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偶然が必然に変わる時(50)・・マリア編

「凄いですね!」

「今はお陰様で、ある程度大きな会場でコンサートが出来る様になったけど、最初の頃はその人のお家で10人くらいのお客様の中で歌ったりしていたの、、、」

「へーっ!そんな時代もあったのですね!」

「ある時は末期ガンの方が入院している病院の中で歌ったり、刑務所なんかにも行ったりしてたのよ!」

「そうですか、、、」

「そうなの、〇原さんの時代は反戦歌や平和をスローガンにしたフォークソングが流行っていたという事もあって、たまたま広島、長崎への思いを歌った "折り鶴"という歌がラジオで流れるようになってね、、、」

「折り鶴ですか?」

「そうなの、その"折り鶴"をラジオを聞いた長崎の方から是非コンサートをして欲しいという依頼があったのね、、、」

「はい、、、」

「それで長崎でコンサートをやる事になったんだけど、その方の尽力でたくさんのお客様が来て頂いたのね!」

「へーっ!凄いですねー!」

「で、そこからなのよね!マリア様に繋がっていくのは、、、」と、やっと
NYで見つけたマリア様の話になった。

「で、無事コンサートが終わって楽屋で一息ついてるところに、あるお婆さんが○原さんを訪ねて来たのね、、、」

「はいはい」

「すると、大事そうに手に持っていた風呂敷包みをテーブルの上に置くなり"○原さん、今日はとっても素晴らしい歌を聞かせて頂いてありがとうございました、、、どの歌も素晴らしかったですが特に”折り鶴”の歌を聞いて、涙が止まりませんでした。それで実は今日は〇原さんにお渡ししたい物があって、これを持ってまいりました、、、」

と言ってテーブルの上に置いたあった風呂敷包みを開け、小さな木箱を取り出したの、、、」

「えーっ!もしかして?」

「そうなの、そして木箱の蓋を開けて出てきたのが、亜人夢さんがニューヨークで見たあのマリア様だったのよね!」

「え〜っ!そうだったのですか?」

「それで、お婆さんが言うには、"実は私は元々カトリック教徒の信者で浦上天守堂の教会にいつも行っていたのですが、ある日突然B29が飛んできて、あの恐ろしい原爆が落とされ一瞬にして街も教会も全て破壊されてしまってね、、、

それから暫く経ってから教会の様子を見に行った時に、瓦礫の中を歩いていると何か光る物が目に入ってきたので、、、

あれっ?、何だろう?と思ってその欠片(かけら)を拾い上げたら、それは何と浦上天守堂の教会の壁に飾られていたマリア様のレリーフの一部だったの、、、

幸いお顔は綺麗に残っていたけど右肩あたりから斜めに割れていてね、、、でも、とっても優しいお顔をされていたので、思わず"マリア様ー!と叫んで、胸の中にマリア様を抱きしめたの、、、

それ以来ずっとこのマリア様は私と一緒にいるのですが、今日初めて〇原さんの「折り鶴」を聞いて、このマリア様は〇原さんの元に置いて貰った方が良いと思い持って来ました!"と、お婆さんは〇原さんにこう話されたの、、、」


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