David and Stephanie Lewis「穴」
デイヴィド・ルイス、ステファニー・ルイス「穴」(David Lewis & Stephanie Lewis, "Holes", 1970)を全訳したので売ります。
以下から閲覧・ダウンロードできます。PDFで100円です。
これはデイヴィド・ルイスとステファニー・ルイス夫妻による穴の存在をめぐる対話篇で、「唯名論的唯物論」のがんこな支持者アーグルと、その友達バーグルが穴の存在を巡って議論します。
ゆかいな哲学者二人組のああ言えばこう言うユーモラスな会話が楽しい対話篇です(がまくんとかえるくんみたいな感じです)。
登場人物
アーグル: ボケ担当。いっさいの抽象者を認めないでおきたい。抽象者がでてくるとひとこと言わずにはいられない難儀な人。へらず口が多くてすきが多い。好きなものはチーズとパラフレーズ。
バーグル: ツッコミ担当。常識的意見の代弁者だが、アーグルをからかうのが好きらしい。暴れるアーグルを手玉にとる包容力が感じられる。
どうして穴の存在が問題になるのか? 唯名論的唯物論の支持者アーグルは物質からできているものだけが存在するという立場をとっています。ところが、穴は物質の不在であって、物質からできているものではないように思われます。これにがまんならないアーグルは、なんとかして唯物論的世界観のなかに穴を位置づけようとしますが、「常識的意見」の味方であるバーグルが次々と難問をつきつけます。
こうした穴の存在を巡る議論もこの対話篇の魅力ですが、もうひとつの主題は、最後に示唆されている通り、哲学的議論というものがどうやって進むのかの実例にあります。アーグル、バーグルの議論はクワインやデイヴィドソンら哲学者の議論が元ネタになっていて、還元やパラフレーズの技法が駆使され、模範的な分析哲学の議論をディスプレイするような形で対話が進みます。
一部難しい部分もありますが、基本的には前提知識などを必要とせずに楽しめる対話篇であり、哲学入門にもうってつけだと思われます。
原典:Lewis, David & Lewis, Stephanie (1970). Holes. Australasian Journal of Philosophy 48 (2):206 – 212.
訳者:たかだ
バージョン: 1.0(2015.06.15)
ファイル形式: PDF
ファイルサイズ: 533KB
分量: A4判 9ページ(約10000字)
なお、この翻訳は、いわゆる翻訳権の10年留保にもとづいたものです(旧著作権法第7条および現行著作権法附則第8条)。
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