ワンダーエッグ全話簡易レビュー

なんだか大変そうなアニメだった。でも久々に気合の入ったオリジナル観たって感じはあったので、気になったところだけメモ的に書き出してみます。気になったところだけなので書いてない回は本当に書いてない。パート情報はほぼbooruなので正確ではない可能性大いにあり。でもどうせ海外豚がDMで全部きいてきてんだろうから多分合ってるよね。

第1回

絵コンテ・演出
若林信
作画監督
高橋沙妃

チルトシフト風な町の遠景ショットからスタート。舞台は郊外のおそらくニュータウンとか田園都市とか、そういうの。犯罪率が高く、フィクションでは子どもが事件に巻き込まれる定番の場所、というイメージがある。

大戸家にはウォーターサーバや、おそらくアイの運動不足解消用のルームランナがある。その他細々とした生活用品やインテリアが、大戸家の経済的豊かさを匂わせる。
この、アイが卵を不思議がりつつも日常のルーチンをこなすシーンがWEP全話の中で一番好き。

自分以外に誰もいない空間でアイは自由に過ごしているが、豊かな暮らしを支える数々の生活用品に囲まれたアイを、カメラはなんだかせせこましげに映し出す。ダイニングやリビングのショットで画面の真ん中にいるアイはちぢこまっているようにも見えるし、中学生の華奢な体にも端的に言うと映えがあって良い。

ベランダに出てもアイは外の風景に目を向けない。日中の自宅外は彼女にとってのアウェイなのか。その割に2話以降は平気な顔をして昼間からブラついているが。
自然光のみが差す明暗のコントラストも含め、総じてこの一連のシーンは家という空間の捉え方が素晴らしかった。CUのショットでは小林麻衣子による美麗なデザインも堪能できる。

目のディテール、口元の表現、アクセの立体感など目を見張るレベルで絵が良い。特に第一話はライティングによる質感の表出も理想形と言っていいのでは。

第一話の夢パートはワンダーキラー(ボス的存在)が喋らず、自殺少女も自分の生い立ちや心情をせかせかと吐露しないし、身の上もほとんどわからない。丁度良い。ものの十数分で作品から退場するゲストキャラの心情を慮るのは、なかなか厳しいからだ。正直に言うと、親友がいなかったということくらいしか明言されない第一話のくるみちゃんこそが、最も多くの情報量を湛えていたよな、みたいな感じもある。若林監督はその辺りの画で語る量と台詞の量に関して、かなり意識的な人なんだと勝手に慕っているんだけど、まあ、色々、あるよな…。

他人のパーソナルスペースにずかずかと踏み込んでくるやたらしっとりしている女・小糸chang。田所あずさの声が生っぽい。こういう芝居もできる人なのかとちょっとびっくりした。失礼だな…失礼だけどミリシタの青い子の役やってるってことくらいしか知らなかったので…。

それにしても本当に絵が良い。この次のカットからはDE DE MOUSEによるこれぞ、と言った感じのシグニチャーな劇伴に乗せて川上雄介のアクション作画。野島伸司の作風を一切知らなかったせいか、「トサカにきたぜ!」はえらく急にケレン味に振り切ったなと面食らった。

けろりらパート(らしい)。呆けた顔からこのくしゃっとした笑顔になるまでの、表情の変遷の不器用さがかわいらしく、印象に残った。

抑えめな色調の背景美術がかなり好み。ねいる登場で次回へ。幼少期のエウレカセブンからの刷り込みか、「つづく!」という元気の良い声で終わると子供の物語だと感じる節がある。

第2回

絵コンテ・演出
山﨑雄太
作画監督
石田一将

OPのこの顔のシルエット、作画が繰り出されているときによく見るヤツ、みたいなイメージがある。謎。

話的には前回語られたことの繰り返し。この回から敵役には社会問題を仮託され、更にそれをカリカチュアライズしたようなモンスターが据えられる。あまりに明確すぎて大丈夫かと心配になる。

アイは何故か前回と打って変わって活発になっている。ねいるにもフレンドリに接し、エッグから出てきた少女の手を積極的に引いていく。説教なんかもしちゃったりする。小糸ちゃんを生き返らせる目途がついて舞い上がっているのだろうか。それともこれが元々の性格だったのか。

