プロセカイベスト『Light Up the Fire』で伝えたかったことはなんだったのか

イベントストーリー『Light Up the Fire』について思ったことを書き残しておこうと思って、この文章を書いています。
あれもこれもと書いていたら長くなりました。タイトルに関する結論を最後に書いたので、そこだけでも読んでもらえると嬉しいです。

はじめに

今回のイベントは、これまで丁寧に貼られていた伏線がどう回収されるのか期待が高まっていたイベントでした。
注目すべき点は二つ、凪さんのことと、杏がこはねに抱いている不安感だと思います。

Kick it up a notch 7話より

そして実際読んでみて、今回のイベントストーリーは賛否両論ありました。私自身Twitterで感想を検索してみて、良かった/良くなかったという様々な意見を見てみましたが、私としては「これで良かった」と感じています。
私はプロセカリリース日からずっと「プロセカには悪人はいない」と言い続けているのですが、今回もこれは誰も悪くないなと思えるストーリーでした。

イベント初日、わたしはセカイシンフォニーで大号泣して満身創痍になったところで読んだので心身ともにズタボロでした。
まだ深いところに辿り着けるほど細かく丁寧に読めていないので、今後このnoteも加筆していくかもしれません。

今回のストーリーの主軸は「凪さんの真実」と「大河さんの壁」の二つのことでした。
凪さんの死というひとつの要素だけでもビビバス(とくに杏)にとっては受け入れ難いことだったのに、杏たちVivid BAD SQUADにとっても読んでいるユーザーの私たちにとっても酷でした。
しかし、凪さんの死だけでストーリーを終わらせてしまえば、次のビビバスイベまでそれこそお通夜みたいな気持ちで待つことになっていたと思われるので、その点では絶対に立ち上がらなければならない理由があって良かったと思っています。

ここからはそれぞれの主軸について触れていきます。

*凪さんの真実

まずは凪さんについて、名前は出るのにその現状について街の人が誰も触れないこと、オフィシャルファンブックに年齢が記載されていないことなどから、プレイヤーからも「凪さんは死んでしまっているのでは?」という憶測が流れていたわけですが、それが現実であると明らかになってしまいました。

でもまさか、らっどゔぃーげん(リンちゃん風RAD WEEKENDのこと)が凪さんの最期のためのイベントであるとは思っていなかったし、死んでしまっていたとしてもそれこそ海外の病院に行っていたと思っていたので驚きが隠せません。

らっどゔぃーげんは凪さんの人望があったからこそ成り立ったイベントでした。そしてそれは、街ぐるみの嘘についても同じことが言えます。
街の人から愛され大事に育てられた凪さんの死だったから、「誰も言わずに隠し通した」というよりは「誰も認めたくなかった」のが近いのかなと思います。実際、凪さんはラストステージでとんでもないパフォーマンスをしたわけで、余命数ヶ月の人には見えなかったでしょう。また街の人みんなが大規模な嘘に加担したのは、凪さんの思いを尊重した上で、そういう大それた事を面白いと思える人たちだからというのも説得力があります。
ただ杏に隠すことについては、止めるべきだったのはやはり父親の謙さんだったと思います。しかし謙にとっても凪との付き合いは25年程度と長く、The Vivid Old Taleでは杏のことを心配しながらもRADderでの活動を優先するところがあったので、凪さんの意思を尊重したのにも納得しています。

The Vivid Old Tale 5話より

Bout for Beside Youで謙さんは、杏のことをなんの障害物もない平坦な道のりを歩いてきたと表現しています。謙さんも、そんな杏にとって凪さんの死という事実は越えられない大きすぎる障害物と判断したのでしょう。杏に真実を(今は)伝えないという選択をしたことには納得できます。

Bout for Beside You 報酬☆2彰人 前編より

今回のイベントストーリーではまるまる3話をRADderの過去回想に使っていましたが、丁寧に描いてくれていたおかげで古瀧兄妹の性格や考え方について深く理解することができたと思います。
言ってしまえば古瀧兄妹は自分勝手でわがままで大人気ない人たちですが、実力が物をいうビビッドストリートだからこそ、街のみんなに愛されて、世界でも活躍できるアーティストなのだと思います。

