僕は占いを好まない

 墓石を破壊してケトルを乗っけとる。絵面を思い浮かべてみてほしい。実に現代アートである。

 タイトルを流行に寄せてみた。僕は占いの類を一切見ない。ヒッグス場もプラネットナインもプレートテクトニクスも勘定に入れず運命を見通せるつもりになるなんて狭量且つ人間優位が過ぎる。21世紀の世にアリストテレスでもやるつもりなのだろうか。セファイド変光星の影響は0であると証明したと言っているのと同じだ。無視できるほど十分に小さいとは言えるだろうがあくまでも経験則に過ぎない。知性に対して余りにも品性に悖る傲慢な行為であると言わざるを得まい。

彼はもういない。これこそが時間なのだ。

カルロ・ロヴェッリ
時間は存在しない

 時間は存在しない。便利だから概念としてでっち上げたのであって、本来は座標の移動があるだけだ。故に過去も未来も存在しない。それこそラプラスの悪魔でもない限り誰かの先のことなんてわかるはずがない。

 しかし占いを好まない本当の理由はもっと幼稚で単純だ。つまり、いいことがあった時に僕の手柄がちょっと減る気がして嫌なのだ。

 待てよ、そういや占いでいいことあるよ〜言うてたな…こんな頑張らんでも結果は変わらなかったかもしれん……

 ガン萎えである。

 自分が頑張ってやりきったんだと、そういう透明な喜びがなければ、とかく生きていることは肯定しがたい。だから運勢だとか運命だとか不純物を混ぜないでほしい。なんとも難儀な拘りであることよ。

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