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soaking

おはよう御座います。
atelierity onlineです。

Tillandsia magazine第二話として、本日は書かせていただくのですが、本日のテーマは[soaking]です。

正直、僕自身、Tillandsiaの栽培を始めるまで、知らない言葉でした。
soak=浸す、という意味の言葉だそうで、簡潔に言えば、Tillandsiaを水につける給水方法です。

僕は、この言葉を知らないまま、独自に、この給水方法を考え出してしまったせいで「沐浴」「水浴び」「お風呂」なんて呼び方をしていました。

今回はsoakingのビデオを撮影しましたので、少しsoakingのお話をしたいと思います。

何故、soakingを取り上げるのか

Tillandsiaには様々な魅力があり、香りの良い花をつけたり、個性的な葉を持っていたり、様々な空間で共に暮らす事で演出してくれたりと、お話したい事が山程あるのですが、Tillandsiaと暮らす上で、これだけは超重要という部分があります。

それは「水と通気」です。

この二つがないと、Tillandsiaは早かれ遅かれ、僕達の元から去っていきます。

この二つの要素以外でTillandsiaと暮らす上で重要な要素としては「根付」と「光」がありますが、「水と通気」に比べると、重要度、気をつけなければいけない度合いとしては大きな開きがあります。

まずは一緒に暮らし始めたら、この二つに気をつけて、暮らしを作っていく、と言う視点で今日は書いていこうと思います。

Tillandsiaは水が好き

一般的には乾燥に強いイメージがあり、場合によっては乾燥を好む、と言う認識を持たれている場合が多いのですが、Tillandsiaは水が大好きであり、自生環境は毎日水気があり、多湿な環境である事が多いです。

一部の種は乾燥した高地に自生する種類もあって、その場合は「通気」の方で、より乾燥気味な状態を作っていく事になりますが、基本的には彼らには大量の水分が必要です。

自生環境では雨季で雨に濡れるか、朝露を纏うか、のいずれかの方法で葉全体に水気を帯びて過ごしています。

ただし、ずっと濡れっぱなしであれば、呼吸が出来ず、腐って枯れてしまいますので、給水の後の通気は重要になってきます。

目安としては給水後、半日以内に表面から水気がなくなる程度の通気の良い場所が居心地が良いようです。

mistingとsoaking

Tillandsiaの水やりは一般的に「霧吹き」で行うモノとされ、週2回以上、全体が濡れるように行うモノとされています。

が、しかし、ハッキリ言って面倒臭いです。
僕のように植物と暮らす事が生業の一部と化している人は頑張って欲しいのですが、霧吹きは面倒で、部屋も濡れるし、忙しいとおざなりに為りがちです。

僕は「植物と暮らす」と言う事をテーマにTillandsiaとの暮らしについて考えていく中で人間の都合も大事だと想っています。

なので、霧吹きによる水やりは気が向いた時に、やって下さい。と言うスタンスを取っています。
勿論、株の状況や時期、お部屋の環境次第では、その考えでは暮らせない事もありますが、絶対にやらなくてはいけない!となると、始めのうちはいいのですが、何年も一緒に暮らす内に忘れてしまうタイミングが来てしまうと、死んでしまう事になります。

継続させる為には可愛い霧吹きを買う、水やり用のトレイを用意して部屋が濡れないようにする、など人間側の都合作りも重要になってきますが、対処策の一つとしてsoaking(ソーキング)と言う方法を知っておく事は重要で有用であると考えています。

soakingのタイミング

実は、この手法が認知され始めて、まだ日本では日が浅いです。

それ処か、Tillandsiaがエアープラントの名で販売され、当初はイージーケアを超えて、メンテナンスフリーであるかのような扱いを受けていた期間が相当ありました。

僕は中学生の頃に初めて、エアープラントとしてTillandsiaに出会ったのですが、当時はまるで雑貨のように売られていて、家に連れてきて、一年以内に枯らしてしまっていたように思います。

「なんで枯れてしまうのだろう」と考えて、水に濡れた時の彼らのバイタリティ溢れる姿を見ている内に「水没させる」と言う方法を思いつきました。

当時の僕はsoakingという言葉も手法としても認識がなかったので、様々なタイミングや時間で実験をしました。

結論としましてはそんなに「こうしなければならない」という枠組みが存在する訳ではなく

①週に一度以上なんらかの方法で水を充分に摂取する。
②水につけたままでは呼吸が出来ないので、数時間で切りやめる(浸けっぱなしにしない)←水草ではありません。
③葉先が枯れこむ、重量が軽くなってきている時は長めのsoakingを施す。

と言ったくらいの注意点を守れば、soakingは気楽な給水方法である、と思っています。

実は給水自体は気楽でも、その後のケアの方が重要だったりします。

寒さと濡れっぱなしはダメ

と言っても注意点は2点だけです。

①濡れっぱなしはダメ
②寒いのもダメ

この二つだけです。

基準としては半日(12時間)経過しても、株の根元がまだ濡れている状態であれば通気不足であり、寒さは人間が寒さを感じるくらいの室温であれば部屋ごと暖房してください、と言った程度の感覚です。

理想はsoaking不要の生活状況

ここまでsoakingのお話をしてきましたが、Tillandsiaは自然環境では水没する事はありません。

毎朝の朝露がなく、雨季も関係ない日本の室内でTillandsiaと共に暮らす為に人間が編み出した方法がsoakingです。

なので、1番の理想は室内環境にあったペースでの霧吹きによる給水、負荷のない状態での雨水の水浴びなどを用いて、soaking不要の生活環境を作る事です。

しかし、人間は動植物を自分達の生活環境に連れてきておきながら、常に、その生物達の理想に合わせて生活する事の出来ない身勝手な動物なのです。

だとしたら、このような手法も、生き物との暮らしの中で僕達が取り得る選択肢として知識を持っていく事も有用なのではないか、と思い、今回、取り上げさせて頂きました。


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