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偶然が必然に変わる時(46)・・NY編

しかも母にとってはこれが初めての海外旅行で、その行き先がいきなりニューヨークとは和歌山の田舎町では親戚一同も近所のおばちゃん達もビックリだった。

そんなお婆さんの助言から、母と一緒にニューヨークに来るとは夢にも思ってもいなかったが今となって思うと母が認知症になる前に三人で良い思い出を作っておきなさいと言う、お婆さんの優しい配慮だったのかも知れない。

朝早く起きて、まだ人影の少ないセントラルパークを何十年ぶりに母と手を繋いで散歩した事や、フェリーで自由の女神のいるリバティー島に渡ったり、今は亡き世界貿易センタービルの屋上から見たマンハッタンの素晴らしい景観を三人で一緒に見れた事も良い思い出として心の中にしっかりと残っている。

まだ母が認知症になる前は、近所の仲間やお友達に「ニューヨークは素晴らしいところやったよー♪」とみんなに自慢話をするのが楽しみだったけど、今はニューヨークの旅の話も口にする事も無くなり、自分の歳さえ思い出す事が困難になってしまった。

でも、もしあの時ニューヨークの武藤くんが僕の会社に売り込みのFAXを送ってくれていなければ、、、もし、あの時お婆さんに占いを見て貰っていなければ、、、と考えれば、考えるほどつくづく運命と言うのは不思議で面白いものだと思う。

さて、そんなご縁を作ってくれた武藤くんと何回目かのニューヨーク出張で、マンハッタンの街を歩いていた時の事

「ねぇ、武藤くんあのお店何かパワー感じない?」

「はい、僕もさっきから気になっていました!」

と、二人の意見が一致したので早速そのお店に向かった。

実は武藤くんも僕と同じ様に波動の良い場所や悪い場所が身体で感じる事が出来る霊感体質で、特に武藤くんは霊も見れるので

「社長、あそこに子供が立ってますよ、、、」

「お爺さんがこっちを見てますよ!」

と、一緒に歩いている時に何度か教えてくれる事があった。

しかし、僕には霊を見る能力は無いので「えっ!そうなの?」と、ただ頷くだけしかなかった。

そんな武藤くんと気になるお店に到着し、ショーウィンドウの中を覗くとそのパワーの正体に納得が出来た。

「わーっ!武藤くん、見てよー!これから出てるエネルギーだったんだね!」

と、大きな水晶のクラスター(群晶)を指差した。

「なるほど、、、社長これだったんですねー!」

「うん、これだけ大きい水晶も珍しいよね?」

「そうですね、ここに立ってるだけでビンビンきますもんね、、、」

「武藤くん、このお店他にも面白そうな物がありそうだね?」

「はい、かなりヤバそうなお店ですねー(笑」

と、お互い目でコンタクトを取り店のドアを開けた。

すると「こんにちはー♪」と左の方から可愛い女の子の声が聞こえてきた。

「えっ?」と、振り向くとスタッフらしき若い女性が立っていたので「あっ、どうもこんにちはー!日本の方ですか?」と聞くと

「はい、そうです。どちらから来られたのですか?」

「僕は和歌山から来ていて、彼はこっちに住んでいます!」

「そうでしたか、、、今回はご旅行ですか?」

「いえ、買い付けで来ていまして、、、」と、スタッフの女性と立ち話をしていると、先に店内を見ていた武藤くんが

「社長、奥の方にもっと凄いエネルギーが感じる物があるんですけど、、、」と言ってきたので、一旦お店のスタッフさんとの会話を中断して武藤くんが見つけた奥の展示物の場所に移動した、、、つづく。


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