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コモディティ市場のエネルギー商品 | 原油、天然ガスなど

コモディティ市場とは
トウモロコシ、砂糖、肉などの農産物関連品や石油
天然ガス、などのエネルギー関連品、金などの鉱産品が
取引される市場
のことです。

前者の農産物関連品をソフトコモディティ
後者のエネルギー関連品と鉱産品をハードコモディティと呼びます。

本記事では、ハードコモディティにおけるエネルギー先物商品の概要
種類、取引単価、FXとの比較、コモディティ価格の動向
変動要因について説明します。

一般のトレーダーは、通常現物の受け渡しは行わず
差金決済によるキャピタルゲインを狙う取引を行います。


エネルギー・コモディティ投資(エネルギー先物取引)とは


エネルギー市場は、コモディティ投資(商品先物取引)
スポット取引といった形に二分されています。

エネルギー市場におけるコモディティ投資とは
担保として証拠金を預託した上で原油や天然ガスなどの
市場価格の先行きを見通した将来の価格を現時点で決め
前もって将来購入する商品を取引する契約になります。

スポット取引とは、いわば現物取引のことを指し
原油や天然ガスそのものをその都度現金購入をする取引のことです。

原油

原油は、油井を掘って採掘する化石燃料の一種で炭化水素などの有機物を主成分とする精製されていない天然の石油のことです。

このブラックゴールドとも呼ばれる黒くて粘りのある液体を
蒸留・分離してガソリン、軽油や灯油などの燃料
多くの石油化学製品の原料となるナフサなどの石油製品が作られます。

ナフサからナイロン、ポリエステル、プラスチックなどの
石油化学製品を生産しています。

指標原油

指標原油は「マーカー原油」とも呼ばれ
原油の国際取引における価格決定の基準となっており
北米、欧州、アジアの三大市場の国際価格を指標としています。

特にWTI原油先物と北海ブレント原油先物は
商品先物市場で大量に取引されており
市場価格の透明性が高いと言えます。

WTIライトスイート原油先物|北米市場

米国のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEN)に
上場されているWTIライトスイート原油は
米国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に採掘される
硫黄分の少ないガソリンや軽油を多く含む高品質な軽質油です。

ライト・スイートの意味は、原油の等級を指しています。

ライトは粘性、スイートは硫黄の含有量を示しています。

WTI ライトスイート原油先物(CL)は
粘性が低い、硫黄分が少ない(甘い = sweet)上級の品質という意味です。

WTIライトスイート原油先物は、取引量、市場参加者数ともに
圧倒的に多く、欧州・北海ブレント、中東のドバイ原油
オマーン原油といった中から原油価格の代表的な指標となっています

北海ブレンド原油先物(ICEブレンド原油先物)| 欧州市場

イギリス・ロンドンにあるインターコンチネンタル取引所(ICE)傘下の
ICEフューチャーズ・ヨーロッパに北海ブレント原油先物として
上場されています。

油質は、WTIほどではないですが
似ており硫黄分の少ないガソリンや軽油を多く含有する軽質油です。

イギリスの北海に100以上ある海底油田で採掘されている
北海ブレンドは、主に欧州で取引される石油価格指標になっています。

ドバイ原油| アジア市場

ドバイ原油の油質は中質油です。

ドバイ原油の取引は「プラッツ・ウィンドウ」と呼ばれる
コンピューターによる相対取引(スポット取引)で行われます。

そのスポット価格から、エネルギー関連情報の配信社であるS&P グローバルプラッツ社がドバイ原油価格を発表しておりアジアで取引される石油価格の指標になっています。

各エネルギー・コモディティの紹介 | 取引単位と取引単価の算出方法

原油、天然ガスなどといった各エネルギー・コモディティの
紹介ならびに取引単位と取引単価の算出方法を説明します。

取引単位においては米国で習慣的に使用されている
バレル・ガロンなどの単位からリットル・トンなどといった
メートル法の単位に換算する計算方法を説明します。

取引単価については、単位あたりの米ドルで表しています。

ちなみに、0.01米ドルは1セントです。

* あくまでも求められた数値は概算値であり
精度の保証はできません了承ください。

CL WTI ライトスイート原油先物 Crude Oil Futures

CMEグループのニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を
取引所とするWTI ライトスイート原油先物(CL)は
世界中の原油先物で最も流通量の多いコモディティ先物になります。

