依頼:死体の回収
依頼元:https://twitter.com/azsea5/status/1782300199073051036
『ウチの客の冒険者がドジったらしくて森の奥の遺跡から帰ってこないんだ。
拾ってきてやっておくれ。
蘇生するにも埋葬するにも死体は必要だからね。』
依頼人:『兎の雨宿り亭』の女将
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明日は我が身に降りかかっても何もおかしくはない話だ。
その思いから、ターボは此度の依頼を引き受けると決めた。
(僕は戦場にも積極的に出ていくし、ね)
遺跡の入り口で鼻を利かせれば、一人で挑みに行ったらしい“何者”かの匂いを捉えられた。
これを追っていけば、辿り着けるだろう――彼、もしくは彼女が生きているかはわからないけれど。
(松明は獣脂の臭いが邪魔になるから……灯りの代わりに、これで)
ベルブリの葉を水で濡らし、その雫で軽く瞼を撫でれば、あら不思議。
闇の中でも昼間のようにくっきりと見通せる――薬草の効果で得た、一時的な暗視能力だ。
「さて、と」
鼻と耳とに意識を集中させて。
愛用の斧を担いで、いざ遺跡の奥へ。
程なくして、“彼”は見つかった。
「ア、アア、ア……」
糸に操られし人形のような動きでターボの方へと歩いて来る。
虚ろな目、額には乾いた血の跡。
おそらくは頭を強く打って死亡したのちに。
(悪霊か何かに憑依されたってところか。……面倒だな)
除霊の手段でもあれば良かったが、生憎ターボは術の類を使わない。
(いや。死体に憑依する類の魔物なら、もしかすると)
思考を巡らせ“彼”を連れ帰る為の策を講じる。
上手くいけば、遺跡を出たところで大人しくさせられるかもしれない。
最悪でも、街まで力づくで運べばいいだけだ。
「アア……ア……」
死体の動作は緩慢。敏捷とはいえぬターボでも充分に対応できる。
やるだけやってみるべきと決め、するりとロープを取り出して
「僕、器用な方じゃないからさ――跡が残ったらごめんね!」
青年は動く死体へ飛び掛かった。
体重をかけて床に押し付け、猿轡の要領でロープを噛ませ。
後ろ手にさせて手首にロープを巻き付け、最後は足首の箇所で固く縛り――捕縛完了。
ひょいと死体を持ち上げ、ターボは駆ける。
駆ける、駆ける、駆ける。
遺跡の入口へ、太陽の下へ。
(勘が当たってれば、これで……)
暗い通路を抜けて、涼やかな風が吹く森へ出る。
青年と死体とを日の光が包みこんだ、刹那。
「グ、ウ……」
ぐねぐねと動いていた死体は、担がれたままぴくりとも動かなくなった。
(ふぅ。何とかなった、かな)
悪霊を始めとしたアンデッドの類は、光に弱い傾向を持つ。
ならば、陽光の力を借りれば無力化できるのではないか――その判断は、どうやら正しかったようだ。
「それじゃあ、帰ろうか。“誰かさん”」
物言わぬ死体に語り掛け、ターボは街に向かって歩き出す。
――彼の名は、後に蘇生した彼自身から知らされたのだとか。
* * *
引用RT参加:末尾9
→悪霊が取り憑いたらしく死体が動いている。
動かなくなるまで袋叩きにしてから回収した。
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