ユニゾンのライブは、私の誇り


コロナ禍のライブについて、今の想いをそのまま文章にしました。
(今行われているTOUR 2022 kaleido proud fiestaのネタバレがほんの少しあるので読まれる方は注意して下さい。曲のネタバレに関しては無いです。)


コロナ禍のライブについての文章なので、ライブの感想とかではありません。ただ、ユニゾンがコロナ禍でどんなライブをしているのか、という話。


予定していたライブが一切無くなってしまった2020年。予定していたライブを配信ライブという名の「無観客ライブ」に切り替えるバンドが増える中で、私の好きなバンドの中で先陣を切って「有観客ライブ」に踏み切ったのがUNISON SQUARE GARDENだった。


今でも覚えている。
仕事終わりにUNICITYからのメールが届いていて、開いた時の心の高鳴りを。配信ライブでそれなりに心は満たされていたけれど、ユニゾンが1番最初に地元でライブをしてくれることが何よりも嬉しかった。
長く生の音楽に触れない生活をしていて、少しそんな生活に慣れてきた頃だったと思う。2020年に有観客ライブに参加出来るとは全く考えていなかった。

そして、コロナ禍でのライブに全く不安がなかったわけではない。ユニゾンは全国ツアーをやるのだ。まだ県を跨ぐ移動は怖いし、未知のウイルスに対しての恐怖感はあったし、ライブ会場は果たして安全なのか、危険なのか全く分からない状況だった。

会場の消毒にはダスキンが入り、もちろんソーシャルディスタンスでホールは一席空け、そしてユニゾンは立ち上がらずに「ロックバンドを座って見る」という全く新しいライブのスタイルを提案してきた。

でも今思えば、これはUNISON SQUARE GARDENだから出来たライブだった。この件について詳しくは後述する。

私にとっても一生のうちで忘れられないライブとなった“LIVE (on the) SEAT”の新潟公演。いざ参加してみれば、十分過ぎるくらい対策された会場は安心感すらあった。

その後も、今現在もユニゾンはライブを止めていない。コロナ禍で1番ライブをしているバンドではないだろうか、と思うくらい年中ライブをしている。

ユニゾンはずっと言っている。
ロックバンドは生で見た方がいいと。
それをずっと言い続けて、全国各地を回り、ひたすらにライブを続けてきた。
この状況でライブ会場から遠ざかっていた物好きに対して、諦めずにずっと訴え続けているのだ。

その大切な「ライブが出来る場所」を守るのは、私たちも一緒だということ。

ライブ会場が怖い、まだ行けない、そんな人が世の中には沢山いると思う。コロナ禍で仕事も忙しくなった職種の人も、その逆の人もいるだろうし、人それぞれ理由があると思うけれどみんながコロナ禍前みたいにライブ会場に集まっているかと言われたら、絶対にそんなことはない。

私たちがライブ会場に来て守るべきなのは、マスクをすることと、会場内で声を出さない(喋らない)こと、ただそれだけ。(体調が少しでも悪かったら会場に来るなというのは当たり前なので)

それだけ守ったら楽しいライブに参加出来るのだから、守らない理由があるだろうか。


UNISON SQUARE GARDENだけではない。他のバンドも、私が参加したライブでは皆約束を守ってそれぞれの場所で楽しんでいた。これまで激しいライブを繰り広げていたバンドの中にはライブ前に「絶対に声を出すな、その場から動くな、モッシュやダイブをお前らが1人でもやった瞬間に俺らはライブをそこで止めて帰るから」と本人が言いに出てきたバンドもいた。

敢えてアコースティック編成で着席ライブにして各地を回るバンドがあったり、当たり前のようにシンガロングがあったバンドが「声が出せなくても心の声はちゃんと聴こえている」と言ってくれたり「マスクで顔が見えなくても楽しんでいるのが伝わってくる」とMCで話してくれたり、コロナ禍前のライブとはまた違う一面でライブを楽しめたり、経験したことのない気持ちをライブで感じることも増えた。

そうやって、みんなでライブという場所の安心を少しずつ積み重ねてきた。完全にストップしてしまったあの頃には戻りたくない。私も感染対策をしながら再び各地に遠征するようになったし、色々なバンドがライブや全国ツアーをするようになり音楽業界は再び活気付いてきた。


でも「慣れ」はどうしても出てきてしまう。
“LIVE (on the) SEAT”の頃に比べたら、開場後のライブ会場はとてもガヤガヤしているし、また感染者数が増えてきていてユニゾン側からも「大切なお知らせ」として注意されているにも関わらず、なかなか守られていない現状に少しモヤモヤする時もある。

そんな会場に不安を覚えてまたライブから遠ざかってしまう人もいるかもしれない。それは同じ物好きとして悲しいこと。だから田淵もずっと口酸っぱくブログで繰り返し発言している、「喋るな」と。

