本当にやりたかったこと

私は現在ある大学の文系学部に籍を置いている。
高校1年生のときから“なんとなく”目指していた大学。

考えることが嫌いだからとにかく何も考えたくなくて、自分の将来を考えることは本当に苦手で嫌いで、
進路はと聞かれてもやりたいことが思いつかなくて。

それこそ小さい時、保育園とか小学校くらいかな。
そのときにはお医者さんになる!って言ってた。
なんでも治せるお医者さんになって、おばあちゃんの癌を治すんだ、家族みんなを長生きさせるんだ、って。
小さい頃の私素直でいい子かよ。

でも歳を重ねるにつれて現実が見えてきて、医者の道は早々に諦めた。
勉強が好きじゃないから頑張れなかった。(じゃあなんで大学行った?)

周りが自分のやりたいことを学ぶために志望校を選ぶ中、私は“なんとなく”視野に入れ続けていた今の大学を志望校にした。

なんで結局その大学を目指すことにしたのか。
それは、
・私の嫌いな理系教科を捨てても受験できる
・実家から通える
・比較的お金のかからない国公立大学
・彼氏が通っている
こんな感じの、不純といえば不純な理由ばっかり。

やりたいことも定まらない中で地元から出る気にもなれなかった。怖かった。
本当に意気地なし。もっと知らない世界に飛び込むことも選択肢にはあったけど。
怖くて今と変わらない生活を送ることを選んで、自分を守った。

だけどその大学を目指すとは言っても難易度は結構高くて、私の当時の成績じゃ到底入れそうもなかった。
実際担任からも進路指導担当からも「少し下げた、他のところにしよう。」と言われ続けていた。

すごい悔しかったんだよね。
あ、私だめだと思われてるんだ。って。

だからとにかく見返してやろうって気持ちで頑張った。
受かったときにはみんなコロッと態度変えちゃって、「君なら受かると思ってたよ!」って。
大人って本当ずるいな。そう思った。
そんな大人にはなりたくないな。

自分自身も合格がわかったときには嬉しかった。
家族も親戚も恋人も、友達も先輩も後輩もみんな自分のことのように喜んでくれた。

その延長で毎回聞かれるのは、
「その学部に入ったら、何になるの?」
「将来は何したいの?」って。

『あれ、私何したいんだろう。』
聞かれてハッとした。
私、やりたいことないじゃん。なりたいものないじゃん。って。

だから曖昧にしか答えられなかった。
逃げ続けてる。今も、将来のこと考えないように逃げてる。もうずるい大人に近づいちゃってるじゃん。

こんな私でも、幼い頃の医者以外に将来の夢を持ったことはある。
それは、水族館の飼育員さん。

私は水族館が大好きで、昔からいろいろな水族館に通っている。写真や動画を見るのも大好き。
私からしてみれば水族館はオアシス。
日常の何もかもを忘れて、そこにいる子たちをただずっと見つめる。
その瞬間は毎回心が安らいでた。
勉強が嫌いでも、水族館にいる子たちのことを学ぶことは全く苦じゃなかった。

いつか働きたい、自分の好きなことをしてみたい、好きな生物のお世話をしたい、ってそう思ってた。
初めて思ったことだった。
これが将来の夢なんだ、ってわかった。

でもその夢が明確になったのは、高校3年生。
そう、もう既に大っ嫌いな理系科目を捨てていた頃。
楽がしたいからって選んだ道が、後悔につながってた。

水族館で働くにはそれなりの知識が必要で、もちろん理系科目を学ばなくてはならない。
だから自分のやりたいことに気づいた時にはもう遅かった。

浪人だとか独学だとか、他にもいろいろ道はあったけど。
浪人することで親への負担を増やしたくない、独学では学び得ない知識だってある。
言い訳に聞こえるだろうけど、私は長く長く悩み続けた末に夢を諦めた。

本当にやりたかったよ。
でもいつまでも夢は見てられない。
現実を見なきゃって思い始めた。

だけど、今でも吹っ切れられていない。
夢にだってみる。自分が楽しそうに水族館で働いている姿。
毎回楽しいんだよ、目が覚めた後も。

ああ、私もしかしたらこうなっていたかもしれないんだなって後悔が身体から離れない。
自分が本当にやりたいことだったなって思い出す。

大学を出てから専門に通って夢を追いかけることだってできるけど。

私は今自分が選んだ道でやりたいことを探していこうと思う。
もう後戻りはできないしする気もない。
やりたいことはきっと見つかるし、見つける。
また後悔するかもしれないけど、その後悔は多分無駄なものじゃない。

自分が今置かれている状況の中で、最高の状態で過ごしたい。
捨てた夢も、後悔も、絶対に無駄になんかしない。

口だけになりそうだなぁ。
頑張らないと。

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