ラストの小林恵祐による作画。ペットボトルを口に含む直前までねいるの顔を上目遣い気味に見やるアイのいじらしさが見どころ。

第3話

絵コンテ・演出
 米森雄紀
作画監督
 久武伊織
 けろりら

いきなり4k海作画。からのアクション。新キャラの登場とWEPでは新鮮さを感じさせる山本健の作画スタイルがマッチしている。

「マジ図々しい」や「ジュニアアイドルって枕営業でもしてたかも」など意外と俗っぽい発言を繰り返すねいるが面白い。

リカが風呂に浸かりながら言う「一皮剥けばヌメヌメよ……みーんな」が良い。後に明かされるリカの身の上を考えると、粘膜接触への忌避感のようでもある。裸になって、自分の女性性やリスカ痕というセンシティブな部分が全て可視化されている状態でこそ出てくる言葉だなーと思った。

sotyパート。ポテポテとした歩き方がめちゃくちゃかわいい。足はフレームから出てる上にスカートも長めなのにこんなにニュアンス伝わるものなのか。何考えて作画したんだとめちゃくちゃ気になった。

後半、恒例の夢空間での戦闘。ワンダーエッグから出てきたどうでもいいキャラの身の上が少し説明された後、アクションパートに入る。とても上手い。戦闘が長引き、一時避難した先で、リカが戦う理由が明かされる。とてつもなく説明的。こうなってしまうならもう開示しなければいいのに、という気持ち。しかし絵が良い。

なんだか一人だけ村瀬修功のような異次元の絵を繰り出している人がいて怖い。新沼拓也さんというらしい。うざメイドやイエスタデイで繰り出していた人だ。覚えておきたい。

第4回

絵コンテ・演出
 小室裕一郎
作画監督
 堀裕津
作画監督補佐
 けろりら
協力
 白身魚

特にない。戦闘パートでドラマが中断されている感じがもどかしい。というかなんだか身が入らない。リカの決め台詞は好き。トサカと同じでクセになる。千反田えるみたいな子がテンプレ的な、性別を武器に使う人間というキャラ付けで、まあアバンの会話なんかはおもしろかったが、いいのか、とちょっと複雑。

例の会話。俺が馬鹿なせいか、本当に主旨がわからん。この作品のアティチュードとしては、監督のツイートを参考にすると「古いジェンダー観に基づいた発言」ということなんだろうけど。
女子と男子の自殺では意味合いが違う→男は目的脳で女は感情脳→女は衝動的で他人の声に影響されやすいから死の誘惑があれば自殺する→誘惑に惑わされ後悔しているような子供たちのためにこの施設はある

ここまではわかる

→だから性別であーだこーだ言うなよ

??????

もうなんでもええわ。リカちゃんとねいるがかわいい。


第5回

絵コンテ・演出
 牛嶋新一郎
作画監督
 助川裕彦

アクション一番好きな回かも。橋っていいよね。


沢木は保護猫をたくさん飼っているらしい。猫めっちゃ飼ってるヤツ人間的にヤバそうという完全な偏見があるので疑いが深まった。というかやけに悪意のある猫の描き方をしている。ねこぢるみたいな目してんじゃん。

「私達だけの、誰も知らない物語だね」

いや……何…何って?言わされているような違和感が凄まじい。

過去回想。沢木は賭けている展覧会にアイを被写体にした絵で挑もうとしているらしい。小糸ちゃんはアイに「自信ある?無かったら辞退した方がよくない?笑 先生の人生がかかってるんだから」と言うのだがここの田所あずさが素晴らしい。
小糸ちゃんは大体どの場面でもアイと会話している時に微笑から表情を変化させないので、顔から読み取れる情報量が多くない。というわけで、小糸ちゃんの心情のディテールはほぼ田所あずさ頼み、というか田所あずさの演技をディレクションする側頼みになっている。そんな状況で田所あずさは小糸ちゃんを見事に捌ききっていて、つまり結局よくわからない人のままになっている。田所あずさはよくわからない人の声音を出している。

ここ野中正幸パートらしい。めっちゃ上手い。ジェンガを取るリカの手が映るカットとねいるが押し倒されるカットが好き。

にしてもリカはThe 女観男観みたいなことばかり喋っている。ツイッターで相互フォローの方が「毒親家庭で育った川井リカが伝統保守的な価値観にとらわれているというカルチュラルリプロダクションの表象が生々しい」みたいなことを言っていて、それ本当に考えてやってんなら凄いなと思った。

「ワンゲームやらしてよぉ。これ一種のグループセラピーみたいなもんだからさぁ」
「そうそう。一人じゃないんだって思うための」
「じゃないと私達、自殺しちゃうかもー」

非常に面白いシーン。本人達は冗談めかして言っているが、ロングショットが妙に余所余所しい。笑いどころなのかもしれない。実際リカは第三話にてグループセラピーかと突っ込みたくなるくらいに滔々と自分語りをしているし、リスカ痕は痛々しい。最終話(暫定)に登場した、友達ができなかったパラレルワールドのアイは自殺してしまっている。そして結局このボーリング場でも桃恵がトラウマの吐露を行う。


