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内部統制評価プロセス

内部統制とは、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守、並びに資産の保全の4つの目的を達成することです。

業務の有効性及び効率性:事業活動の目的の達成のため、業務の有効性及び
効率性を高めること

財務報告の信頼性:財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のあ
る情報の信頼性を確保すること

事業活動に関わる法令等の遵守:事業活動に関わる法令その他の規範の遵守
を促進すること

資産の保全:資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われ
るよう、資産の保全を図ること

内部統制は、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成されます。

内部統制評価プロセスの各機関の職責と流れを説明します。前提とする会社各機関の役割は下記の通りです。

【内部統制評価プロセスの各機関の職責】

①事業部門の子会社:自主的に内部統制自己評価(assessmenet)を行う。

②内部監査部門:事業部門及びコーポレート部門から、独立した機関。監査役会・監査等委員会・監査委員会及び社長へ報告する義務がある。有事の場合は、社長による不正行為疑義の調査にあたる。内部統制構築全体を監査する。事業部門による内部統制自己評価を第3者機関がチェックするため、効率性の観点から、内部統制と内部監査が実質的に、協調して機能させることがある。

③内部統制部門:事業部門の子会社により実施した内部統制自己評価をチェックする機関。経営者が最終的に、内部統制報告書を作成する。内部監査部門と協調して、チェックすることが多い。

④外部会計監査人:経営者が作成した内部統制報告書に対して、重要な虚偽の表示がないことを、合理的な保証が得られた場合、適正である旨の意見を内部統制監査報告書で表明する。

なお、2019年12月16日付 金融庁 企業会計審議会から公表されている「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」を参考にしています。

【内部統制評価の流れ】

①コーポレート内部統制部門主導により、評価範囲を決定する。目安として、グループ連結売上高2/3を占める子会社をグレードA、それ以外をグレードB、連結売上高95%未満を占める子会社をグレードCと位置付ける。グレードAの評価範囲は、全社的内部統制(CLC/FSCP)及び業務プロセスに係る内部統制の両方を実施する。グレードBは、全社的内部統制(CLC/FSCP)のみを実施することが多い。

②各事業部門での自己評価の実施:全社的内部統制(CLC/FSCP)及び業務プロセスに係る内部統制の実施。第2四半期目処に事業部門から内部監査部門及び内部統制部門に提出することが望ましい。

③内部監査部門及び内部統制部門の自己評価内容をチェックする。評価漏れなどがある場合は、事業部門へ指摘を行い、問題がある場合は、是正勧告書を通知して、年度内に是正されていることを確認する。第3四半期目処に完了されることが望ましい。

④外部監査人による評価を終える。第4四半期始めを目処に完了することが望ましい。


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