗用車の方へ。つき込みをしているうちに娘たちが出てきた。持ち物や服装も予め伝えてあり、上下スキーウエアに帽子、手袋。お椀とお箸。タオルと300円。そろいの装備で車に乗り込み、いざ出発!

1月の早朝6時はまだ暗闇。スタート地点に向かう道中、闇の空が徐々に空けていく。山並みの輪郭が姿を現す。紫、ピンク、青、が混じったようなグラデーションのようなきれいな色。とにかく世界は美しい、と全身で感じる景色だ。夕方とは異なった、朝のすっきりとしたマジックアワーは、これからどんな一日になるのだろうという今日一日への期待やワクワクで満ちていた。子供たちも非日常の朝を楽しんでいる。変化に満ちた美しい空を楽しんでいた。

自転車をおろして、いよいよ出発。今回は片道約8キロ、往復16キロの千曲川サイクリングコースをいく。更埴中央公園をスタートし、戸倉上山田温泉を目指す。通常であれば20分程で行く道のりだが、幼児も一緒なので道草しながら片道1時間の予定だ。

走り出しはまだ太陽が出ておらず、氷点下の中景色が白んだ川沿いを走る。走り出し早々、大人の折り畳み自転車のタイヤの状態が良くない。おそらくタイヤ自体が傷んでいる。何年も眠っていたものだからだ。ミツと二人で話し合い、いけるとこまで自転車で行き、ダメになったら乗り捨ててランニングで行こう。ということになった。大きなリュックをそれぞれ背負っている。最悪のプランを頭に入れながらでもいけるとこまで行ってみよう。ということにまとまった。

とにかく寒い。氷点下マイナス5度の中、自転車5台が走る。前髪が凍る。手がかじかむ。足先が冷たい。でも、嫌だとか、帰りたいという子はいない。寒いと言いながら、足を動かしてグングンと進む。状況は過酷だけど、気持ちは沸き立っていた。

7時が近づいた頃、山の向こうから黄金の光が差して来た。周りの景色は同じなのに、朝日の頭のてっぺんがこんもりと姿を現すだけで、あたりは全く別の世界になるようだった。氷の世界から、温度が生まれる瞬間をみた。オレンジや黄色、黄金のはちみつみたいな色が差し込み、途端に止まっていた時間が動き出すみたいに、川も、草も、山も、建物も、道も、生きているみたいになった。氷点下の中楽しんでいるつもりでも、わずかに緊張していたのだろう。その陽の光の温かさにほっとした。
みんなそれぞれにその瞬間を楽しんでいた。淡々と漕ぎながら。歓声を上げるもの。とにかく前に前に進むもの。
「きれいだね。」と同じものを見て、同じ体験をする。共有するその時間がが堪らなく楽しい。

朝ごはんがまだで、でもあまりお腹が空いていなかった。思いのほかハイペースで進んでいたこともあり、到着時間の調整が必要でもあったので、7時半頃、休憩を兼ねての朝ご飯にすることにした。
朝日の当たる川沿いの堤防に陣を取り、ガスコンロと鍋で、温かいラーメンを作った。この時に食べる温かいラーメンは最高に違いない!想定して大きい荷物を背負って持参した。日が出たと言えどまだ氷点下。子供は元気であったが、身体が冷えてもいた。早く食べたい。食べさせてやりたい。氷点下のため、お湯がなかなか湧かず、子供たちは早く、早くと焦れた。ミツが子供たちと川沿い探検をしたり、反復横跳び選手権をして体を温める。こんなに寒い中、文句ひとつ言わずに過ごしている。
寒すぎてか沸騰までいかなかったが何とか温かいラーメンは出来上がり、各自持参したお茶碗と箸でラーメンを夢中ですする。「うまい!」と声が漏れ、いつの間にか「寒い。」の声はなくなっていた。温かいものをお腹に入れたので、暖まって元気が出た。お日様も十分に上り、先ほどよりも気温が上がってきて、凍てつく寒さはない。再出発。

しばし自転車を漕いで、目的地の戸倉上山田温泉に到着。たどり着けた満足感と温泉で温まれる~という安堵。子供たちは元気で、温泉!と今度はそちらにまっしぐら。子供たちは皆女湯がいいとのことで一緒に入る。小さい子チームは広い湯舟に興奮気味で、あちらこちら入り変えている。メイと一緒にゆったり湯につかった。

温泉をゆっくり楽しんだ後は、また自転車でスタート地点へ。私は正直またあの道のりを帰るのか~とネガティブな気持ちがよぎったが、子供たちは帰りの自転車ももくもくと漕いでいた。体力と気力がすごいな~と感心する。そんな子供たちを見ていると、「また自転車こいで帰るのやだな~」なんて口にしたくなくなった。前向きな子供たちにつられて「よーし!美味しいおひるごはんが待っているからがんばるぞー!」と言っていた。気持ちって大事だな。

昼前の外気温は10度くらいあるんじゃないかぐらいで、自転車を漕いでいると汗ばむくらいだった。復路は晴天で本当に気持ちの良いサイクリング。
4才アツが「疲れたー」と道端に座り込むと、メイが「アツ止まってるよ」と教えてくれる。メイは小さい子が得意な方ではない。でもちゃんとさりげなく気遣い目を配ってくれる。一緒に立ち止まって、ただ待っていてくれる。
アツは少し立ち止まって、草っぱらにゴロンと寝そべって天を仰いでいる。3分足らずそれに付き合う。「元気が出る魔法のアメだよ」といってを渡す。それで本当に元気が出るみたい。再び自転車にまたがる。子供におまじないは効く。
お調子者で天邪鬼のミクは「もうヤダ」と言いながらも、けして足は止めなかったし、引き返さなかった。ヤダと言いながらも、心では、ゴールまで行くと決めているのが分かる。
ミツは文句ひとつ言わずに私の提案に乗ってきてくれた。ついてきてくれた。一緒に子供たちのケアをしてくれた。ミツがいてくれるだけで楽しさが全然違う。私の安心感が全然違う。

皆で無事にスタート地点に戻ってきてゴール。皆やり切った。
がんばったね。楽しかったね。
【寒い】からの【温かい】
【きつい】からの【緩める】
【腹減った】からの【美味しい】
自然に触れながら、静と動を、五感と身体を存分に使って楽しんだ。
家に着いた後は両親・姉夫婦がお正月のごちそうを並べて待っていてくれた。空腹は最高のスパイス。美味しい食事をお腹いっぱい食べて、家族で楽しい年始を過ごした。