*大河さんの壁

先月の寧々バナーの「カナリアは窮境に歌う」のイベントでの風祭さんが、ミュージカル界の憧れの先輩として素晴らしい立ち振る舞いをしていました。それと比較してしまうと自分勝手で我儘で乱暴な大河さんに批判が集まるのは仕方のないことだとは思いますが、わたしは読んでいてこういう人もいるよなと受け入れられたので特に引っかかりませんでした。
というのも、今回のストーリーで描かれたRADderの過去回想では大河さんの横暴さが丁寧に描かれていました。ツアー中の運転のくだりなどはわかりやすくていいですね。そして、そこまで突っ込むかと思いましたが、一緒に活動をしていながら高校を中退した大河と大学を卒業した謙と対照的に描かれていたのは印象的でした。こういった細かい描写があったからこそ、ひどいことをしたと思われてもおかしくない大河さんにも背景と理由、いわゆるスタンスがあるのだと納得できる構成になっていたと思います。

Light Up the Fire 5話より

大河さんは、凪さんと謙さんとは違ってRADderの「夢の続き」は紛れもなく自分たちが掴むものであって、次の世代に託すなんて考えたくもないと、今でもそう思っています。
このことを踏まえると、ビビバス4人の歌を聴いて、あの時終わった夢、RADderの曲をあの場で披露したことが、大河さんなりに4人の歌を認めてくれたのだと感じました。本当に夢の続きを譲るつもりがないなら見せる必要のない夢であり壁です。また、このときのビビバスがRADderの曲を出さざるを得ないところまで大河さんを追い詰めたと受け取ることもできます。

Light Up the Fire 3話より

大河さんやこれまでのこはねとの特訓については、アフタートークでジェナさんがすごくいい話をしていたので、それをぜひ聞いてみてください。


結論 〜今回のイベントの主旨〜

今回のイベントストーリーは明かされた事実の衝撃が大きすぎて、一見「杏の顔を曇らせて盛大に伏線を貼り続けてきたのに、結局突きつけられたのはもっと悲しい現実と壁だった」という印象を受けてしまいます。そのせいで今回のストーリーに込められた大切な文脈が埋もれてしまっているような気がします。

私がこのストーリーで大事だと思っていることは、
最高のイベントには圧倒的な実力と、イベントにかける強い想いが必要であること
杏は想いをのせて歌うことで実力以上の力を発揮出来ること
だと考えています。

まずは一つ目について、『想い』という言葉はプロセカの中でもキーワードとなっています。想いは時にセカイを生み出すほどの強い力を持ちます。そして、RAD WEEKENDはRADderとその他のゲストの実力があったことに加えて、凪さんの最期のためにというみんなの想いがあったからこそ伝説と語り継がれるイベントになったと大河さんは教えてくれました。
とは言っても、なにも文字通り命をかけなければいけないというわけではないというのが、二つ目の大切なことに繋がってくると思います。

二つ目について、大河さんが挑んできたとき杏は凪さんの想いを歌に乗せることで、物怖じするどころか普段以上の力を出せています。状況が状況だったので、こはねの覚醒のようにゆっくり丁寧な描写はされていませんが、ビビバスみんなを押し上げてくれるような心強い歌唱です。これに関しては凪さんも評価していて杏の強みであると言えるでしょう。

Light Up the Fire 3話より

Light Up the Fire 7話より

大河さんが言った通り、RAD WEEKENDを超えるようなイベントを行うには、実力と想いが重要であり、杏はその想いという点で誰よりも特出しています。これからまたイベントを行っていくにあたってキーになると予想しています。
そして実力の方に関しては、きっとこの先も杏はこはねとの才能の差に悩んでいくことでしょう。
他のユニットでも才能と努力をテーマに描かれてきていて、カラパレならちゃんと描いてくれるという信頼があるので問題ないです。というか、才能の壁の話に関しては一生解決しない問題だと思います。

Light Up the Fire 8話より


今後についてですが、しばらくは4人の話になったら嬉しいですね。一度散り散りになったメンバーをまた集めるのには、ビビバスの4人がそれだけの引力を持たなければなりません。その辺りを丁寧に描いてもらいたいです。

そしてビビバスの目標であった「RAD WEEKENDを超える」は、真実を知ったいま、その先のRADderが目指していた「自分たちの音楽を世界一にする」という目標にシフトチェンジしていくのだと思います。杏が最後に決意して言っていた通りです。

Light Up the Fire 8話より


あとがき

今回のイベントストーリーに関して読み取れることはこれくらいでしょうか。次のイベントが始まるまではなんとも言えませんが、わたしの願望としては窮地での杏の覚醒を回想としてもう一度取り上げてほしいと思います。
箱推しのわたしですが、実は杏に関してはリリース前からずっとイチ推しで大事に思っていたキャラクターでした。(杏バナーのPU☆4はほぼ全部持っているほど)
今回のこの記事も、こうして杏のバナーイベントで衝撃的な展開になったことで杏にとって大切な描写が見えづらくなっているのでは?というのを危惧して書いた文章でした。
これからもビビバスのことを、杏のことを応援していきたいと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

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