Redstoneのモジュラーデザインについて解説


はじめに

分散型オラクルは、現実世界のデータをブロックチェーン上に橋渡しする機能を提供しており、DeFiエコシステムの発展において重要な役割を果たしています。
従来の中央集権型オラクルには、単一障害点やハッキングの発生などの問題を抱えていました。

Redstoneモジュラーデザインは、これらの問題に対処するための新しいアプローチを提供する分散型オラクルです。各オラクルは特定の資産や市場に対するデータ提供を行なっています。これにより、Redstoneモジュラーデザインは従来の中央集権型オラクルよりも信頼性と安全性が高くなります。

モジュラーデザインとは?

モジュラーデザインとは、システムをモジュールと呼ばれる小さな独立した部品に分割することでシステムを設計する方法です。各モジュールは、個別に設計、開発、テストすることができるため、システム全体のメンテナンスと更新が容易になります。

Redstoneモジュラーデザインの利点

Redstoneのモジュラーデザインをdappに使用することには、以下のような多くの利点があります:

  • 信頼性: Redstoneのモジュラーデザインは分散型オラクルのネットワークであるため、単一障害点がありません。これにより、従来の中央集権型オラクルと比べてハッキングの可能性が弱まり、セキュリティが高くなります。

  • 安全性: Redstoneのモジュラーデザイン上のデータは暗号化され、高度なセキュリティ対策がされています。これにより、従来の中央集権型オラクルよりも安全な設計となっています。

  • スケーラビリティ: Redstoneはモジュラーデザインにより、ブロックチェーンをタスク毎に分解することで、スケーラビリティの向上を実現しています。

  • 圧倒的なスピード:Redstoneは数秒で現実世界のデータをオンチェーンに送信することができるため、データの更新を待つ必要がありません。

  • カスタマイズ性: Redstoneのモジュラーデザインはカスタマイズ可能であるため、dappsのニーズに柔軟に合わせることができます。

Redstoneのデータ集約の役割

データ集約とは複数のソースからデータを収集し、それらを統合することで正確かつ改ざんに強いデータを提供することを言います。
複数のソースから情報を取得し、それらを統合することによって単一のソースから取得する場合と比べてデータの正確性が圧倒的に高まります。
分かりやすく説明すると、複数の取引所からUSD/ETHペアの価格情報を取得する場合、それぞれのソースの平均値を計算し比較することで単一の場合と比べてデータの正確性を飛躍的に向上させることができます。
これだけではなく、例えばソースのうちの1つの価格情報にバグがった場合、それが正しいと仮定して平均値を計算してしまうとUSD/ETHペアの正確な価格データを取得することができません。
よって、データ集約の機能により他のソースと比較して明らかに情報に乖離がある場合はそれを除外することで、異常値に情報が左右されることなく、常に正確な情報を提供することができます。
Redstoneの価格フィードはBinanceなどの取引所やUniswapなどのDEX、Coingeckoなどのアグリゲーターなど様々なソースからデータを収集しており、その後、合意形成メカニズムを使用して集約されたデータが正確であることを保証しています。
上記では集約したデータ検証方法を平均値として例えましたが、実際には中央値やTWAP、VWAPといった方法論も存在し、異常値検出などの安全対策が用いられています。

また、複数のソースからデータを取得することは正確な情報を提供すること以外にもリスク管理の面で役立ちます。
複数のソースからデータを取得することで1つのソースが停止しても、その他のソースから取得することができるので、正常に情報を供給し続けることが可能です。

よって、オラクルにおけるデータ集約とは
・データ可用性
・データの正確性
の主に2つの機能を提供していると言うことができ、常にデータが利用可能であり、尚且つ正確であるということが重要です。

Redstoneは184のソース(2024/4/8時点)から情報を取得し、集約することで常に正常なデータを提供しています。

RedStoneモジュラーデザインの特徴

  • カスタマイズ性と柔軟性: RedStoneのモジュラーアーキテクチャにより、開発者は特定のアプリケーション要件に応じてオラクルサービスを選択・設定できます。これにより、dappsは必要なデータの種類、好みのソース、更新の頻度を選択でき、オラクルサービスが特定のユースケースに完全に適合することを保証できます。

  • クロスチェーン対応: RedStoneは独自のモジュール設計により、ZKおよびOptimisticのレイヤー2をクロスチェーンで利用することができます。

  • 3つのオラクルモデル: RedStoneは、モジュラーフレームワーク内で3つの異なるオラクルモデルを提供しています 。各モデルは異なるニーズに対応して設計されています:

    • RedStone Core: トランザクション処理中にリアルタイムでデータを追加できるようになり、スマートコントラクトは外部からのデータを即時に取得することができます。この機能は、リアルタイムの価格情報やオンチェーンデータを必要とするDeFiプロジェクトにとって特に重要であり、トランザクション内で直接データを注入することで、最新の情報を即座に使用することができます。また、この方法ではトランザクションの処理中にデータ注入が行われるため、余分なトランザクションが不要となり、ガス代を削減することもできます。このアプローチはUXを向上させ、迅速かつスムーズな操作を実現します。

    • RedStone Classic:RedStone Classicを通じて、外部データがオンチェーンにプッシュされることで、データの信頼性と安全性が確保されます。データソースと更新条件をカスタマイズすることが可能になり、これにより金融デリバティブなどのアプリケーションがリアルタイムの価格情報を利用して、効率的な価格設定や取引決済を行うことができます。また、オンチェーンで保管されるデータは、不正な改ざんから守られるため、高い信頼性をユーザーに提供します。

    • RedStone X: デリバティブ取引におけるリアルタイム価格情報に対応するため、RedStone Xは取引の透明性を保ちつつ、取引戦略の実施をサポートします。ユーザーが操作を行った直後のブロックにて最新の価格データを提供することで、ユーザーは常時最新の市場動向を把握することができます。これにより、価格の変動を他の参加者が予測して先行することができなくなり、フロントランニングのリスクを排除し、取引の公平性を高めます。

RedStoneのユースケース

RedStoneは、以下を含む様々なDeFiアプリケーションに使用できます。

  • 価格フィード:RedStoneは、様々なdappsに信頼性が高く正確な価格フィードを提供することができます。これは、dAppsが取引の損益、証拠金要件、その他の財務計算を計算するために使用できます。

  • 分散型の保険:RedStoneは、保険契約にデータを提供するために使用できます。保険に関する情報をオフチェーンから取得することでオンチェーン上で分散型の保険商品を提供することができます。

まとめ

Redstoneモジュラーデザインは、信頼性が高く、安全かつスケーラブルで、カスタマイズ可能であるため、dApps開発者にとって優れた選択肢となります。dAppsに信頼性の高い安全なデータを取り込む方法を探している場合、Redstoneモジュラーデザインは完璧なソリューションとなるはずです。

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