依頼:売られてしまった息子を助けてください!
依頼元:https://twitter.com/428_rrr/status/1783860293157998952
『誘拐された息子が地下闘技場へ売られてしまったということがわかりました。
あの子を助けてください!
えっ!? どうしてあの子が地下闘技場に出ることになってるんですか!?
すみません冒険者さん!
賞金はすべて持って行っていいのであの子の代わりに出場してください!』
依頼人:とある商業盛んな街の貴族の母親
●
「ほ、本当に帰れるんですか?」
「うん。僕が代理人として出場するから。手続きはもう済んでいるよ」
地下闘技場控室――もとい、牢獄。
ターボ・コリンズは代理出場手続きを終え、囚われし貴族の息子との面会に成功した。
へたり込む救出対象に肩を貸しつつ、ターボは辺りの様子を伺う。
こちらに注意は向けつつも、興味は無さげな看守達。
別の牢から向けられる、殺気とも呼べる視線。
なるほど。これは相応に楽しめそうだ。
「良かったら、試合見ていく?」
「へ?」
「僕に賭けてよ。……なんてね」
軽口を叩きながら、ターボは貴族の息子を連れ出してゆく。
背を刺すような、数多の視線を受け止めながら。
救出さえ成功すれば、代理出場を反故にしてしまう手もあった。
しかし、ターボは挑むことを決めた。
冒険者として鍛えた肉体が何処まで通用するのか、純粋に興味があったからだ。
貴族の息子の代理としての試合は難なくこなし、勝ち上がってゆき――そして。
「“闘技場の主”に挑むのは、まさかのルーキー! 斧使いのターボだあああ!!」
観客の注目と感心、罵声を集めながら、決勝戦の舞台へと上がる。
相手は兜で顔を隠した剣闘士だ。
どれほどの修羅場を潜り抜けてきたのか、剣も盾も相当に使い込まれている。
されど、ターボは臆さない。負ける気もない。
これは依頼でなく、試合。
己が選んだ戦いであるからだ。
突き、斬り、払い。時には盾で殴って不意を打つ。
技量だけならば、紛れなく剣闘士の方が上であった。
ゆえに、ターボは一撃に賭けることとした。
膂力。自分の方が優れていると見た一点に全てを込めるのだ。
「オオオオオォォォ!!」
正中線を狙って繰り出される突き。
それを体捌きで躱すと同時。
「はあっ!」
全力を込めて斧を振り下ろす。
斧の側面で兜を強かに打ち据え――“主”は剣と盾を取り落とし、膝を付き。
どさりとその場に昏倒した。
「しょ、勝者はルーキー! 斧使いのターボ!」
歓声、怒号。
様々な感情が闘技場に渦巻いていた。
けれどもターボは人から向けられるそれらには、さほど興味は無かった。
「人相手ならここまでやれる、と」
己の力がどれほど通用するのか確かめられれば。
「……あの貴族の子。今頃は家に帰り付いてるかな」
そして求められた仕事をきっちりとこなせたならば、それで良かったのだ。
* * *
引用RT参加:末尾1→0:大大成功!闘技場でなんと優勝した!
(戦士職/出目繰り上げ可能ルール適用)
ソロorPT:ソロ参加
報酬:50+600=650ルプ
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