いまさら聞けない「アベノミクス」

大学テキストや新書など公共図書館でも利用できる書籍中心にレビュー。要約=レジュメづくりのトレーニングも兼ねております。

「大胆な金融緩和」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を3本の矢。さらに「希望を生み出す強い経済」、「夢を紡ぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」が新3本の矢。前者をアベノミクス1、後者をアベノミクス2としておく。日本以外の専門家も注目、研究対象となったのは、「大胆な金融緩和」である。日本の専門家の評価もここが目立つ。

大守2021は「第15章 日本経済の再生に向けて」の「第3節 政策対応は正しかったのか」で簡潔に評価している。
アベノミクス1について、大守2021は、「当初の狙いは金融政策、財政政策の効果がある間に成長戦略によるサプライサイド強化、成長力確保を意図したものと考えられる」とした。手を変え品を替え成長戦略が作られたが、民間投資の拡大や成長加速には結び付かず、デフレからの脱却も実現しなかった。特に、大胆な金融緩和については、「大胆な金融政策は始めるより、終わる方が難しい」とし、「かつてない金融緩和はかつてない周到かつ繊細な金融正常化を必要とすることになる」としている。
アベノミクス2について、大森2021は、「分配面への政策的配慮を示したものであった」と位置付けた。

「何が「アベノミクス」なのか、必ずしも定義が容易ではなくなっている」浅子ほか(2020)pp.117。
浅子ほか(2020)は「第3章 日本経済の歩み3」の「第3節 アベノミクスと日本経済の課題」で11ページにわたり、働き方改革、地方創生、消費税引き上げと、第二次安倍内閣の経済政策全般を評価の対象としている。
地方創生については「都市部への人口集積が経済成長を押し上げることは、バブル期や2000年初頭でも確認されている」とし、「1970年代前半の日本列島改造を彷彿させる」と表現した[浅子ほか(2020)pp.117]。

参考文献
浅子和美・篠塚信夫・篠原総一(2020)『入門・日本経済[第6版]』有斐閣
大守隆(2021)『日本経済読本[第22版]』東洋経済新報社



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