J-SOX法に基づく全社的統制

J-SOX法の目的

J-SOXとは、2006年6月に金融商品取引法に基づき、制定された内部統制報告制度を指します。その目的は、財務報告に係る内部統制を有効なものとして、投資家からの信頼性を得ることです。

J-SOXの由来

2001年10月、米国エンロン社の簿外債務の隠蔽を始めとする不正が発覚し、株価が暴落しました。結果、2001年末に、同社は破産しました。これを契機に、企業の内部統制統治に対する経営者の責任を明確にし、経営者がその職責を果たすことを求める制度かかる法律を制定しました。J-SOXは、米国SOX法(The Sarbanes-Oxley Act of 2002)にちなんで、制定されました。米国SOX法は、ポール・サーベンス上院議員とマイケル・G・オクスリート下院議員の名前で法案を提出したことから、サーベンスオクスリー(Sarbanes Oxley)法と呼ばれています。その後、日本でも、内部統制統治の重要性の高まりから、金融商品取引法に基づく内部統制報告制度、J-SOXが制定されました。

J-SOX上のCompany Level Control (CLC)とは

CLCとは、企業全体を対象とする内部統制の整備と運用を評価するものです。具体的には、下記の項目を定めます。

(1)経営方針やモラル風土の醸成

(2)コンプライアンス体制

 ・コンプライアンス遵守体制

 ・経営者による腐敗防止宣言

 ・役員及び従業員に対する服務規律・懲戒条項の制定

 ・内部通報制度

(2)内部統制体制

 ・全社的な職務規定・個別の業務手順の制定(購買依頼者と発注部者が分離され、適切なものが承認している・発注部者と検収者が分離され適切なものが承認している・検収部門と支払部門が分離している)

 ・責任の割り当てと権限の委任(権限の割当てと委任を明確にした規程(権限規程等)を制定している・会社の重要事項を審議する会議体がある)

 ・職務分離による牽制機能の有効性

 ・人事考課を公平かつ適正に行うための仕組み

 ・リスク評価のための仕組み

(3)情報の保存・管理

 ・文書管理に関する規程・マニュアル等

(4)情報共有体制

 ・経営者、監査役、会計監査人、内部監査部門の間で情報共有する仕組み

(5)モニタリング体制

 ・重要な業務に係るモニタリング(与信管理、安全保障貿易管理、内部通報事案への対応)

・企業の業務活動の定期的なモニタリング体制(経営計画数値のモニタリング、年度計画の進捗状況及び達成の施策についての四半期ごとの審議、定期的に経営計画数値を確認し、予算と実績の差異原因を究明し、予算計画の変更)

・業務から独立した立場の者によるモニタリングの実施体制(会計監査人による監査の実施、内部監査部門/担当者による監査の実施、内部監査部門(または担当者)の適性)

(6)IT関連

 ・ITに関する基本的な戦略や予算

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