この優れた流動性と価格の透明性により
WTIライトスイート原油先物は主要な
原油国際価格指標に指定されています。

取引要項 – WTI ライトスイート原油先物

– 限月:1月限、2月限、3月限、4月限、5月限、6月限、7月限、8月限、9月限、10月限、11月限、12月限(限月コード:F、G、H、J、K、M、N、Q、U、V、X、Z)

– 取引銘柄:CRUDE OIL FUTURES NYMEX

– ティッカーシンボル:CL

-コントラクトサイズ(取引単位 = 1ロット):1,000バレル

– 価格単位:0.01米ドル(1バレルあたりの米ドルとセント)

– 1コントラクトあたりの最低価格変動幅:10.00米ドル

単位換算方法 – バレル、リットル

– 1バレル = 1リットル × 159

– 1リットル = 1バレル × 0.00629

– 1キロリットル = 1バレル × 6.29

– 1バレルあたりの価格 = 1リットルあたりの価格 x 159

– 1リットルあたりの価格 = 1バレルあたりの価格 × 0.00629

– 1キロリットルあたりの価格 = 1バレルあたりの価格 × 6.29

HO ヒーティングオイル先物 Heating Oil Futures

CMEグループのニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を
取引所とするNYハーバーの灯油先物(HO)になります。

取引要項 – NYハーバーULSD先物

– 限月:1月限、2月限、3月限、4月限、5月限、6月限、7月限、8月限、9月限、10月限、11月限、12月限(限月コード:F、G、H、J、K、M、N、Q、U、V、X、Z)

– 取引銘柄:NY HARBOR ULSD FUTURS

– ティッカーシンボル:HO

-コントラクトサイズ(取引単位 = 1ロット):42,000ガロン

– 価格単位:0.0001米ドル(1ガロンあたりの米ドルとセント)1コントラクトあたり4.2米ドル

– 1コントラクトあたりの最低価格変動幅:4.20米ドル

単位換算方法 – ガロン、リットル

– 1ガロン = 1リットル × 3.785

– 1リットル = 1ガロン × 0.264

– 1キロリットル = 1ガロン × 264

– 42,000ガロン = 1,000バレル

– 1ガロンあたりの価格 = 1リットルあたりの価格 x 3.785

– 1リットルあたりの価格 = 1ガロンあたりの価格 × 0.264

– 1キロリットルあたりの価格 = 1ガロンあたりの価格 × 264

MB ミニブレンド金融先物 Mini Brent Financial Futures

CMEグループのニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を取引所とするミニブレンド金融先物(MBC)になります。

コントラクトサイズは100バレルといったミニサイズに設定されています。



取引要項 – ミニブレンド金融先物

– 限月:1月限、2月限、3月限、4月限、5月限、6月限、7月限、8月限、9月限、10月限、11月限、12月限(限月コード:F、G、H、J、K、M、N、Q、U、V、X、Z)

– 取引銘柄:MINI BRENT FINANSIAL FUTURS

– ティッカーシンボル:MBC

-コントラクトサイズ(取引単位 = 1ロット):100バレル

– 価格単位:0.01米ドル(1バレルあたりの米ドルとセント)

– 1コントラクトあたりの最低価格変動幅:1.00米ドル

単位換算方法 – バレル、リットル


– 1バレル = 1リットル × 159

– 1リットル = 1バレル × 0.00629

– 1キロリットル = 1バレル × 6.29

– 1バレルあたりの価格 = 1リットルあたりの価格 x 159

– 1リットルあたりの価格 = 1バレルあたりの価格 × 0.00629

– 1キロリットルあたりの価格 = 1バレルあたりの価格 × 6.29

NG 天然ガス先物 Henry Hub Natural Gas Futures

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を取引所とするヘンリーハブ天然ガス先物(NG)になります。

ヘンリーハブとは、米国南部ルイジアナ州に位置する天然ガスの集積地名です。

ヘンリーハブ天然ガス先物は、ガス関連先物市場において世界で最も流動性の高い指標銘柄です。

取引要項 – ヘンリーハブ天然ガス先物

– 限月:1月限、2月限、3月限、4月限、5月限、6月限、7月限、8月限、9月限、10月限、11月限、12月限(限月コード:F、G、H、J、K、M、N、Q、U、V、X、Z)

– 取引銘柄: NATURAL GAS HENRY HUB FUTURE

– ティッカーシンボル:NG

-コントラクトサイズ(取引単位 = 1ロット):10,000 MM Btu

– 価格単位:0.001米ドル(1MM Btuあたりの米ドルとセント)

