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気がつけば虫好き その2

(その1からの続き)
そんなわけで、私は青菜にいもむしがついていても驚かなくなって、子どもたちもそれが当たり前と思うようになりました。

特に春のキャベツについてくるモンシロチョウの卵や幼虫はもはや楽しみ。当時は東京都中野区に住んでいたので子どもたちは見る機会があまりなかったのです。モンシロチョウの卵や幼虫はキャベツだけではなくアブラナ科の色々な野菜の葉についてきます。その年も合計何匹来たかな?結構たくさんついてきました。もちろんみんな保護しました(笑)しかし、天敵のいない我が家のリビングでも全員が無事に蝶になるわけではないのです。

卵から生まれたいもちゃんは大丈夫なのですが、我が家に来た時点ですでに1センチくらいになっていたいもちゃんたちは、蜂に寄生されていることがあります。自然界ではモンシロチョウの幼虫の90パーセント以上が寄生されてしまうそうです。寄生されている場合は残念ながら蛹になることはありません。ここでは詳しくは書きませんが、蛹になる前にかわいそうな姿になってしまいます。でも、かわいそうというのはモンシロチョウの幼虫にとってはということで、蜂にとってはそうではありません。そんなことも幼虫からリアルに学ばせてもらいました。 

また、脱皮の際失敗することもあります。これは自然界ではほぼないことだと書かれたものを目にしたことがありますが、我が家で育てている中では何匹か脱皮しきれないまま死んでしまったいもちゃんがいました。助けてあげようと手を貸したこともありましたが、うまくいかない。手は貸さない方がいいですね。人間は黙って見ていることしかできない。かわいそうという視点はいらないのです。それは人間のエゴだと反省しました。これも子どもたちと経験したこと。

順調に蛹になっても、蛹のまま死んでしまう場合もありました。蛹の中では何が起きているのか知っていますか? 一度溶けて形がなくなり液体のようになって、そこから新たに蝶の姿になっていくそうです。それを知った時は衝撃でした。一度溶ける!?それってどういうことなんでしょう、、神秘。

蛹から蝶になったばかりのモンシロちゃんはそれはそれは美しい。本当に美しい。
羽はベルベットのよう、胸部には暖かそうな毛のようなものが生えています。足は白くて綺麗、目は緑色がかって、触覚もピンとしています。とにかく全てが新しい!感動します。

それまで蛹にもなれなかったいもちゃんを何匹も見てきている子どもたちは、蝶となったモンシロちゃんにはもう敬意の眼差し。そして最初に羽化したモンシロチョウに「そら」という名前をつけました。その上、飼う、と言い出したのです。

蝶を飼う? 私は蝶になったら当然逃すつもりでした。蝶を飼うなんてできるはずがない。いくら都会でもモンシロチョウは飛んでいるし、花も咲いている。(そのモンシロチョウたちはどこで羽化しているのか謎ですが)ひらひらと飛ぶ蝶を飼うってどうしたらいいんでしょう??

調べると、蝶を飼うことは可能なようでした。でも大変でしょう?やはり近所の緑道へ逃がしに行きました。娘は本当は放したくない、、そらくんは(幼虫の時に雌雄の判別をしていて、オスでした。)一度はひらひらと舞いました。でもまた娘の手に戻ってきたのです。何度も。

その時はコロナが始まった頃で、学校も幼稚園も休みになって子どもたちはずっと家にいました。そんな時にモンシロチョウは私たちの生活にとても彩りを与えてくれていました。そらくんには娘の気持ちが通じたのでしょうか、、結局そらくんをまた家に連れて帰り、色々と調べて飼うことにしてみました。

蝶を入れておくには筒状になっている大きめの洗濯ネットを使いました。筒状=円柱の両側の円の円周に針金をくっつけて円柱形をキープした状態で吊るして、その中に蝶を入れておくのが羽が傷つきにくく、いいようでした。
餌は砂糖水をあげました。しかし砂糖水、、どうやったら飲んでくれるのか試行錯誤。色々と試した結果、娘の指先にポトリと落とした一滴から飲んでくれました。また、砂糖水を浸したティッシュからも飲んでくれました。これでなんとか一安心。

モンシロチョウは次々と羽化して、「リリーちゃん」「ラムくん」「ピニくん」「シロちゃん」「キーちゃん」と、全員に名前が付けられました。そして娘とモンシロチョウたちの間には、不思議な関係が築かれていきました。蝶たちはいつも娘の手に乗って砂糖水を飲んでいました。なついている、としか思えませんでした。

特に最初の3匹、「そらくん」「リリーちゃん」「ラムくん」はその後忘れられない蝶となったのです。

その3に続く

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