『SHARK~2nd Season~』

メジャーデビューを果たした4人組ロックバンドCloud5。しかし、まっすぐに生きるが故バンド内の人間関係にはいつしか亀裂が入り始めていた。彼らの窮地に救ったのは、同じ事務所の後輩たちSHARK。一途に生きる男たちの、魂の再生を描く青春群像劇。

基本的には前作と全く同じ印象。新條まゆたんの「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!!」でお馴染みの画像と同じフォルダに入れてる。
少女漫画の様式を実写に落としこむ演出は「花より男子」で、型が出来上がったことで、進化が止まっていたけれど。あれ以来の、少女漫画的演出法の新たなフェイズを感じる。少女漫画がその基本構造に内包しているBL的な想像力を、ギャグにならないように、本気で撮るとこういう画になるというのは見応えの一つ。同時に少女漫画にありがちな、中身について何も知らないまま、愛情と妄想だけで作ったような細部の粗が、物語の重要な感情表現にまで及んでいる部分が散見される。
ギャグみたいに時代遅れな話だけど、様式美として許せるならそれでいい。だけど王道が何故普遍的なのかといえば、話の骨格がしっかりしてるからで。設定のせいで、話の骨格がグラグラになってしまっているものは受け入れられない。昔からよくある、伝説のカリスマバンド系の話から一歩もズレない王道さと同時に、業界の変化への対応の出来ていなさに時代を感じる。

音楽を作りたい気持ちと、それを職業にすることと、プロである事の意味や、売れるっていう概念、タレントとの違い、そのどれもが昔と変わっている。流通やマーケティングの変化や、音楽を作っている人達とは思えない致命的に薄っぺらい台詞は、100歩譲ってこの際我慢するとしても。少女漫画なら感情がズレているのは流石に駄目だ。最低限、感情だけはちゃんと繋げてくれないと、もう何を見てるのか分からない。各シーンに幾つも"?"が浮かぶ所が出てきて、それが溜まって、決定的にわけ分かんない状況になってることが多すぎる。
音楽や音楽業界に詳しくなくてもいいし、リアルに拘って詳細に描かなくてもいいけど。今クリエイティブを仕事にする意味や、仕事のモチベーションの源泉くらいは理解していないと、登場人物の感情がメチャクチャになってしまう。

例えばアニメ『アイカツ』における芸能界や、アイドル観はメチャクチャだけれど、逆に感情だけは描けてる。また、アニメで赤や青の髪の毛に違和感を感じ無いような、アニメという嘘が、実写では出来ないので。それクラスの嘘の飲み込ませ方を実写でするのならば、今まで見たことがないような、斬新なアイデアが無ければ成立しないだろう。

この放送枠には期待をしているし、細かい粗がなければ良いカットは沢山ある。それなのに、その細かい粗のおかしさで、良いシーンがギャグにしか見えないのが本当に惜しい。

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