一言も発さず、このシーンにおいて物理的にも微妙に距離があるねいるは、本当にグループセラピーめいた状況になっていることに対してある種の馬鹿馬鹿しさを感じていてもおかしくはないなと思う。もちろん楽しさの方が上回っているのだろうが。

ねいるの決め台詞が一番好き。武器のギミックや形状もカッコよかったしお披露目の機会が少なくて残念。

白眉な演出。DE DE MOUSEの劇伴も素晴らしい仕事。一方通行の道の横にカメラがあり、フレームを挟んで4人の目線が分断されている。リカと桃恵も絶妙にすれ違っており、桃恵がリカを目で捉えた時にはリカは既にフレームの外に出てしまっている。押しつけがましくなく示唆的。また、この桃恵の肩を軽くタッチして過ぎ去るリカのそっけなさも良い。我らが小林恵祐の原画担当パート。

DE DE MOUSEの劇伴が本当に良いのでサントラ欲しい。牛尾憲輔のそれほどオブスキュアなとっつきづらさもなく、普段聴きに使えそう。

第6回

絵コンテ
 篠原啓輔
演出
 山本ゆうすけ
作画監督
 山崎淳

どうでもいい霊感女の発狂を聞かされた時はどうしようかと思ったけど、結果的にはすごい回だった。サブタイの「パンチドランク・デー」はPTAのパンチドランク・ラブが元ネタ?若林監督はたしかマグノリア好きって昔Twitterで言っていたような……でもこれ野島伸司があらかじめ脚本全部納品してるんだっけ。

パンチドランク・ラブは恋愛感情と癇癪が衝動でつながっていて、演出の唐突さにも意味がある、という映画だったけれど、6話におけるアイの何かを決心するタイミングや感情のスイッチも同じくらい唐突な印象。

浴槽のお湯インサートはまあ置いておくとして。わからんから。
数珠を見て何故アイは生活の悩みを爆発させたのかも、その数珠を持ち帰っていることに気づくことで何を感じて、沢木の元までダッシュすることを決心したのかもよくわからない。辛うじて考えるなら、見えないものが見えるようになる数珠→今まで拒否し続けてきた自分の感情(沢木へ向けている感情)に向き合う、みたいなよくある感じのものを挙げられるが、実際のアイちゃんはあからさまに発作的だったし、多分もっとプリミティブな感覚で動いていたような気がする。
演出による感情誘導を俺が読めていないのではなくて、本当に唐突さを演出している?いや~なんもわからん。

何にせよアイはめちゃくちゃ走った。パンチドランク・ラブでも、ヒロインにあらゆる意味で一直線に向かう(衝動に任せる)ことを決心したアダムサンドラーはめちゃくちゃ走った。決心して走った先で、現実がファンタジーに変質する瞬間をカメラが捉えることになる。それがあの映画の最高に綺麗な色彩感覚につながっている。

WEP6話ではラストの今岡律之パートがそれに当たる。この作画があったからWEP最後までとりあえず見ようと思った。

良すぎ。

完璧に人間の”情"を理解してる作画じゃん。

いやしかもこれ見てください。ここ。さっきの雨の中走ってるパートは小林恵祐作画で、写実的というか、のべ~っとした体つきでアイちゃん走ってたのね。それがのりゆきパートに入って、雨がやんで、先生見つけてってなると、超フォルム感のあるシルエットになって走る。なあこれがアニメーターの作画パートまで連動した"作劇の演出”なんだよ。すげえよ。

いや~やべ~~背景美術も最高。

あれだけオッドアイにコンプレックスを抱えていたアイちゃんが嬉しそうに髪を掻き上げて、両目を見せるという、まさに作品前半部のクライマックス的なシーン。これ動画のコマスクショしてたら切腹しますけど、素人なのでできれば大目に見てほしい。
何であの陰毛アイコンの人からこんな絵が生まれるのか不思議でならない。6話の放送の後も寿司握るとこやりましたとか言ってたし。一回だけでいいから本人が喋ってるとこ聴いてみたい。人間が気になる。あと原画ください。

前話に引き続きのなパートも最高だった。

このカットのアイちゃんの顔ちょっと田島列島みがある。


第7回

絵コンテ・演出
 小林麻衣子
作画監督
 鄧佳湄

普通に面白かったがあまり語る言葉がない。ほぼリカメインの話で閑話のようなものだからか。わりと作監の色が出ている回な気がする。小林麻衣子が演出修を入れていないわけがないとは思うがその辺はようわからん。

