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偶然が必然に変わる時(41)・・NY編

「武藤さん、ゴメンなさいね、、、何か辛い話をさせちゃって、、、」と、頭を下げると

「いえいえ、全然気にしないで下さい!これも僕の運命と受け入れていますからー♪」と、

笑いながら言ってくれたので少し気が楽になったが、人の運命って本当に一寸先の事は、わからないものだとつくづく思った。

そんな過去を持つ武藤さんだったが、持ち前の明るさと、超ポジティブな生き方に感銘を受けた僕はすっかり武藤さんと仲良くなり

「武藤さん、もし良かったら、うちの外部スタッフとして働いて貰えませんか?」という提案に、武藤さんは二つ返事で承諾をしてくれ、ニューヨークに到着してから数時間後に武藤さんは弊社の海外スタッフになっていた。

なので、この時から呼び名も武藤さんから武藤君に変わる事になった。

今回のニューヨーク出張は一週間程の日程だったので、前半は前から気になっていたアパレルの展示会を見学し、後半は武藤君が言っていたソーホーやブルックリンに出来たお洒落なカフェやセレクトショップ等を覗いたりした。

そして、帰国する前に今回一番気になっていたダライ・ラマと幼馴染みだと言う占いのお婆さんとも会う事が出来た。

お婆さんは、チャイナタウンの中にある路上の一角で場所を借りて何十年も占いをやっているので、街の殆んどの人がお婆さんを知っていた。

そして皆んなから良く当たる占いのお婆さんとして親しまれていた。

ただお婆さんは英語は全く話せないので、中国人とチベット人しか占いをみる事が出来なかった。

幸い武藤君はニューヨークに来てから独学で中国語学んだという事で、日常会話ぐらいだったら話せたので何とかお婆さんとコミュニケーションが取る事が出来たので仲良くなれたらしい。

武藤君は前もって僕が来る事をお婆さんに話してくれていたので、

「あんたの来るのを待ってたよ、、さぁ、そこに座って右手を出してごらん!」と挨拶もそこそこに年期の入った低い木の椅子に座らされた。

 そして、お婆さんは僕の右手の手のひらを、しっかりと開かせ大きな虫眼鏡で覗きながら、隣にいた武藤君に説明を始めた。武藤君は用意していたノートにお婆さんのメッセージを聞きながら漢字で書取っていた。

僕はお婆さんが何を言ってるのか全く分からなかったが「へーっ!お婆さんは手相占いもするんだ、、、」と思いながら見て貰ってると

「じゃぁ、次は左手を出してごらん!」と、今度は左手の手相を見始めた。

すると「#£*%&、、、」と突然大きな声を出して、武藤君に

「ここを見なさい!」とお婆さんがその場所を虫眼鏡を使いながら教えた。

武藤君は「あーっ!コレですねー!見事に十字がくっきり出ていますね!」と大きく頷いた後、お婆さんの話す言葉を丁寧に書き留めていた。

後で武藤君に教えて貰って分かった事だが、この十字と言うのは"神秘十字線"と言って感情線と頭脳線の間に十字がある手相で、

霊感が強くて、恒にご先祖様に見守られていて、九死に一生を得る経験をすると言われており、降りかかる災難から逃れられる、運の強い人に出る手相らしい。



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