便利さの中でなくなっちゃいそうなもの

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いま、御岳界隈で話題の便利アイテム【BONX】

耳に装着タイプのトランシーバーのようなもので、なんと防水性能もアリの優れものです。耐水性は未テストですが、カヤックで1ロール(ひっくり返って起き上がる)をしても大丈夫だったとの話でした。携帯アプリとつなげるので、かなり離れていても遮るものがなければクリアに会話ができます。※音漏れがあるようなので、人混みの中での使用は控えた方が良さそうです。

かなり便利です。これまでなら手旗信号を駆使してどうにかコミュニケーションをしていたような場面も皆無。ただ、話しかけるだけ。慣れるまで不思議な感じでしたが、常につながっていて、作業をしながらでもストレスなく会話できます。イベントやタイミング命の川の上での撮影などの場面では間違いなく重宝されると思います。御岳で活用させていただくことができるご縁にも深く感謝致します。グループの意思疎通にも大変な優れものなので、これからフル活用させていただきたい気持ちです。

さて、そんな便利アイテムですが、川の上で遠く離れたメンバーと会話をしながら感じたことがあります。 とんでもなく便利なんですが、なんだか大切な感覚が薄らぎそうな気もします。これだけに頼ってしまうのも危険というような。

ラフティングインストラクターのことをリバーガイドと言います。20代の頃、リバーガイドであることを生活のど真ん中に置いていた時がありました。そんな頃に川の上で他のリバーガイドとコミュニケーションを取る際に何よりも重要視されていたことが「アイコンタクト」でした。駆け出しの頃は、特に先輩ガイドに「どこ見てんねん!」「ちゃんと見とけ、気配感じろ!」よく怒られた気がします。極めて理不尽なそれで、今考えたらパワハラ感もありますが、やはりリバーガイドの目から送られてくる情報量は凄まじいものでもありました。目を見れば考えていることがわかる、ウンと頷くアイコンタクトだけでツアーがどんどん進行していく。目を見るだけで相手の考えが理解できることは、リバーガイドの必要な素養だったように思います。先輩方、そうですよね…??

ケアンズのTully川でガイドをしていた時、シニアの先輩ガイドは川の上全てのことが見えているようでした。視野が広いのもそうですが、何故か僕が失敗する時に遠くからでもTAKAさんの目は必ず光っていました。川の上でのタイミング、ツアーのリズム。様々なものを感覚的に捉えて、気配を察する能力がリバーガイドは異常に高かった気がしています。なんとなく胸騒ぎがする、どこか変な気がする。トラブルを事前に察知し、何かが起きる前に対応している。そんなリバーガイドを多く見てきました。

「お前のボート、可愛い子乗ってんな!」「ツアー終わったら、ラーメン食べに行こう」そんなしょうもない情報の方が多かったかもしれませんが、目を見るだけ伝わる感覚。いろんな情報がビュンビュン飛び交ってました。

BONXや携帯電話でのコミュニケーションは本当に便利ですが、呼びかけられなくても気配で感じていたテレパシー系の情報を感じ取る力がどんどん弱くなりそうな気がしております。便利さの中で、失われていくもの。他にもあるんだろうなと3つ岩の上で待ちながら感じたのでnoteします。

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阿吽の呼吸。なかなか難しいですが、毎日の意思疎通や鍛錬の積み重ねでしか辿り着けない領域なのかもしれません。写真は2月なのに落ちても笑顔の不思議。その理由はまたnoteします。

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