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桜井琉夏と琥一は法律上も「兄弟」なのか

 なぜ今更、と思われるかもしれない。10年ぶりにGS4の新しい風に吹かれた私の脳内の積み課題の上にうっすらとかぶっていた埃が飛ばされて、「あ、やるの忘れてた課題があった。」と思い出した。

 桜井琉夏と琥一が法律上本当に「兄弟」なのかどうか、いろいろな可能性を探りながら考えていきたいと思う。私は以前家庭裁判所に勤めていただけの一般人なので、法的な根拠に間違っているところがあったら教えてほしい。


1 桜井琉夏の親権者について

  琉夏は幼い頃に両親を亡くしている。親権者を亡くした未成年者なので、未成年後見人が必要になる。そうでないと、法律上の手続ができない。(たとえば、両親の生命保険請求、養子縁組、パスポート取得、子ども手当の申請など。学校関連の入学手続はギリギリ「保護者」という名目で叔父叔母でもいける可能性がある。)

【民法第838条】 後見は、次に掲げる場合に開始する。 一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。

 未成年後見人は家庭裁判所に申し立てをして選任する。未成年後見人は未成年に対して「身上監護」(世話をすること)と、「財産管理」の義務を負い、一年から数年に一回程度、家庭裁判所に財産管理目録を作成し報告しなければならない。これは未成年が成人するまでずっと続く。さらに、未成年者の財産には手を付けてはならないので、親の生命保険金とかから未成年者の生活費や学費を支出することは認められますが、大きな買い物をする際には事前に家庭裁判所への相談が必要になることもあります。

 琉夏について未成年後見人が選任されているとすれば、琥一の父か母のどちらかになる。(未成年後見人が複数でなれるようになったのは2012年4月からで、それまでは一人しかなれなかった。琉夏は2012年時点で19歳なので、成人間近で未成年後見人を増やすことは考えづらく、おそらく未成年後見人は一人で対応していた可能性が高い。)


2 琥一の両親と琉夏との養子縁組について

 養子縁組については、

【民法798条】未成年者を養子とする場合には、家庭裁判所の許可を要する。ただし、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合には、その許可を要しない。

【民法795条】配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、夫婦の一方が他方の嫡出子を養子とする場合又は配偶者の一方が意思表示をすることができない場合を除き、配偶者とともにしなければならない。

 ということから、琥一の両親が琉夏と養子縁組をするためには夫婦そろって養親にならないといけないし、さらに家庭裁判所の許可を得る必要がある。かつ、前項で考えたように、夫婦のどちらかが琉夏の未成年後見人となっている場合には、利益相反になるので特別代理人が必要になる。(本来であれば未成年後見人は未成年の利益のために、その養子縁組に賛成か反対か意見を言うべきところを、未成年後見人本人が養親になりたい場合は反対するわけがないので、未成年の利益を第三者の視点で判断できる代理人が必要になるというわけです。)

 養子縁組をするのであれば未成年の法定代理人が必須なので、未成年後見人選任は飛ばすことのできない手続です。(一気に養子縁組したいから、利益相反になる面倒な未成年後見人選任手続きはすっとばしちゃえということはできない。)

 おそらく一番手っ取り早い手続としては、未成年後見人選任と養子縁組を同時に申し立てする方法だと思う。少し時間はかかるかもしれないけど、でもまあ琉夏の両親の生命保険金が莫大な額で下りていたとかでもなければ、普通に衣食住の面倒もみているし、おそらく認容される可能性が高い。(あくまで個人の意見です)桜井組の顧問弁護士とかに頼めば相談に乗ってもらえたのではなかろうか。(民法系には弱い弁護士もいるけれど)

 ゲームの中でも琥一の両親は琉夏を琥一の「弟」として引き取っているようなので、あの感じをみるとおそらく養子縁組をしている可能性が高いのではと思っています。養子縁組が認められれば、もう「親」なので未成年後見人の時のような家庭裁判所への定期的な報告は不要になります。


3 琉夏の氏名から考える

 ここで別の方向から考えてみたい。

 琉夏は1993年生まれである。しかし、「琉」の字が人名用漢字として使用できるようになったのは1997年12月。それまでは「ルカ」ではない別の漢字をあてていたか、まったく違う名前であったと考えられる。

 そして1997年12月以降に、琉夏の両親が家庭裁判所に「名の変更」と申し立て「琉夏」と改名することを許可された。琉夏の両親は彼が4歳の頃はまだ生きていた。「琉」の漢字もわざわざ変更手続を踏んで名づけているのだからかなり思い入れを持った感じなのだろう。琉夏の「ルカ」の音は聖書の聖人ルカ由来らしいので、彼の名前は音も漢字もかなり親の想いを込められたものなのだろう。(それこそ両親からの贈り物なんだね。うっ泣く。)

 養子縁組をするとなると、未成年者は養親の戸籍に入る。つまり、氏(名字)が養親と同じになる。北海道で両親と暮らしていた琉夏の氏が「桜井」だったのかどうかゲーム内でははっきりとした言及がなかったのだけど、「名字が変わった」というエピソードもなかった。(もし私のリサーチ不足であれば教えていただきたい)

 両親が亡くなったのは一番早くても琉夏が5歳の時と想定してみる。5歳にもなれば「○○ るか」というのが自分の名前であることは理解できているし、仮に名字が変わればそれなりに驚くと思う。


 ということを踏まえて結論。琉夏と琥一の関係はいろんな可能性がある。

① 琉夏は亡くなった両親の戸籍に入ったまま、琥一の親が未成年後見人、あるいは未成年後見人の手続きを経ずに実質上の保護者となって面倒を見ている。法律上、琉夏は琥一のただ同居している従兄弟であり、兄弟ではない。この場合、琉夏の名字は元々「桜井」であるので、琉夏と琥一の父同士が兄弟である可能性が高い。 


② 琉夏は養子縁組をして琥一の親の戸籍に入って(もちろん琥一とも同じ戸籍)おり、琥一とは義理の兄弟関係になる。この場合、琉夏の名字は元々「桜井」であるかもしれないし、そうでないかもしれない。


 個人的には②の可能性が高いなと思っている。というわけで両親の付けてくれた名前にはこだわる琉夏だけど、幼い頃に名字を変えてしまった彼は名字にはあまりこだわらないかもしれない。「俺、美奈子といっしょの名字になりたい。小波でいい。小波になりたい。」というがらんどうの瞳をしたルカが見たい。小波琉夏。イイ。

 


   

 

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