【カーボンニュートラル推進企業紹介⑱】株式会社うすいファーム ~ひとり一人の取り組みがCO2削減につながる~



渡辺マネージャー

カーボンニュートラル―。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人での活動まで様々です。
 厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組む理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか?
 


 18社目は、上落合で自社ブランドあつぎ豚の加工品などを販売する株式会社うすいファームです。生産から販売までを一貫して行うことで安定した生産供給の確保を通して、フードロス問題などに取り組んでいます。
 
 生産現場では、食品工場からでる規格外商品やロス品からなるリサイクル食品をもとに自家製造したエコフィールド飼料を豚さんに与えているそうです。
 また、精肉加工や販売業務も自社で行い可能な限り廃棄品やロス品を出さないように取り組んでいます。
 

商品が並ぶ店内

 お店のコンセプトは「豚肉を通してたくさんの方に笑顔になってもらいたい。作りてとして、売り手として、命に感謝の心をいつまでも持ち続けやすらぎと感動、そして皆様の幸せにつなぐ」です。スタッフは、生産者の想いとともに、消費者に確かなものを届けるという強い使命感を持って接客にあたっています。また、環境問題に意識を持ち、食品ロスをはじめ、自分たちが出来ることから脱炭素に取り組んでいます。
 
 国際連合食糧農業機関の報告書によると、世界では食糧生産量の3分の1にあたる約13億トンの食糧が毎年廃棄されています。日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食糧が捨てられているそうです。
 
 同店ではかつて加工品はチルド販売をしていました。しかし、消費期限は2~3週間と短く、消費者のニーズとの差から5~10%の廃棄量が出ていたといいます。
 「消費期限が短いため、お客様によっては購買に繋がらず敬遠されたのだ思います」と同店マネージャーの渡辺竜之介さんは話します。
 そこで一人でも多くのお客様の想いに答えるために、一昨年、チルドから冷凍販売に切り替えました。「冷凍だと品質の良さは維持され、また消費期限は伸びるのでお客様のニーズにもお応えする形になりました。冷凍販売に切り替えたことで、廃棄食品は限りなくゼロになりました」と話します。
 
 同店では、かながわブランド認定のあつぎ豚の精肉、とん漬、ホルモン、ハム、ソーセージ、ベーコンなどのほか、コロッケやとんかつ、メンチカツなど店内でつくる揚げ物も販売しています。揚げ物は多い日で1日1500個作るそうです。揚げ物を作るフライヤーを今年最新式の機械に替えたそうです。
 

最新型のフライヤー


 これまでの機械は、油が入った大型の容器に食材を入れて揚げていました。余分なパン粉などは下に沈み蓄積されていきます。繰り返し使ううちに、そのパン粉は酸化し、その結果油の劣化を招き品質に影響を及ぼします。なので、油は1週間に最低2回交換し品質を保っていました。「効率の悪さと環境面を考えたとき、なにか良い機械はないものかと模索していたときに見つけたのがウォーターフライヤーでした」。
 決して交わることない水と油の性質を生かしたもので、特許を取得している機械だそうです。余分なパン粉は水の層に落ちることで、本来揚げる油の層はクリーンな状態を長く保つことが出来るというものです。
 この機械を導入してからは、油の交換は2週間に1回のペースに。お客様により良いものを出すことはもちろん、環境に配慮した取り組みの両立がまさにかなったものですね。
 
小さなことからコツコツと取り組む

事務所内の照明もLED化

 
 店舗や加工場、事務所などの電気を昨年、全てLED化しました。「電気の寿命が伸び使用量も抑えられるので助かっています。店内では商品をよりクリアに見せるためにも明るさは大事です。蛍光灯ならより多くの使用量が必要ですが、LEDであれば蛍光灯に比べて少ない使用料で対応できます。カーボンニュートラルの面でも貢献できていると思います」と話します。
 その他にも、一部の冷蔵機器やエアコンなど少ない電力消費量で従来と変わらない位の力のある最新機器に替えるなどしています。
 
社員一人一人の意識も取り組みの原動力に
 
 社員は31人、平均年齢は25歳と若いです。数年前から地元の人の採用に力を入れてきています。直売所・販売スタッフ全員が養豚場で研修を行い、豚に対する農場スタッフの想いなどを学び販売に生かしているそうです。「カーボンニュートラルの取り組みは、SDGsのつくる責任、つかう責任にもつながるものだと思います。若い社員だからこそ皆意識も高く、皆一丸となって取り組んでいます」と渡辺マネージャーは話します。
 
 
 

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