『続・最後から二番目の恋』

 古都・鎌倉を舞台にした、明るくも切ない大人の青春ドラマ。小泉演じる千明は48歳、中井演じる和平は52歳、足して100歳になったにも関わらず、会えば口論の絶えない二人の関係性は相変わらず。

まず前作の感想を簡単にすると、独身アラフォー女子系恋愛ドラマで、評価できるものは本当に極一部しか存在しないですが。このドラマは、唯一と言っていいくらいカッコつけてなくて、恥ずかしくなかった。等身大のおじさん/おばさんが、付かず離れず恋愛スレスレの関係を行ったり来たりする話が、どうしてこんなに面白いのかと唸った。
このドラマの存在がのちに、『最高の離婚』という人気ドラマにも繋がっていることから、フジテレビが作った、次世代型・汎用恋愛ドラマの基本フォーマットを作ったエポック・メイキングな作品。

そんなこのドラマにおける一番の特徴は、饒舌過ぎる会話シーン。どことなく山田太一を思わせる、リアルと半歩ズレた台詞は。(自分で頭の中と喋っているような)頭に思い浮かんだことを、全て口に出しているかのようで。実際に、こんな会話を現実社会でしているワケないのだけれど、その掛け合いから浮かび上がる関係性に、思わずリアリティを感じてしまう。
饒舌な会話といえば、ウッディ・アレンや、クエンティン・タランティーノ、また三年前に『おとなのけんか』を書いたロマン・ポランスキー等、監督と同時に脚本も手がける映画人の名前も思い浮かぶのだけど。印象としては、これこそがテレビドラマらしさなんだなと感じた。

またその会話シーンの撮り方の独特さも、このドラマを特徴付ける重要な要素の一つだ。一見平面的(というか舞台的というか)で違和感の残る程、横に繋げて会話させたり(食卓のシーンに特徴的)。かと思えばそのまま、空間を3Dのように移動してカットを割らないまま、会話のテンションを高めていったり(セットも比較的多用している)。凄く独特だけどさり気なくて、どこかの、映画を意識してカッコつけたはいいけど別にかっこ良くないドラマよりも、よっぽど効果的な演出だと感じる。誰もが、まるで「マックで女子高生が喋ってた話」を横で聞いているような気持ちで、仲良く喧嘩する二人を見ていることだろう。

また、どこまで狙っているのか。第一話(や最終話)だけ海外ロケするドラマで、その設定が本当に必要だった試しはないし、単にダサいと思うのだけれど。ドラマの中で本当に意味が消え、また見ようによってはドラマティックな出会いであるにも拘らず。旅行気分とお酒の力で、いつもより開放的な会話をする二人のシーンは。海外ロケにウンザリしなかった、始めてのシーンかもしれない。

そういった要素で言えば、序盤で「向田邦子か」って台詞が出たのにも吹き出した。小泉演じる千明は、テレビ局のドラマプロデューサーで。テレビドラマに対する言及をすることも多く。テレビドラマに対する愚痴を、テレビドラマの中でするのも見所の一つだ。

お話自体は、前作から二年経った現在と同じ、リアルタイムで年をとった登場人物達が、前作と同じく口喧嘩をしながら、ただ生きていくだけなのだが。新しいキャラクターが出てきて、物語をかき回す。中井貴一と出会うのは、娘の彼氏の母親。小泉演じる千明とは正反対の、ドジで天然でどことなくエロい和平好みの性格。また小泉は、前作で“ポストイットの彼”として会話の中で登場していた、千明よりひと回り年下の元彼と再開する。一話ではまだ出会った程度なので、二話以降新しいキャラクターによって、ドラマが徐々に動き出すのではないでしょうか。

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