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偶然が必然に変わる時(38)・・NY編

「そうですよね、、、確かにFAXだけの売り込みだけだと新規の取引は難しいですもんね!」

「はい。」

「ところで、武藤さんはずっと靴のシッパーをやっているのですか?」*シッパー(shipper)輸出業者の意味。

「いえ、本来は観光客等の通訳をメインでやっているのですが、それだけだと厳しいので、最近この仕事を始めまして、、、」

「えーっ!武藤さんもまだ日が浅いのですね?」

「はい、、、」

「で、上手く行っているのですか?」

「いえ、ファッション関係の方は全くの素人なので中々難しくて、、、」

「そうですよね、たくさんのシッパーさんがいて最終的には値段の競争になってしまいますもんね!」

「はい、同じモノだと結局資本のあるところしか生き残っていけなくて、、、」

「本当にそうですよね!」

「ところで鈴木さんは海外の方には良く出られるのですか?」

「いえ、そんなには多くないですが最近ではインドとパリに行ってきました!」

「えっ?インドですか、、、」

「はい!」

「インドでは何を仕入れているのですか?」

「いえいえ、インドは仕事では無くサイババに会って来まして、、」

「えーっ!あのアフロヘアーのサイババですか?」

「知っていますか?サイババ?」

「はい、こっちでも良くテレビで紹介されていましたので、、、」

「あーっ!なるほど、、、NYでもサイババは有名なのですね!」

「はい。」

「で、そのサイババと会ってから半年後にパリの展示会に行って、あるスニーカーを日本に持って帰ってきたら人気が出て数ヶ月で6000足も売れましてね、、、」

「えーーっ!6000足もですか?」

「はい、サイババに会ってから何か運命の流れが変わった様な気がしていて、、、」

「えーっ!そうなんですか?」

「はい、サイババと会った時に手紙を渡すきっかけがあったのですが、、、」

「えっ?サイババに手紙を受け取って貰ったのですか?」

「はい、その時に“貿易の仕事で世界に出たい、、、”という様な内容の手紙を書いたのですが、そしたら半年後に友人に誘われてパリの展示会に行く事になって、、、」

「へーっ!」

「はい、そこで道に迷ったのがきっかけで、ノースウェーブと言うスニーカーと出会って、結局パリからそのスニーカーを日本に輸入する事になってしまって、、、」

「えーっ!それで6000足も売ったのですか?」

「はい!」

「じゃ、サイババに手紙を受け取って貰った事で夢が叶ったという訳ですね?」

「はい、サイババに会った事で夢が叶ったかどうかは
わからないのですが、あれから何か流れが変わったような気がしていまして、、、」

「へーっ!面白い話ですね!」

「はい、本当に運命って先が読めないのが楽しいですよねー♪」

と、ニューヨークから送られてきた1枚のFAXがきっかけで初めて電話をした武藤さんと仕事の話はそっちのけでサイババの話で盛り上がってしまった、、、つづく。

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