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【ニブセキの息子】脊髄髄膜瘤の疑い、と初めて告げられたとき

二分脊椎症の息子3歳は、脊髄髄膜瘤という、神経に悪さをするコブをお尻に持って生まれてきました。出産後すぐにこれを埋め込む手術。脳にお水がたまった生後一か月、お水を逃す管を入れる手術。1歳のときにその管の入れ替え手術。2歳半のときに脊髄のお水を逃す管を入れ、髄膜瘤の癒着をなくすダブル手術をしています。

二分脊椎症の息子3歳がおなかにいたころのこと。

大学病院の先生から「脊髄髄膜瘤の疑い」と告げられ、ひとしきり説明をきいたとき。私は思った。

「そんな病気、見たことも聞いたこともない」

先生からは、水頭症とかかわりが深いこと、一般的に広いくくりで「二分脊椎症」というとらえかたをされることを聞いた。けれど、まわりでかかったひとを知らないし、参考にすべき先達もすぐには見つからなかった。

「いいか、真に受けず、話半分に見とくんだぞ」と自分に言い聞かせながら、スマホを手に取り、調べてみる。よせばいいのにね。

信頼のおけそうなサイトで調べてみると

トップに出てきた記事。公益財団法人が運営している指定難病センターのサイトで、難病のひとつとして脊髄髄膜瘤が紹介されていた。

ああ、このたぐいのサイトなら信用してもいいかもしれない。指定難病か…将来、どうなるんだろう、と肩を落とす。

次に、症状の欄を読んでみる。これは先生から聞いた。歩くことや排泄、発達面での課題が出てくる可能性があること。リハビリも、おしっこの介助も必要かな。生まれたら、頑張らないといけないなあ。でもまだ生まれてないから分からないけどね…

心が折れそうになった言葉

私が目を疑ったのは次の部分だ。それは、どのような人に多いのかの説明。

「食事内容に無関心・無頓着の女性、親戚に脊髄髄膜瘤(顕性二分脊椎)患者のいる女性、抗てんかん薬を内服中の女性などから出生します。
食事内容に十分に配慮した場合でも、遺伝因子・環境因子が影響して出生する場合も あります。」

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=指定難病センターHPより

言い方。そうですか。無関心ですか。無頓着ですか。いや、そういう傾向が強いということだろうけど、これは、ただでさえ体も心も不安定な妊婦さんが説明を読んだらどう思うか。自らを責めはしないか。いちおう「など」と書いてはあるが、こういうときの「など」は目に入りにくくなる。一文目がこんな書き出しだったら、単純にウワッとなるよ…

頑張って、前向きに育てていこうという気持ちを、検索一発でむしり取ってしまうくらいの力を、私は感じた。

ちなみに、妻はジャンクフードも好きだけれど、野菜がたくさんの普通の食事も大好き。特に食生活が著しく偏っているようなことはなさそうだった。葉酸を摂ると脊髄髄膜瘤のリスクが減るというのは、病院でもらった冊子に書いてあったが、そもそもが数千人にひとりと言われている病気。それが半分になったところで、かかる人はかかるのではないか。0.02%が、0.01%になるようなイメージ。あの栄養もこの栄養も、と考えすぎて心をダメにしてしまっては元も子もない。

言葉ひとつ

言葉ひとつで、心の持ちようは全然変わってくると思うのだ。軽い気持ちの検索で、不安定な心がさらに乱されてしまうなんて、悲しすぎる。

一時的には沈んだり、泣き合ったりした私たちだったが、息子は多くの支えがあって生まれてくることができた。笑顔に何度も救われた。生まれ、育ってきて、本当によかったよ…



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