– 1コントラクトあたりの最低価格変動幅:10.00米ドル

単位換算方法 – MM Btu、トン

MM Btu = 百万Btu

– 1MM btu = 51.8トン

– 1MM Btu = 1トン × 51.8

– 1トン = 1MM Btu × 0.019

– 1MM Btuあたりの価格 = 1トンあたりの価格 x 51.8

– 1トンあたりの価格 = 1MM Btuあたりの価格 × 0.019

QG 天然ガスミニ先物 E-mini Natural Gas Futures

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を取引所とするヘンリーハブ天然ガス先物のコントラクトサイズを2,500 MM Btuへとミニサイズに設定したコモディティ先物(QG)になります。

取引要項 – E-MINI天然ガス先物

– 限月:1月限、2月限、3月限、4月限、5月限、6月限、7月限、8月限、9月限、10月限、11月限、12月限(限月コード:F、G、H、J、K、M、N、Q、U、V、X、Z)

– 取引銘柄: E-MINI NATURAL GAS FUTURES

– ティッカーシンボル:QG

-コントラクトサイズ(取引単位 = 1ロット):2,500 MM Btu

– 価格単位:0.005米ドル(1MM Btuあたりの米ドルとセント)1コントラクトあたり12.5米ドル

– 1コントラクトあたりの最低価格変動幅:12.5米ドル

単位換算方法 – MM Btu、トン

MM Btu = 百万Btu

– 1MM btu = 51.8トン

– 1MM Btu = 1トン × 51.8

– 1トン = 1MM Btu × 0.019

– 1MM Btuあたりの価格 = 1トンあたりの価格 x 51.8

– 1トンあたりの価格 = 1MM Btuあたりの価格 × 0.019

QM 原油ミニ先物 E-mini Crude Oil Futures

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を取引所とするライトスイート原油先物のコントラクトサイズを500バレルへとミニサイズに設定したコモディティ先物(QM)になります。

標準のライトスイート原油先物とミニライトスイート原油先物の違いはコントラクトサイズと最小ティックです。

前者の場合0.01刻みに対してミニライトスイート原油先物は0.025刻みで取引されています。

取引要項 – 原油ミニ先物

– 限月:1月限、2月限、3月限、4月限、5月限、6月限、7月限、8月限、9月限、10月限、11月限、12月限(限月コード:F、G、H、J、K、M、N、Q、U、V、X、Z)

– 取引銘柄:E-MINI CRUDE OIL FUTURES

– ティッカーシンボル:QM

-コントラクトサイズ(取引単位 = 1ロット):500バレル

– 価格単位:0.025米ドル(1バレルあたりの米ドルとセント)1コントラクトあたり12.5米ドル

– 1コントラクトあたりの最低価格変動幅:12.50米ドル

単位換算方法 – バレル、リットル

– 1バレル = 1リットル × 159

– 1リットル = 1バレル × 0.00629

– 1キロリットル = 1バレル × 6.29

– 1バレルあたりの価格 = 1リットルあたりの価格 x 159

– 1リットルあたりの価格 = 1バレルあたりの価格 × 0.00629

– 1キロリットルあたりの価格 = 1バレルあたりの価格 × 6.29

RB RBOBガソリン先物

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を取引所とするRB RBOBガソリン先物(RB)になります。

ガソリンについては、米国が世界最大の石油精製能力を有しており、全世界におけるガソリン消費量の半分以上を占めています。

取引要項 – RBOBガソリン先物

– 限月:1月限、2月限、3月限、4月限、5月限、6月限、7月限、8月限、9月限、10月限、11月限、12月限(限月コード:F、G、H、J、K、M、N、Q、U、V、X、Z)

