ペットと泊まれる宿温泉宿『ペンションOHANA』ができるまで②
さて、①では順調に行っていた工事。
8月末には足場も取れ、内装もいい感じに。
もちろん限られた資金の中でやっていたので完璧にすべてきれいに✨
はできなかったですが、最低限のところは直し、消防や保健所の審査も通るように改善。
なんとか9月末のお客様に間に合うよう、食材の仕入れ先、リネン類の取引先を確保し、慌ただしい日々を過ごしてたと思う。
9月8日
台風接近
建物はRC構造だし、丈夫だから平気でしょ。
そんなタカをくくっていた私。
夜、嵐のような雨風が建物に打ちつけられる。消防車のホースの水をダイレクトに当てられているような、蛇口の下に建っているんじゃないかと錯覚するくらいの雨。
玄関のカギは施錠した。しかし観音開きのドアがガタガタ音を立て、隙間から雨やら葉っぱやらが吹き込んでくる。
開いちゃうんじゃないか。そう思い私はそばにあったほうきをドアの取っ手に差し込む。
強風でどうにもならないので夫を呼びに行く。
こんな時でもぐっすり寝ている夫に対し、一瞬でいろんな感情が芽生えた。
ねぇ、起きて、玄関のドアが!!
やっと起きてくれた。私は心配ですぐに玄関へ。
その時、ごおおおおっというような音だったか、ほうきが折れ、一瞬で観音開きのドアが全開になった。
夫が目をこすりながら来た。驚いたようで小走りになった。
トイレに行ってから来たことに関しては、先程とほぼ同じような感情を抱いた。
私の力ではドアを戻すことさえできなかった。2人でドアを抑え、鍵のほかに差し込み式のロックを掛けた。
ドアはいかにも苦しそうに、何かを吐き出したいかのように唸っていた。
雨風は止まない。停電もしばしば。
雨漏りもしてきた。①で湿気に弱い、と言われていた私のお気に入りの壁紙も、雨がしみ込んでいた。
キッチンにも水が入り込み、水たまりができていた。その水たまりはどんどん大きくなり、床の排水へ吸い込まれていく。それでも追いつかない量の水が吹き込んできた。
疲れ果てた。
いつだろう、ふと目が覚めた。不安なまま寝ていたようだ。
いつものようで、いつもと違う朝だった。
キッチンは水たまり。玄関には葉っぱが。床は水がしみ込んだ箇所が数か所。
①で話した湿気に弱い私のお気に入りの壁紙も、見事に湿気を帯びていた。
室内を片付け、外に出た。
太陽にほえろもびっくりするくらいの なんじゃこりゃー!!!
が口から飛び出した。
一面葉っぱ、折れた木々、大木は根元からごっそり引きずり出されて、土は流れていた。
見覚えのある色の物体が落ちている。あちらこちらに。
私は恐る恐る振り返る。
ない!雨どいがない!!
北側を中心に、半周以上なくなっている。
屋根っぽい材質のものも落ちている。
電気もつかない。
外を歩いてみると、電線が切れている。何か所も。そして、こんなところにまで?というくらいの場所に雨どいの破片。屋根が半分ない家もある。
倒木が直撃の家もあった。
9月なのに暑い。
主人と愛犬は車に避難した。私は心配なので館内をあちこち点検し、実家にも安否確認をした。
結果電気が復旧したのは24時間後だった。
復旧後、保険屋さんにすぐに電話。保険には入ったばかりだったけど、わりとすぐに来てくれてすごく親身になって話を聞いてくれた。
屋根の防水がかなりはがれている。コーキングも取れている。
雨どいを全て付け直さないといけない。
また足場を組むことになった。
当然だが、9月のお客様はキャンセルしていただいた。
オープンも先送り。
工事はなかなか進まない。人手が足りない、あちこちで修繕工事の依頼がある。ゆっくりだけど、仕方ない。
まだやってるの?早くしてって言えば?とも言われたけれど、急かしてどうにかなるものでもない。
10月、道路や周りがキレイになってきたころ、台風19号が発生。
もう本当にやめて!!それしか言葉が出てこない。また何かあったらどうしよう。修繕工事終わってないのに、これ以上の被害は耐えられない。
私の望みなんて聞いてもらえるわけもない。
キッチンのドアにブルーシートを張り、水の侵入を防ぐ。雨漏りする場所に目張りをし、バケツを置く。もう他にできることはなかった。ただ過ぎ去るのを祈った。
19号での被害は、15号ほどではなかった。が、エアコンが壊れる等、ゼロではなかった。保険屋さんには追加の被害を報告。
当たり前だが、オープンするまで収入はない。先送りすればするほど無収入になる。
12月、年末に足場が取れるような話になった。
11月、オープン告知をする。ただし、一部工事中と備考。
12月、プレオープン
12月末オープン
ありがたいことに、年末年始は既存のお客様と、新規のお客様にお越しいただき順調な滑り出し。
足場が取れたのは結局1月半ばになってからだったけれど、その間に駐車場を増設。見た目もすっきり。↓before・after
確かこのころから中国での新型コロナウィルスの発生、蔓延。
もちろんその時は、中国今大変だね、と他人事だった。
中国以外での発生、クルーズ船と、新型コロナウィルスが身近に感じるようになったのは、時間がかからなかったと思う。
2月にご予約下さったお客様も、来ようかどうしようか迷った、と言っていた。当然だと思う。
3月には予約のキャンセルも出てきた。もともと新規オープンで、ほとんどリピーターさんもいない。新規のお客様もこない。
一抹の不安。まさにこれだ。
3月下旬。
夫がまた!?入院。原因は憩室炎からの腹膜炎。
コロナで病院にもすんなり行けない。
病院に電話して、保健所に電話して、診察してもらえるまで半日は掛かった。その間にお腹爆発しなくて良かったよ。。
その後点滴治療で約10日後に無事退院できました。
4月、予約0。キャンセルはあっても予約はない。
新規でGWに予約をくださった方からお電話をいただいた。
会社の方針で、GWは出かけるの禁止と。申し訳ないとすごく謝っていた。私は逆に申し訳ないと謝るしかなかった。誰のせいでもないのに、申し訳ないなんて思わないでほしいと伝えた。また安心して来られるようになったらご予約下さいと。
そして緊急事態宣言。
昨年12月末まで収入はないため確定申告はしなかった。
年末のお客様も、入金があるのは1月。
特定持続化給付金は対象外。
運転資金はある程度あったが、台風のオープン延期、コロナウィルスの影響による休業で、いつ底をついてもおかしくない。
そんな矢先、クラウドファンディングのコロナサポートを見つけプロジェクトを立ち上げる。
現状はここまで。安心して出かけられる日を待ち望んで。
6月からの再開を目指し準備中。
一刻も早い終息を願います。
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