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CS-21シリーズ製品の材料分類 / 各分野における含浸材の分類例

はじめに

CS-21は、無色透明・無臭の無機質水溶液です。
硬化したコンクリート表面に塗布し浸透させることで、既存の微細ひび割れなどの空隙を充填して表層部を緻密化し、施工後に新たに発生する微細ひび割れなどの空隙も充填します。
この性能により、水や各種劣化因子の侵入(鋼材腐食)を長期にわたり抑制します。

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現在、硬化したコンクリート表面に塗布・浸透させることにより効果を発揮する材料には様々な製品があり、統一された分類基準がないため各分野により様々に分類されています。
本稿では、CS-21シリーズ製品が該当する主な材料分類例をご紹介いたします。

表面保護工法としての分類例① : けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)

土木学会 発刊(2012年):コンクリートライブラリー137
けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)


対象とするけい酸塩系表面含浸材の定義
*主成分であるけい酸塩は乾燥固形分の50%以上(添加剤5%以下)
分類方法
*改質機構(コンクリート表層部を緻密化するメカニズムの違いによる)

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※ 上図出典:防水ジャーナル2018年2月号掲載「けい酸塩系表面含浸材の現状における課題と解決策 / 綾野克紀(岡山大学 環境生命科学研究科 教授)」(P22-図2)

反応型けい酸塩系表面含浸材

含浸の初期段階で主成分の一部が水酸化カルシウムと反応した後、
残りの主成分(未反応成分)が乾燥にともなって可溶性の固化物となって空隙を充填するとともに、
未反応成分が水酸化カルシウムとの反応を繰り返すことにより、長期的に空隙を充填することを期待した材料。
主成分としては,けい酸ナトリウムまたはけい酸カリウムを単独、あるいは両者を混合したもの。

固化型けい酸塩系表面含浸材
含浸の初期段階で主成分の一部が水酸化カルシウムと反応した後、
残りの主成分が乾燥にともなって難溶性の固化物となって空隙を充填することを主として期待した材料。
主成分として、けい酸リチウムを単独、あるいは他のけい酸塩に高い割合で混合したもの。

※ 反応型または固化型の種類分けは、『JSCE-K572 けい酸塩系表面含浸材の試験方法(案)6.3種類判定試験』の結果による。

反応型
けい酸塩系表面含浸材と、固化型けい酸塩系表面含浸材の使い分けについては、けい酸塩系表面含浸工法の設計指針(案) [P28] 4章 設計 「解説表4.4.1 新設または潜伏期にある構造物を対象とする場合の適用範囲の目安」を参照。

CS-21シリーズ製品は「反応型けい酸塩系表面含浸材」に該当
CS-21工法による表面保護の概要については、
資料: CS-21シリーズ製品・工法概要 P10~11 [pdf] をご参照ください 】

表面保護工法としての分類例② : 表面保護工法 設計施工指針(案)

土木学会 発刊(2005年):コンクリートライブラリー119
表面保護工法 設計施工指針(案)


表面保護工法の分類
*表面処理工法(表面被覆工法,表面含浸工法),断面修復工法

表面含浸工法に使用する表面含浸材の分類
*主成分
シラン系表面含浸材,けい酸塩系表面含浸材,その他
> けい酸塩系表面含浸材 ➡ けい酸リチウム系,けい酸ナトリウム系
*施工仕様(けい酸ナトリウム系のみ)
> 固化を目的とする場合,防水を目的とする場合 

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CS-21シリーズ製品は、
 主成分により「けい酸ナトリウム系表面含浸材」、
 施工仕様により「防水を目的とする場合 」に該当
*最新の指針(案):けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案) では、
 反応型けい酸塩系表面含浸材 に該当

CS-21工法による表面保護の概要については、
資料: CS-21シリーズ製品・工法概要 P10~11 [pdf] をご参照ください 】

表面保護工法としての分類例③ : コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル(案)