– 取引銘柄:RBOB GASOLINE FUTURES

– ティッカーシンボル:RB

-コントラクトサイズ(取引単位 = 1ロット):42,000ガロン

– 価格単位:0.0001米ドル(1ガロンあたりの米ドルとセント)1コントラクトあたり4.2米ドル

– 1コントラクトあたりの最低価格変動幅:4.20米ドル

単位換算方法 – ガロン、リットル

– 1ガロン = 1リットル × 3.785

– 1リットル = 1ガロン × 0.264

– 1キロリットル = 1ガロン × 264

– 42,000ガロン = 1,000バレル

– 1ガロンあたりの価格 = 1リットルあたりの価格 x 3.785

– 1リットルあたりの価格 = 1ガロンあたりの価格 × 0.264

– 1キロリットルあたりの価格 = 1ガロンあたりの価格 × 264

エネルギー・コモディティ投資とFXの相違点

エネルギー・コモディティ投資とFXを比較してみてその違いを説明します。
エネルギー・コモディティ投資の取引対象は、原油、天然ガス、ヒーティングオイル、ガソリンなどがあります。
FXは、各国の通貨が取引対象になっています。
コモディティ投資で期待できる利益は、値上がり益などのキャピタルゲインのみです。
FXの場合は、キャピタルゲインと各国通貨の金利差によるスワップポイントというインカムゲインが期待できます。
コモディティ投資は、限月という取引期間が設けられているのですがFXにはありません。
エネルギー・コモディティでは限月によって価格に相違がありますがこれは原油や天然ガスは、パイプラインや貯蔵タンクなどの大規模な設備が必要でFXと違って保管コストがかかるからです。
エネルギー・コモディティは、FXの値動きよりもボラリティーが大きい傾向にあります。
取引中に注意したいことは、原油、天然ガスのコモディティ先物は場合によって価格が乱高下することがあります。
原油先物の市場相場は、前週金曜日の数値を毎週水曜日、日本時間午後11時半(米国夏時間帯)に米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が発表する「EIA週間石油在庫統計」という経済指標を公表しています。
特にニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI原油先物の在庫が重要視されています。
原油在庫の増加は、需要の低迷を意味し原油価格の売り材料と判断される傾向にあります。
その一方、在庫量が減少した場合は、需要の増加と判断され原油価格の買い材料となるようです。

エネルギー・コモディティにおける価格動向や価格変動要因

エネルギー・コモディティの価格変動における特徴の1つとして、経済指数先物などの金融先物商品と比較してみるとボラリティが高い傾向が挙げられます。

この要因として商品の在庫に関わる供給状況に起因しているところが大きいと言えます。

エネルギー・コモディティではキャリー・コストがかかる

エネルギー・コモディティでは限月によって価格に相違があります。

それはなぜかというと原油や天然ガスなどは、タンカーや貯蔵タンクなどの大規模な設備による保管コストがかかるからです。

このような、コモディティを先々の期日まで保管するコストを「キャリー・コスト」と呼びます。

コンタンゴとバックワーデーション

商品先物取引において、期先の限月ほど価格が高い状態をコンタンゴ(順ざや)といいます。
価格が反対に期先の限月ほど価格が安い状態をバックワーデーション(逆ざや)と呼びます。
原油や天然ガスなどのキャリー・コストがかさむコモディティ先物は、期近物より期先物の価格が高くなるのはあたりまえに感じるのではないでしょうか。
例えば、来月受け渡しのコモディティ先物よりも半年後に受け渡しするコモディティ先物の方がキャリー・コストを加算した分価格が高くなるのが容易に想像できるかと思います。
とは言っても、保管コストが大きい原油先物でもバックワーデションになる場合があります。
なぜなら、OPECとOPECプラスが協議する産油量の調整や米国におけるシェールオイルの生産状況、世界の経済状況が影響を与える需要バランス、地政学、季節による影響といったさまざまな要因が関わり合って相場は動いているからです。
このような先を読む難しさは、原油先物商品に限らずコモディティ投資全般において言えることだと思います。

まとめ

本記事にて説明したエネルギ・コモディティ投資について以下にまとめました。

エネルギー・コモディティ投資とは

– 原油・ヒーティングオイル・天然ガス・ガソリンなどのエネルギー商品に投資すること

エネルギー・コモディティは

– コモディティ投資(商品先物取引)とスポット取引(現物取引)といった2種類の取引方法がある

指標原油(マーカー原油)

– 北米市場:WTIライトスイート原油先物

– 欧州市場:北海ブレンド原油先物(ICEブレンド原油先物)

– アジア市場:ドバイ原油

以上が原油先物の3大指標である

エネルギー・コモディティ投資とFXの相違点

– コモディティ投資は限月があるがFXにはない

– コモディティ投資の利益はインカムゲインのみ

– FXの利益はキャピタルゲインとインカムゲイン

– エネルギー・コモディティはFXの値動きよりもボラリティーが大きい傾向にある

– エネルギー・コモディティではキャリー・コストがかかる

コンタンゴとバックワーデーション

先物取引において

– 期先の限月ほど価格が高い状態をコンタンゴ(順ざや)

– 期先の限月ほど価格が安い状態をバックワーデーション(逆ざや)

と呼ぶ

以上

エネルギー・コモディティ投資のお話は、いかがでしたでしょうか。

今回、紹介しました原油先物、ヒーティングオイル先物、ガソリン先物や天然ガス先物などは、ダイナミックな値動きが特徴のエネルギー・コモディティです。

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