«分析»スパーズvsリヴァプールからチーム作りについて考える
こんにちは。Atsudです。今回は、日本時間1月29日の早朝に行われたスパーズvsリバプールの分析を通して、サッカーやチーム作りについて考察してみたいと思います。
前回対戦時の両指揮官のプチ口論もあって、試合前からいろいろと取り上げられた試合でした。ここでは"I'm not a friend of Jurgen~~~. I like him, he's my friend or I don't like him, he's not my friend."というモウリーニョの発言ではなく、ピッチ内での出来事について考えます。
前半の戦い
前半、スパーズはリバプールと互角に戦うことができていました。その大きな要因はリバプール非保持時のチアゴのポジショニングと守備技術です。2:30のシーンを見てください。スパーズは3バック+エンドンベレの4人で攻撃を組み立てました。対してリバプールは3トップ+チアゴで前掛かりに守備位置を取りました。これはリバプールにとって大きなリスクです。なぜならここを突破されてしまうと中盤が2人しかいないからです。実際にこの場面ではエンドンベレの素晴らしいドリブルはチアゴを置き去りにし、他の中盤2人までエンドンベレを止めるために中央に寄ってきてしまいました。結果、ソン経由で中盤のワキで待ち構えていたケインにボールが渡り、ケイン-ソンのホットラインを繋げてしまいました。数センチ単位のオフサイドで得点は取り消されましたが、リバプールとしては危ない場面でした。
一方でリバプールの攻撃局面も見てみます。スパーズは5-3-2で守備を固めます。ここでは、①LWBのドハーティーがTAAを見る役割を果たしているところと②中盤3人の構成員にベルフワイン入っていることがポイントでした。先ず、高い位置でもTAAにボールが入ると一目散に駆けつけてくるドハーティーは印象的でした。このことでスパーズはTAAの縦侵入を阻止し、正確なクロスをあげさせないことに成功しました。しかし、問題は②です。5-3-2の最大の弱点は中盤が3枚である事です。サイドチェンジを繰り返すといくら強固な中盤でもズレは出てきます。そして、リバプールには中盤に降りてくるフィルミーニョや天才パサーのチアゴがいることを考えなければいけません。その中で中盤の1人がベルフワインであることは致命的でした。縦パスがどんどん入り、前を向かせてしまったことは少なくありませんでした。そしてこのことが最終ラインの守備にも影響を及ぼしてきました。リバプールの先制シーン。ここではマネを担当しているロドンがライン間にいるミルナーが気になり、ポジショニングと体の向きを間違え、マネに裏抜けを簡単にさせてしまいました。
後半は。。。
後半はリバプールが優位に試合を進めました。一番の原因はケインの怪我です。 このことは精神的にもチームを追い詰めました。攻撃の大黒柱がいないとなると、いくらファン・ダイクのいないリバプールであっても点を取るのは気が遠くなります。更には、守備時における脅威が少なくなったリバプールもやりやすかったはずです。戦術的には、スパーズは4バックに変えました。このことでTAAは前進が可能になります。リバプール2点目のシーンを見てください。最終ラインを5枚から4枚にしたことで大外の準備ができずに、大外から走りこんだTAAにあっさりゴールを決められてしまっています。
チーム作りとは
この試合で感じたことはチーム設計図の重要さです。先ずはリバプールについて。主力CBが不在のため、ヘンダーソンをCBに置かなくてはならなくなったことで、守備が脆くなっているように感じます。彼の魅力は運動量とボール奪取力で、ワイナルダムと合わせて中盤を3人で守るという荒業に成功してきました。おそらくMFヘンダーソンの代役がミルナーですし、彼も運動量はありますがヘンダーソンのポジショニングやインテリジェンスには劣ります。そこにチアゴが入ると、彼は守備意識は高いですがトップの世界において決して上手な選手ではないので、守備の面で劣ってくるのは間違いないです。
スパーズに関しても同様です。この試合でケインが怪我をしたことで後半はほとんど見せ場なく終わってしまった印象があります。今のスパーズはケインありきのスパーズですし、トップの位置にソンやベイルを置くことではスパーズの攻撃は成り立ちません。
ここで、この2チームのチーム作りを見ると、共通しているものがあります。それは選手ありきの戦術であることです。もちろんそこには監督の哲学も含まれています。しかし、今いる戦力の中でどのようなチームを創るか。優秀な監督に率いられるチームとは資源を上手く使うチームです。しかし、これは資金で選手集めをしてやりたいサッカーを体現するチームを否定しているわけではありません。ペップだってシティの資金という資源を最大限活用しているわけです。その点で、ファン・ダイクやケインの怪我は非常に残念なものです。ピックフォードもチアゴも、誰も怪我をさせようとしているわけではないので、責めることはしてはいけないです。スパーズはPL優勝とEL優勝、リバプールはPL優勝とCL優勝を目指してシーズンのクライマックスに向かっていきますが、万全の戦力で戦っている試合を見たいです。
以上で今回は終わりです。最後の方はまとまりのない文章になってしましましたが、僕の考えを共有できていれば嬉しいです。