小箱にあったビー玉を光に翳す

1年が思ったよりも短いと初めて認識したのは、確か私がまだ高校生だった頃だったと思う。どこかの本で拾ってきた「楽しいと時間は早く過ぎていく」という言葉を勝手に自分のものにして、「この高校で過ごす1年が本当に楽しかったのだな」なんて気持ちに落とし所を作ったことを何となく覚えてる。

この1年は、「苦しくても1年は飛ぶように過ぎていく」と体感で理解した1年だった。唐突に消息が消えてしまった推しを追いかけて、探し求めて、美化して。そしてなんだかんだ起こる楽しいことを眺めながらも何となく消えない「苦しさ」を突きつけられて、その全てを抱えながら生きてきた1年だったな。それでもこの1年でその苦しさは少しずつ薄れてきたし、あと1年もしたら全部を諦められるんじゃないか、なんて淡い期待ができるようになってきた。と、思う。体感の話。

私が探してきた人は、幸か不幸か今「違う場所で元気にしている」ということがわかっている。まぁなんか色々と大変そうではあるけども。それでも声を聞きたいと思ったら配信をつければそこに彼はいるし、メッセージを投げたいと思ったらリンクからマシュマロを選んで文字を書き綴れば相手に届けることが出来る。

たったそれだけのことが出来なくて、虚空に向かって叫んで祈って言葉を吐いていた日々のことを思えば、きっと今置かれている状況はかなりラッキーな方なんだろう。


たったそれだけのことが出来なかったあの期間、私のメンタルは本当〜〜にイカれていたと振り返って改めて思う。1年経った今だからもう時効だと思って言うけど、私はあの時期2期生出身ヒーローの配信以外が見られてなかった。どうしても2期生という括りに縋りついていたかったらしく、彼と関わりのあった人間(じゃないやつもいるが)の声を聞いて何とか生きてるような日々だった。あの期間があったから余計に2期生出身ヒーローズをより好きになった自覚があるし、そこからヒーロー全員のことが大好きになった、という裏話もあったりする。人生って色々あるよね。

メタなことを言ってしまうとVtuberとしてのロールプレイの一環でしかないはずの「ヒーロー」という彼らの肩書きは、あの時の私にとっては間違いなく「本物」で、彼らは私の心の安寧を守ってくれた「ヒーロー」だった。あの期間に彼らが私のヒーローでい続けてくれた恩を私は忘れるつもりはないし、今でもずっと感謝してる。世界の端っこには、少なくとも1人、君たちに心底救われていた人間がいたと彼らに知ってほしいな〜なんて思うのと同時に、私は勝手に彼らを「私のヒーロー」と定めて勝手に助けられただけだし、それを彼らにわざわざ知らせるのもおかしいも思っている。言うとしたら、彼らとのサシトークが運よく当たった時かな〜。いやでも今は2期生がどうとか関係なく(勿論それも根底にはあるし、今後も私の中で大きな意味を持つけれど)純粋に彼ら彼女らの配信が大好きなので、そんな終わった話を蒸し返す必要もないんだろうけども。

話を戻そう。あの夏、私は毎日12時になるとスマホを見て、デビューの通知が来ないか確認して、そして毎日ちょっとした絶望を味わってた。毎日のように期待して、それと同じ回数だけ絶望する。今日がダメなら明日、明日がダメなら来週。この日は既存ライバーの記念日だから多分デビューはないなんて、予想にもならないただの希望を毎日抱えて生きていたことをよく覚えてる。今になって思い返すと、よくぞあれ程までの回数絶望を飲み込んでまた希望を繋げていたよ。すげぇよ、あの頃の私。本当に彼らのデビューを盲信していたんだなと今になと思う。「彼らがデビューする理由」を探したくてVTA公式のポストのリポスト数・いいね数・閲覧回数を複数人分まとめるなんてこともしていたし。正直今それが出来るかと言われたら絶対に無理。真っ直ぐな狂気がないとあんなんやれん。

それだけの狂気も「区切り」が出来たら少しは落ち着くわけで。その1つ目が9月22日の初配信で、2つ目が11月21日のデビューだった。あとは推し直接本人から「ここでやる」という意味の言葉を聞かされた日々の積み重ね。あんだけ言われりゃこっちも流石に理解する。あの人は1人でやっていくんだって。でも前にも書いたけれど、あの人が真綿で首を締めるように、酸素を徐々に薄くするように、ゆっくりジワジワ希望を殺してくれる優しい人で本当に良かった。マキマさん並に「死なない」人間なので、うまくこちらの希望を殺してくれたことに本当に感謝してる。これって概念的自殺幇助とかになったりするのだろうか。多分ならないよな、私が勝手に死んでっただけだから。

月日の流れだけでは人間の希望は死なないのは今でも私の中に居続けるどこぞのマゾが証明しているのだけど、少しずつゆっくりジワジワ私が納得できる「おしまい」を見付けたいなと今は思ってる。


山のようにいるにじさんじのオタクの中で、今私がどうにか感情に折り合いをつけようとしている人達のことを知っている人は本当に本当にごく僅かしかいない。多分私が大切にしている思い出とか感情とかは、他の人からすれば20個100円で売ってるようなビー玉にしか過ぎないのだと思う。

それでも私にとっては、光に翳すと今でもキラキラと輝く宝石にも負けない煌めきを秘めた「たからもの」であることはずっと揺るがない。私ね、VTA生のリスナーでいた期間も、その後彼らを待ち続けた時間もはちゃめちゃに大切なんだ。大切だから普段は小箱にしまっておくし、大切だからたまに引っ張り出しては光を当てて「相変わらず綺麗だなぁ」なんてその光の反射を楽しんだりする。そんなたまに引っ張り出して光に翳す日が今日。1年だからね。ゆるしてよ。だからそんな感じでうまく感情と付き合って「綺麗な思い出」に昇華させたいと思いながら、今はまだ殺しきれない希望をうまく宥めつつ生きていこうと思っている。

私、1年経っても変わらずにあなた達が大好きだよ。今どこで何をしているのかわからない人もいるけれど、みんなが楽しく生きていたらいいなって心底思ってる。にじでデビューした人を含めて何をしているか知ってる人たちは、それぞれが選んだ道でみんなが思う最高の未来に辿りついて欲しいなと願ってる。もしかしたらこれはある種の呪いになってしまうのかもしれないけれど、私は呪術師でも何でもない一般人なのでね。何の効力も発生しないだろうと思ってここに記します。七夕には少し早いけどもいいでしょう、ただのオタクの戯言なんだし。

この世界にたった17人しかいないVTA2期生のみんなが大好きだよ!!!

ずっとずっとずーーーーーっっと楽しく生きててね!!!

またいつかどこかで記憶の中の君たちを引っ張り出させておくれ。またその時まで小箱の中でゆっくりしといてよ。

じゃあ、またね!




追記。去年の今頃、私の中の2期生のテーマソングは惑星ループだったけど、今はさよーならまたいつか!です。

瞬け 羽を広げ 気儘に飛べ どこまでもゆけ
100年先も憶えてるかな 知らねえけれど
100年先のあなたに会いたい 消え失せるなよ
さよーならまたいつか!

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