リカは母親のことを散々に言っていたが、気に入らないことがあると簡単に沸点を超すところは、リカも自身が馬鹿にする母親のそれと同じだ。ああはなるまいと思っていても似てしまう場合がある、というのは私的だが実際ウチの母親と祖母の関係がまんまそうなので、わりと実感のある描写だった。

バッティングセンターで一球打つ毎に感情を吐き出させるのは、流石に平成ドラマ脚本的な手癖を出し過ぎじゃないのと腰が引けてしまった。ちょっと古臭くないか……。

好意的に解釈するなら、素直な脚本演出の回と捉えることができる。父親に会いたいと零すリカの顔を真正面からてらいなく映したのは意外だったし、そういう画面の作り方を恥ずかしがってない感じがけっこう良かったと思う。
あとこの後の、走り去っていくリカの作画がめっっっちゃくちゃ上手い。ビビった。booruによるとmitsumi miyakoという人らしい。漢字が全然思い浮かばん。みやこさんで覚えとけばええか。

保守的な家族関係の修復に帰着するわけではなく、しかし極端な絶縁に行き着くわけでもない、子どもが大人になる過程で、ごく一般的に行われていく普通の距離の取り方を脚本で示すラスト。全部喋る。全部喋るけど話のオチとしては好きだ。リカ自身がよく喋るキャラなので、こいつがメインになるとやはりどうしてもセリフが増えるなと思った。後半のアクションパートでは流石にみんなうるさくて少し疲れたけれど、まあそういうのも含めてドラマ的な回だったな、という感じ。


こう、あんまりキャラクターの悩みを、テレビアニメのたかだか1話20数分のフォーマットでどうにかしてしまうところまで持っていくタイプの話が、どうしても苦手なんだけど、1クールの企画にそんな文句言ったってしょうがない。でも流石にこの後の9話と10話はちょっとキツかった。


第8回

総集編。総集編があるとすぐ「万策尽きた」と言い出すアニメオタクすげえ鬱陶しいんだけど、何でもっと寛容になれないんだろうかと疑問に思った。最近。


第9回

絵コンテ・演出
 山﨑雄太
作画監督
 張丹妮
 けろりら

脳科学的超技術、政府による秘密裏のデザインベイビー回収、パラレルワールド、と、あまりにボンクラな話になっていくので困惑が拭えない。急に出てきた新キャラの過去が長々と説明され、退場。感想の抱きようが無い。また、そこに葛藤の核を置くねいるの悩みに寄り添う作中のテンションにもついていけない。でもねいるの戦い方はやっぱり見栄えするな。

アイちゃんが懐かしんでいた小糸ちゃんの「とても嬉しそうな顔」は、やっぱり視聴者は拝むことができない。この辺で死因とかも明示する気無さそうだなと思った。とてもよろしいと思う。でも、じゃあ何で他に関してはあんなに台詞で全部ベラベラ説明するようにしたんだ……?


第10回

絵コンテ・演出
 小室裕一郎
演出補佐
 山本ゆうすけ
作画監督
 西谷泰史
 山崎淳
 小林麻衣子
 けろりら
 張丹妮
 鄧佳湄
 本吉晃子

特になし。ドットちゃんのウルトラマンのなんたら星人のような顔面がおもしろい。


第11回

絵コンテ・演出
 八木充
演出補佐
 山本ゆうすけ
 山﨑雄太
作画監督
 助川裕彦
 川妻智美
 西谷泰史
 山崎淳
 小林麻衣子
 張丹妮
 髙橋尚矢

高雄さんの変名だって知らなかった。
沢木の展覧会に行っていた筈のアイが何故かアカとウラアカの庭園を訪れているので1話飛ばしたかと思った。服も着替えているしそもそも同日の出来事ではないのか。

SF小話としても突っ込みどころしかないが、これをWEPの話の中核に据えるのは更に悪手過ぎる。小糸ちゃんの死因をあれだけサスペンス的に引っ張っておいて、少女の自殺には超科学的現象が絡んでいますって馬鹿なのかと思った。あくまで最後の一押しを加えるだけで、個々人の原因はしっかりあります、だったとしても、それならそれでこんな話をWEPの物語に挿入する必要が無い。アイ達4人にとっては知ったこっちゃない話でしかないからだ。明晰夢で戦えることも、エッグを割ると自殺した女の子が出てくることも、戦いを繰り返せば死んだ知人にもう一度逢えるということも、その原理など4人の女の子達は最初から一貫して気にしていないのだから、謎がそもそも作中で成立していない。