土木技術研究所資料 第4343号(2016年)
コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル(案) 表面被覆・含浸工法編

○ 表面含浸工法の分類
撥水型(シラン系)含浸工法,緻密化型(けい酸塩系)含浸工法,その他
> 緻密化型(けい酸塩系)含浸材  ➡ 反応型,固化型

CS-21シリーズ製品は、
  緻密化型(けい酸塩系)含浸材 の 「反応型」に該当
CS-21工法による表面保護の概要については、
資料: CS-21シリーズ製品・工法概要 P10~11 [pdf] をご参照ください 】

ひび割れ補修工法としての分類① : コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針

日本コンクリート工学会 発刊(2022年改定)
コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針 2022

CS-21シリーズ製品は、表面被覆工法(ひび割れ被覆工法)の類似工法として記載のある 含浸系材料による表面含浸工法(2013年版以前の表記では、表面改質工法)に該当。
 CS-21工法によるひび割れ補修(塗布・注入)の概要については、
資料: CS-21シリーズ製品・工法概要 P16~18 [pdf] をご参照ください 】

ひび割れ補修工法としての分類② :コンクリート標準示方書 [ 維持管理編 ]

土木学会 発刊(2018年)
2018年制定 コンクリート標準示方書 [ 維持管理編 ](P97)
解説 図 7.3.1 コンクリート構造物に適用されている主な補修,補強工法

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CS-21シリーズ製品が該当する「表面含浸工法」は、表面処理工に分類されるが、ひび割れ補修としても用いられる場合がある
CS-21工法によるひび割れ補修(塗布・注入)の概要については、
資料: CS-21シリーズ製品・工法概要 P16~18 [pdf] をご参照ください 】

防水工法としての分類

CS-21シリーズ製品のうち、コンクリート躯体防水材 CS-21 を、コンクリート構造物(駐車場・屋根・地下・水槽など)の躯体防水工法に適用する際には、下記のように「防水」が付いた様々な名称で呼称されています。

季刊 建築コスト情報」:建設物価調査会
>ケイ酸塩系塗布防水(2020年4月現在)

季刊 建築施工単価」:経済調査会
>浸透性塗布防水(2020年4月現在)

機能性建築材料の性能調査結果:日建連 建築本部 材料施工専門部会
>6.躯体防水材(浸透型)

また、防水材・シーリング材・塗床材 ガイドブック2021:新樹社には、
『仕様書などでは標準工法となってはいないものの、設計者や監理者、施工者などの判断のもと、一般に採用されている材料の一つに塗布含浸材がある』の 記述があります。【CS-21は、塗布含浸材:けい酸塩系 に該当】

住宅瑕疵担保責任保険では、設計施工基準で定める防水工法
・アスファルト防水
・改質アスファルトシート防水(トーチ工法・常温粘着工法)
・合成高分子系シート防水
・塗膜防水
に適合しない場合は、同基準と同等以上の性能が確保されることを、各住宅瑕疵担保責任保険法人が確認ができた場合に「包括3条確認書」を発行しています。

CS-21は、屋上防水工法として、下記の住宅瑕疵担保責任保険法人より、包括3条確認書の発行を受けており、住宅瑕疵担保責任保険対象物件の屋根防水に適用可能です。
・株式会社 住宅あんしん保証
・住宅保証機構 株式会社
・株式会社 日本住宅保証検査機構(JIO)
・株式会社 ハウスジーメン
・ハウスプラス住宅保証 株式会社
*住宅保証機構での工法分類名は、「塗付剤によるコンクリート改質工法」

※ 新築建築物では、着工前にひび割れの発生を抑制するための躯体条件について事前協議を行った上で、CS-21躯体防水工法を適用し、 防水10年保証を行っています。
 *新築時の防水10年保証における躯体条件等の詳細は、
  資料「コンクリートの躯体防水」をご参照ください。
 *躯体防水工法の施工事例・施工実績については
  躯体防水研究会オフィシャルサイト施工実績 をご参照ください。