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8/14 今週の展望(ファンダメンタルズ)

こんばんはアトレです、今回はファンダメンタルズについて書きます。結構大事な事を書きますので、ぜひ覚えておいて欲しいと思います。

株と金利はシーソーの関係にあると言われます。つまり、金利が上がれば株価の高いValuationが認められにくく、株価は下がりやすくなり、金利が下がるとその逆で、割高な状態でも正当性が認められやすくなります。ここまでが教科書通りの説明ですが、それを踏まえて以下を見てください。

以下はナスダック100(US100)とオレンジ線は10年債金利です。通常は逆相関ですが、四角の箇所だけ順相関になっているのが分かります。そして8月に入ってから再び逆相関になろうとしています。このまま逆相関が続くと株価の方が落ちていくことになりますが、もし順相関が始まった箇所まで戻すとなると12500-13000pointsまで戻すこともあり得ます

次に、以下は青線が実質金利で、オレンジ線がナスダック100のチャートです。実質金利は上記の10年債金利よりもさらに重要で、金利がインフレに対して締め付け的かどうかを示します。つまり、この値が高い程、世の中のインフレ率よりも金利が高く、経済が弱まりやすい状態になります
信じられない事に、2023年は実質金利が上がってもずっと株が上がったままで、且つ、企業の収益が回復するという現象が起きました。
このNOTEで解説してきたようにGAFAMを中心に、企業の収益が底打ちして今後の回復を匂わすガイダンスを出してきています。

この状態から何が起きているか?
シンプルに、高金利が意味を成していないという事です。
金利がなぜ企業の経済活動を弱めるのか?それは大多数の企業が銀行から借金をして、それを運転資金や設備投資資金に充てて、それを元手に商売していくので、経済の血液である金利が上がると、金が世の中を回りにくくなるためです。

ところが、私はGAFAMの決算を読んで気づきました。果たして企業は資金調達を必要としているのか?以下を見てください。

GoogleとMetaの年間決算から分かりやすいようにざっくりとした計算で日本円に変換したものです。ドルの方が正確でしょうが、なじみやすいように円にしました。

両社決算からざっくり計算
*急いで作ったので間違っていたらごめんなさい、ただ、本質は間違っていないはず

いや、これ銀行から借り入れ資金いる??
既に報道されている通り、企業はコロナバブル以降、人員を減らし、大きな設備投資も控える傾向にあります。そんな守りの経済環境の中、両社は十分な内部留保を持ち、高い利益率を背景に内部留保の積み増しが可能な状態であり、高い金利で資金を調達する必要が無い状態にあります。しかも両社は工場や土地をほとんど必要としないビジネスモデルなので、研究開発費、人件費、広告宣伝費などが主なコストとなりますが、これらは比較的景気に合わせて調整が可能であり、製造業のように莫大な資金をかけて工場を新設したりする必要がなく、FRBの金利の上げ下げに合わせて資金調達の蛇口を開け閉め自在にできると言っても差し支えないと思います。

何がいいたいか?
GAFAM(特にGoogleとMeta)は工場を持たない系のファブレス企業が多く、莫大な資金需要がなく、集まった利益が内部留保に流れやすい構造になっており、高金利でも困らないビジネスモデルと言えそうです。
このために、2022年は消費者心理の冷え込みで収益を減らしたものの、2023年にその反発で簡単に業績回復したのはFRBの高金利政策が効いていない為と言えそうです

つまり、本来は高い金利で企業の経済活動を止めるはずの高金利政策ですが、銀行からの資金調達の必要が薄いGAFAMは、株式市場からの資金調達も多く、高金利の影響がかなり薄い稀有な企業になっており、これらの会社がこの数か月間市場を大きくけん引してきました。

しかしながら、今後経済がこのまま高金利維持されるとどう動くか?まずは資金調達の必要性の高い、特に赤字企業や長期借入金の大きい企業がしんどくなります。具体的には新興グロース企業や、不動産、航空会社など大規模な資金調達を元に成り立っている会社たちです。これらの企業は金利の影響が大きく、米国では新興企業を中心に倒産件数が激増しているし、商業用不動産市場の崩壊を招いています。

また、それ以外に、個人にも大きな影響があります。クレジットカードの延滞率は激増しており、

引用元:FRED

同様にクレジットカードローンも急騰中です。つまり、余裕のあるGAFAMは大丈夫でもGAFAMのサービスを利用する大多数の個人消費者はクレジットカードに頼り、さらにはカードローンにも手を出さないと生活が厳しいほど金利が苦しめています。

これが何を意味するか?それはGAFAMは企業単体としては高金利を乗り切れそうな感じであるが、そのビジネス形態はBtoC、つまり個人消費者が顧客である事が多く、個人消費者が今後借金やローンで首が回らなくなると、結果的に大波となってGAFAMのサービスの利用者が減ります。

さっきお伝えしたように、金利を上げてもビジネスが揺らがないという事は逆もしかりで、金利を下げてもビジネスが急回復しない可能性も十分にある訳で、今後経済危機に至った際に、金利を下げても市場に効きにくい可能性もあるという訳です。


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