急成長中のベンチャー鳩にインタビュー

——本日は鳩さんにお越しいただいております。よろしくお願いいたします。

鳩 こちらこそよろしくお願いします。

——早速ですが、鳩さんの現在の活動内容についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

 2年前まではゴミ捨て場でサーチ(※1)をやっていたんですが、今は街中でゲイナー(※2)をやっています。

※1 残飯を探すこと
※2 与えられた餌を獲得する鳩のこと

——ゴミ捨て場から街中に移ったのは何か心境の変化などがあったのでしょうか?

 実はあまり何も考えてなかったんですよね(笑)別に変革を起こそうとか業界を引っ張っていこうとか思っていたわけではなくて、ただ路上環境の変化を注視していたら自然とこうなったというか。挑戦するだけの価値はあるなと。

——それはかなり勇気のある行動でしたね。

 まあ街中でやっていけなくても何とかなるだろうと(笑)でも本気でリスク背負って無策でやっていたわけではないんです。だってゴミ捨て場に戻ればいつでも他の鳩の3倍は餌を得れる自信がありましたからね。なのにわざわざリスクを取って街中を選んだのは普通の鳩からすればかなり損してると思いますよ(笑)最初の数日は誰からも餌を貰えませんでしたから。

——(笑)それでも路上に出ようと思ったのはやはり多くの餌を独り占めしたいというような野望があったのでしょうか?

 そう思われることも多いんですが、餌自体には興味がないんですよね。明日から残飯だけでもいいと本気で思ってます。

——餌を得ること自体よりも働き方や環境を変えたかったということでしょうか?

 うーん……これはちょっと説明するのが難しいんですが、なんというか常に挑戦をしていかないと道が開けないという感覚があるんです。小鳩の頃から社会に疑問を持っていて、周りの鳩みたいに頭を前後に動かして歩くことが苦手だったんです。それでいて伝書鳩みたいな働き方も自分には出来なかった。それじゃあ自分に出来ることは何だろうって考えてみて、自分なりの武器を磨いて誰もやっていないことに挑戦していったことが今に繋がっているというか。

——なるほど。鳩さんらしい生き方ですね。

 小鳩の頃から周りの鳩に出来ることが上手くできなくて、劣等感みたいなものが自分の中にすごくあったんです。巣立ちだって50日以上出来なかったんですよ。それでも何とかして周りの鳩たちに一泡吹かせてやろうっていう根性でこういう領域に飛び込んだというか。ゴミ捨て場も路上も実力主義ですからね。

——最後に読者の鳩の皆さんにメッセージを。

 今は路上環境的にゴミ捨て場でも街中でも餌が飽和していますし働き方も変わってきています。ただ残飯を漁るだけが鳩じゃないんだぞと。そんな中ではやはり自分が得意なことを伸ばして挑戦していくことが大切だと思います。

——ありがとうございました。


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