見出し画像

ラジカセに思う

今年、新しく仕事を始めるに当たり、お世話になっている方から写真の1990年大発売のラジカセを記念として頂きました。若い方は使ったこと無いか、存在すら知らないかもしれません。オーソドックスなカセットテープ録音再生機能とラジオ(今ではもはや使えないアナログテレビの音声も聴取可能)機能が付いていて、暗いところでもラジオがチューニングできるように照明ボタンなどもあり、当時の日本製造業のノウハウが垣間見られるものです。

まだ家の引き出しに捨てずに取っておいた、自分で編集したカセットテープを再生して、感慨深い曲に耳を傾けると、製品自体の凄さ、懐かしさを感じるほかに、当時どんなカルチャー、環境だったか、どんな思いで何をやっていたのかを自然と思い返されました。
当時から変わらずに持っている価値観、逆に当時だからあった、自分の中でも変化してきた思いは何だったのか等々、当時の経験が再現されることになりました。自己開示すると、マイセレクションのテープのつなぎ目をシームレスに編集することには相当こだわっていました。違和感を持って途切れる感じがどうもいやでした。そんな繋がりもあり、ビデオ、オーディオ関連の仕事に就いたわけですが。

自分の生き方、キャリアを考える上で、経験を再現してみることはとても大切なことです。それが成功体験であれば、それにしがみいたり、昔はよかったと懐かしむのではなく、自分の誇りとして持っておいてほしいと思います。痛い経験であればそれを超越するのか、避けるのかこれからを考える重要な切り口となるはずです。何であっても、次のステージに向かうための材料として使ってほしいと思います。

ある時代の製品、建物、音楽などをまず思い返してみると、それを発端として自分自身の経験の再現がしやすくなり、自分が大切しているもの、忘れかけていたもの、変えるべきものが見えやすくなるということを再認識できました。
今は、不安定な世の中となっていますが、不安定な今から決して目をそらすためではなく、思い返すことは未来を創造する可能性を秘めているのではないでしょうか。
p.s.
ラジカセはこれからも大切に使っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?