アイもアイで、その知ったこっちゃない話をきいたならまず真っ先に、掴みかかってでも問い詰めるはずの、「計画がフリルの自殺教唆阻止のためのものだったのなら、彫像の女の子達は本当に生き返るのか」「小糸ちゃんもフリルに惑わされて自殺したのか」といった疑問をスルーして何故か庭園を後にする。ショックを受けた様子で涙を流しているが、一体何に対してのものなのかわからない。生き返らないということをもう理解した故のものだろうか。だから騙されていたという悔し泣きか?えらく物分かりがいい。俺まだ知らないんだけどそれ。

でもフリルちゃんすげえかわいかった。このシーンの作画も引くくらい上手かったし。booruを参照するに、大野にちか?小野承國?数か月くらい前とある人に大野にちか知らんとか作ブーやめろって言われました。すいません覚えます。


第12回

絵コンテ・演出
 米森雄紀
演出補佐
 若林信    山本ゆうすけ
 山﨑雄太   小室裕一郎
 川上雄介
作画監督
 けろりら
 
 高橋沙妃   山崎淳
 小林麻衣子  助川裕彦
 張丹妮    小田景門
 山口萌

最早話はぐっちゃぐちゃで、撮影の薄さも苦しいが、正直9~11話より全然面白かった。良いシーンもたくさんある。本来描くべきものが描かれているからだろう。
あと、追い詰められたテレビアニメってやっぱりエヴァの編集スピードに近づいていくものなんだなあと思った。

約1分間このカットが続く。ここにきてようやくの省力演出。でも美術が良いからちゃんと画面が保つ。offセリフを流しながらじわじわと画面を寄せていくだけで演出としても成立している。けっこう好き。と思っていたらわりと未練がましくキャラが動くのでおいおい…となった。インターネットで感想を漁っていると、このカットは典型的な「万策尽き演出」としてネガティブに取り上げられがちだった。はいはい。

まだ本当の最終回が残っているということで、結局沢木が黒だったのか白だったのか、等の謎については置いておくしかない。クソデカ沢木の精神攻撃?のようなものをくらった後の場面では、明確に小糸ちゃんに対して自殺教唆を行ったように描写されている。アイはクソデカ沢木を「自分の疑念が作り出した偽物」みたいな風に言い表していたが、あの屋上で沢木が語っていた思想までもがアイの妄想だとはちょっと考えにくい。

小糸ちゃんも相変わらず表情を崩さないし、あまつさえ途中でフェードアウトしてしまう。
小糸ちゃんから離れ、アイが助けようと全力で走る対象はパラレルワールドで自殺してしまった自分自身。やっぱり小糸ちゃんの存在はあくまでマクガフィンであって、アイがどう自立していくかっていうところをこの作品は描きたかったんだと思いたい。そっちの方が俺の好きな話になるので。2人の自分を対比させ、自殺したアイに「ママに会いたいよ!」と叫ばせるところ、最終的にここに行き着くのなら本当に勿体ないなと思うくらい良いシーンだった。

また、この助けに行くシークエンスの最初、アイが精神世界?の物理法則を超えて走り出すカットも非常に良し。なんかの映画かアニメで似たようなものを見た気がしてならないが思い出せない。
この辺からは音楽も台詞も演出も全部噛み合っている。小糸ちゃんは意外そうな表情をしていたけど、ここでも微笑を崩さないでいてくれたら、個人的にはもっと良かったなあ。あと「トサカに~」のリップシンクがケツの方微妙にズレてるのも惜し過ぎる。

足のツマ先でちょんちょんするという家族へのスキンシップ、「全力応援、しまーす…」という台詞、演じ方、母の嬉しそうな顔。完璧。俺はこういうアニメが観たかった。遅いよ……。

あともう一つ、このシーンで1話の「親友になろうよ」という気味の悪いセリフを拾ったのも安心した。それでまた、ここの美術が良いんだ。


このくらいで、あとは最終回次第か。久々に5chとか、Twitterで作品名検索とかしてアニメオタクの反応を探ったけど、5chはみんなほとんど画面を見ずにひたすら台詞と設定の考察をしているって感じで「うわ~!アニオタだ!」っていう感覚を思い出しました。Twitterの方はなんかようわからん褒め方してる人が多くて怖かった。

アクションに全然言及してないけど、単に俺がアクションをどう見たらいいのかわからないだけです。やまざきはるみさんの作画とかすげぇ〜って思いながら見てた。アクションディレクタって具体的に何をやってたのか、とかも気になる。

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