【カーボンニュートラル推進企業紹介㉕】株式会社トーモク~更なる温室効果ガス削減を目指す~


厚木工場入り口

カーボンニュートラル-。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人での活動まで様々です。
 厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組み理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介します。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか。
 25社目は厚木市上依知に工場を構える株式会社トーモク。段ボール・紙器製品の供給を軸に箱型の提案からデリバリーまで含めたサービスの提供のほか、スウェーデンハウスなど住宅事業も展開しています。

 昭和24年に缶詰用外装木箱製造・販売する東洋木材企業として設立しました。昭和46年に現在の株式会社トーモクに改称し、段ボール紙器事業、住宅事業、運輸倉庫事業などを展開しています。
段ボールの加工専業メーカーとしてトップを誇る株式会社トーモクは、材料の選定やマーケットニーズを的確に把握した箱型開発から始まる安心で高品質な商品を作り上げる技術、ユーザーに届けるデリバリー体制などが上げられます。
 業界のトップを行くからこそ、次世代に住み良い地球を残すために環境や社会に配慮した企業活動に取り組んでいます。 

再生可能エネルギー由来の電力を使用


 2021年10月22日に地球温暖化対策計画が閣議決定されました。この計画は地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画です。日本は2021年4月に2030年度には2013年度と比較して温室効果ガス46%削減を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。

EV輸送車の前に立つ同社社員


 株式会社トーモクでは、工場をはじめオフィスなどを賄う電気は、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電といった再生可能エネルギー由来の電力を使用しています。その他にも、ボイラー燃料は重油から温室効果ガス排出量の少ない天然ガスに変更しました。また、工場内で使用するフォークリフトはバッテリー式へ、照明はLEDへ転換、輸送に使うトラックのEV化促進などを進めています。「輸送用のトラックに関しては、全てをEV化を目指していますが、需要に対して供給が追いついていない状況なので、現時点で厚木工場では1台のみです。しかし、効率的な配車計画と実車率の向上、アイドリングストップの徹底、過度な空ぶかしの抑制、法定速度での運転などドライバーには安全運転はもちろん、環境に配慮した運転の徹底を指導しております」と佐藤晃一工場長は話します。
 厚木工場は、2023年4月から2024年2月実績として、2013年度比で温室効果ガス63%削減を達成しています。佐藤工場長は「この数字を到達点とするのではなく、1%でも改善向上を目指しております」と話します。

厚木工場

食品ロスへの取り組みも


完全予約制の食堂


 カーボンニュートラルへの取り組みは飲食の面でも大切です。ある専門機関のデータによると、2020年度の日本のエネルギー起源におけるCO2排出量は9億6700万トンだそうです。そのうち飲食業が含まれる部門のうちの2,400万トン(13%)を宿泊業や飲食業が占めており、CO2排出量が最も多い卸売業や小売業に次いで2番目に多いという状況が報告されています。
 食品ロスの発生要因の多くは「食べ残し」や「仕込みロス」が指摘されています。従業員向けの食堂では以前、数種類のメニューをあらかじめ用意し、注文に応じて提供していました。どのメニューにどのくらいのオーダーがあるかは未知です。なので、できるだけオーダーに応えるために、多めに食材を揃え、対応していたそうです。当然、そのような運営だと食材は余り、保存ができない野菜類などは破棄することになります。
そこで、近年は完全予約制に変更しました。必要な人の数だけ揃えることで食品ロスをゼロにしました。

環境に配慮したスウェーデンハウスの家づくり


 住宅事業部門では、スウェーデンハウスを手掛けています。スウェーデンハウスに使われる木材は、気密性に優れたもので居住時の一次エネルギー消費量の極少化に大きく貢献するものです。
 スウェーデンハウスの窓は、木製サッシ3層ガラス窓を採用しています。アルミサッシシングルガラス採用の窓との違いによるCO2削減量を計算した資料によると、スウェーデンハウス1棟につき、窓の断熱性能だけに注目して比較するとCO2削減量は1年間にブナの木が吸収するCO2量約33本分に相当するそうです。全国に建設された34,307棟(2019年3月末時点)でのデータで見ると、113万本分になります。

厚木市から受けた認定書
神奈川県から受けた認定書


 「冷暖房機器の省エネ性能は高くなっていますが、建物の断熱性が低いと使用するエネルギーは増えます。スウェーデンハウスは、一般住宅の約3分の2のエネルギーで過ごすことが出来ます」と佐藤工場長は話します。

  

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