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鑑真さんが名付けた地名「尼ヶ辻」

アトリエ宝来の最寄り駅は、近鉄尼ヶ辻駅です。大和西大寺と西ノ京の間にある各停しか止まらない静かな駅です。

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駅の名前は、この地の地名「尼ヶ辻」に由来します。ここは、古来、難波宮から生駒山の暗峠を越えて平城京へ続く「奈良街道」(国道308号)が通るところです。

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最近届いた月刊誌「月刊 大和路ならら 2020年10月号」で大変興味深い記事に出会いました。その記事によると、江戸時代に唐招提寺の伝記類をまとめた「招提千歳伝記」に尼ヶ辻の由来が記されているそうです。鑑真和上が唐招提寺を建立する前、この地にあった皇族の邸宅を訪ねた際、その周囲の土地の土を取り上げて嘗めて、「この地は戒壇を築くのに最も適した地味である」と傍らの弟子に伝え、近くに戒壇(唐招提寺)をつくることになったというものです。

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ここでいう「地味」とは、「ちみ」と読んで、大地の豊かさという意味です。ですから、この地の土が豊かで甘かったので、「甘辻」となり、それが転じて「尼ヶ辻」となったということです。

なお、「戒壇」とは、僧に戒律を授ける場所のことです。この地域が、仏教の神髄を伝えるのに最も適したところだったとは・・・お寺が1000年以上も続いているのですから、その判断が正しかったことは明白ですが、近くに住んでいても知らないことが多いです。

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近くには菅原道真公生誕地もあります。やっぱり、ここは特別な場所なんでしょう。お寺も神社も長年にわたり地域の人々が支えています。(地域の力、これが地味でしょうか)



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