施工前後

CSモルタル工法(水路補修改修工法)施工事例

工事概要

工事概要 :単独県費補助土地改良事業 杉尾地区工事
所 在 地   :香川県坂出市
工  期 :平成19年12月~平成20年3月
施工部位 :現場打ちコンクリート開水路
施工面積 :419m2(延長95m)
工 法 名  :CSモルタル工法NNTD登録番号:1022)
使用材料 :CSクリアー[けい酸ナトリウム系表面含浸材]
      CSモルタル[ポリマーセメントモルタル]

工法採用の経緯

 県営事業などで造成された本用水路は、造成後30年以上経過しており、洗掘によるコンクリートの断面欠損や粗骨材の露出、ひび割れ等の老朽化が著しく、漏水の増大により農業用水などの安定供給に支障をきたしていることから機能回復を図る対策が検討された。

 水路内面を補修し、新設時のコンクリートの品質以上に機能を回復し耐久性を向上させる本工法の提案を行った結果、中国四国農政局 四国土地改良調査管理事務所の開水路補修工法現場実証実験における試験施工箇所(平成14年3月施工:香川用水土器川沿岸地区)の経過確認の上、採用された。

工法の特長

①既設水路の耐久性を向上させる。
②補修時に既設水路断面の減少を最小限に留める。
③既設水路表層部の粗度を低減する。
④ひび割れ補修効果に優れ、高い止水性を確保する。
⑤湿潤状態でも施工可能なため、工期短縮・コスト縮減を実現。
⑥無機質系材料を使用しているため、環境への負荷を低減できる。

工法概要

 CSクリアーは、水和反応活性成分を含む無色透明液体状の無機質薬剤である。土木学会の表面保護工法 設計施工指針(案)における分類では、けい酸塩系表面含浸材に該当し、硬化したコンクリート表面に塗布する事で浸透し表層部を緻密化させ水および劣化因子の浸入を抑制する。

☆ CSクリアーは、農林水産省:農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル【開水路補修編】における分類では、けい酸塩系表面含浸工法(反応型)に該当し、品質規格値*を満たしている。
資料「水路補修改修工法 工法概要」 P8 > CSクリアーの主な品質試験結果  参照

 水路補修時の下地処理剤として使用した場合には、コンクリートを緻密化して下地を固め骨材の欠落を防止し、磨耗・洗掘部を補修するCSモルタルの付着力を有効に発揮させる。

 CSモルタル被覆面に表面保護材として使用した場合には、緻密化により劣化抑制・耐摩耗性を向上させる効果がある。

CSクリアー リーフレット

 CSモルタルは、繊維で補強されているため、ひび割れやはく離に対して十分な抵抗性を発揮し、耐久性・耐候性にも優れCSクリアーと併用する場合の相性が良好なポリマーセメントモルタルである。

☆ CSモルタルは、農林水産省:農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル【開水路補修編】における分類では、無機系被覆工法に該当し、品質規格値*を満たしている。
資料「水路補修改修工法 工法概要」 P8 > CSモルタルの主な品質試験結果  参照

 磨耗・洗掘部をCSモルタルで補修する際に、厚みを骨材の面(型枠面)までで留めることにより、剥離を防止し水路断面の減少を回避することが出来るため、景観および寸法等の形状を変更せずに脆弱な部分の機能を回復させる工法である。

CSモルタル#100PS・#100P リーフレット

施工手順

① 高圧洗浄工
② 下地改質工:CSクリアー散布
③ 無機系被覆工(不陸調整+表面被覆)
④ 表面保護工:CSクリアー塗布

画像3
CSモルタル工法 施工状況

今後の展望

 農業水利施設の多くは今後更新時期を迎えることとなるが、調査・診断とともに劣化予測を行い、事前に予防的な補修・補強を行うことにより施設を長寿命化させ、ライフサイクルコストを低減し既存ストックを有効に活用するライフサイクルデザインが求められている状況である。
 当研究会では、25年以上の施工経験と施設管理者・耕作者の方々の意見を取り入れることにより完成した本工法のさらなる品質向上を目指し、農業水利施設のストックマネジメントに貢献していきたい。

              水路補修改修工法研究会(株)総合開発 森 博


最後までご覧いただきありがとうございました。
本記事は、防水ジャーナル2009年12月号(P39-40)に掲載された「コンクリート開水路の補修工事事例」の転載(一部再構成)です。
CSモルタル工法【 特許:第4664949号 】の施工実績・施工事例など、最新情報・詳細につきましては、水路補修改修工法研究会 オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。

CSモルタル工法 関連リンク

・農業農村整備民間技術情報データベース(NNTD) / 登録番号1022
・農林水産省:官民連携新技術研究開発事業 : 番号82(H27-29)
 >表面改質複合工法による農業用水路の長寿命型新補修技術の開発
  *新技術概要書 *成果報告書
開水路補修工法の追跡調査結果の分析および今後の課題 / 農業農村工学会誌88巻第6号:水土の知88-6,P19-22 > CSモルタル工法による農業用水路の補修実績(施工から0~12年後)の追跡調査結果