それでもユニゾンのライブでは発声禁止はしっかりと守られている。そもそもユニゾンのライブにはシンガロングがないというのも大きい。

前述した“LIVE (on the) SEAT”が普通のライブという形で実現出来たのはユニゾンのこれまでのライブスタイルにおいて客がスタンディングだろうと着席だろうとそこまでライブ自体に影響がないからだと思う。
田淵は本当に色んな人にライブに来てもらいたいというのがブログからも伝わってくる。着席なら更にライブ参加へのハードルが下がる人もいたはずだ(時期が微妙ではあった為に諦めた人も多かったと思うが)。
ユニゾンのスタンディングライブではそれなりにぎゅうぎゅうにはなったけれど、他のバンドに比べたらそこまでではなかったし、モッシュが起こったりもない。
斎藤くんはそもそもぎゅうぎゅうのライブが好きじゃないと言っていた(歳を重ねるにつれてそういう考えに変わっていったのかと思うが)。多分だけれどユニゾンがシンガロングを好まないのは、ライブにおける決まりごとみたいなものを出来るだけ排除したかったのではないかと思う。手拍子もしかり。今では言わなくなってしまったけれど、斎藤くんはずっと「自由に楽しんで下さい!」とMCで話していた。決まった手拍子や合いの手、シンガロングは初めてライブに来た人が戸惑う部分でもある。
そういうのを全て削ぎ落として、自分たちが楽しんでいるライブを見て楽しんで欲しい、というのが今のユニゾンのライブスタイルだ。
遂には自分たちも喋ることをやめてしまった。今のツアーでは、MCがない。(その代わりなのか、ツアーの途中から貴雄がドラムソロの時に色々楽しませたりしてくれている。)

だからユニゾンはホールでのライブを積極的に組むのかもしれない。ホールならぎゅうぎゅうになることもないし、快適だ。それなりのキャパを考えてツアーを組んでいるのがよくわかる。
大きなアリーナやドームを好まない彼らが全国各地のライブハウスではなくホールを回るのは、ある程度のキャパを確保して来れる物好き全員に来て欲しいから、なのだろう。
それでも私は、ライブハウスでユニゾンを観たい。これだけはずっと言い続けたい。

そして勝手な想像だけれど、斎藤くんはやはり自分の歌を聴いて欲しいのだと思う。隣の客が歌い始めて嫌な気持ちになる人の気持ちを1番わかってくれる気がする。

正直な話、コロナ禍のライブは快適な部分が多い。モッシュやダイブが当たり前のバンドのライブにも行っていたし、ライブでシンガロングがあるバンドの方が圧倒的に多い。そういうライブならではの「一体感」がなくなってしまったのは少し寂しい気がするのもわかる。

でもそういうのがスパッとなくなったことで、今まで以上にバンドの生音を全身で体感出来るようになった。自分自身のスペースがある程度確保されている中で見るライブがどれだけ快適か、それはコロナ禍だからこそ気付けたことだ。自由に身体を動かせること、隣の人の汗が触れないこと、とにかく快適だ。あと、MC中に「今日誕生日なんです!」とか本当にどうでもいい野次を飛ばしてくる奴がいなくなったことも嬉しい。

何よりシンガロングでも何でもない所で隣の人がボーカルより大きな声で歌っているとかそういうのがなくなったのは本当に良かった。これが1番良かったことかもしれない。お前の歌を聴きに来てるわけじゃない!と何度隣の人を睨みつけたことか(気付かれたことがない)。

海外のライブで日本語の歌詞をファンの人たちが歌っているシーンは感動する。異国の言葉を覚えて歌おうとするファンの姿は美しいとまで思う。でもここは日本。周りの人が当たり前のように合唱を始めても全く感動しないし、私と同じように感じている人は多いと思う。
生の演奏に合わせて歌うのは気持ちいいかもしれないが、頼むからシンガロングのパートだけにして欲しい。

それにしても、他のバンドマンは自分の歌だけを聴いて欲しいと思わないものだろうか。


最近では、人数を少なくして発声OKのライブに踏み切ったバンドがいたり、それぞれのバンドのスタイルに合わせて色々と模索していることがわかる。
ライブハウスでも、足元のマス目やフットマークがなくソーシャルディスタンスを客に任せている所もある。
それぞれ参加する人を信頼しているからこそ出来ること。


今年の夏は、やっと海外のアーティストが日本の夏フェスへの出演が叶った年になった。
海外ではもうノーマスク、歓声は当たり前なのかもしれない。でも日本ではやっと今年フェスが帰ってきた街もある。

フェスが行われることに関して、よく思わない町の人も沢山いるのかもしれない。それで中止を願う声が止まらずに直前で中止になったフェスをこの2年間いくつも見てきた。自分が行く行かないに関わらず、その度に悲しくて悔しい気持ちになった。

それでも諦めずに今年やっと開催出来たフェス。ここは海外じゃない。大好きなフェスに来ていても不安を抱えている人もきっといる。もちろんそろそろ大声を出して楽しんでもいいんじゃないかと思う人も中にはきっといる。

でも今はまだ、海外のようにはいかないよね、ここ日本だから。色々違うから。止まってしまった時間の中でこうすれば少しでも参加する人が安心出来るというルールの上でイベントは成り立っているのだから。

私はそこまでワーキャーはしゃぎたいわけじゃないから全然今のままでいい。そう考えた時、UNISON SQUARE GARDENのライブは私にとっては最適解だった。

ユニゾンを2019年に好きになって良かった。コロナ禍でずっとライブを続けてくれて、これだけ楽しませてくれて、本当に感謝しかない。

そのライブを成立させるために私たちが気をつけることなんて、コロナ禍の生活に於いては当たり前のことだけ。

心から誇れるバンドだ。
大きな音を出すロックバンドが私たちの目の前にいるだけで、ライブは成立するんだよ。

それを教えてくれたのがUNISON SQUARE GARDENだ。興味を持ったなら是非ライブへ行ってみて欲しい。

彼らは来年も、デカい音を鳴らしに近くの街へ来てくれるから。

「スキ」は書くための原動力になっています。良ければ♡押してください。読んでくださりありがとうございます。(サポートは不要です)