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CS-21工法 施工事例 / 新築ビルの屋上・外壁防水工事

工事概要

工事名称:鉄筋コンクリート造3階建 ビル 新築工事
施工箇所:屋上(219m2)、外壁(623m2)
使用材料:CS-21(コンクリート躯体防水材

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工法採用の経緯

 当該建築物は、コンクリート打ち放し仕上げで計画されており、外観・意匠を確保したまま防水および表面保護を行う必要があった。
 そこで、無色透明・無臭の無機質水溶液であり、施工対象となるコンクリート表面の外観変化を起こさないことから、新築時の屋上防水および外壁保護として、コンクリート改質剤「CS-21」(コンクリート躯体防水材)が採用された。

※ 新築建築物では、着工前にひび割れの発生を抑制するための躯体条件について事前協議を行った上で、当該材料による躯体防水工法を適用し、 防水10年保証を行っている。
 *新築時の防水10年保証における躯体条件等の詳細は、
  資料「コンクリートの躯体防水」をご参照ください。
 *躯体防水工法の施工事例・施工実績については
  躯体防水研究会オフィシャルサイト施工実績 をご参照ください。

使用材料の概要と特徴

 当該材料は、硬化したコンクリート表面に塗布または散布し浸透(含浸)させることで、乾燥固化物(未反応成分)、およびコンクリート中のカルシウム成分等と反応し生成される安定した反応物(CSH系結晶)により、微細ひび割れ等の空隙を充填する。
 浸透後に未反応のまま残った主成分は、乾燥固化後も水分の供給により溶解し安定した反応物(CSH系結晶)を生成して、施工後新たに発生する微細ひび割れ等の空隙を充填する。
 これらの反応により、ひび割れ深部を含む表層部の空隙を緻密化して、水や各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制する。

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 防汚性能という観点から見ると、当該材料は無機質材料を浸透させるタイプのため、紫外線などにより劣化し難く、表面に膜を張るタイプの材料・工法より優れている。さらに、本件のようなコンクリート打ち放し建築物や土木構造物など、コンクリート自体が持つ美しさを維持する必要がある場合には、浸透性材料の特徴が効果を発揮する。

塗布工法適用にあたっての留意事項

 当該材料による塗布工法の適用にあたっては、注入が必要なひび割れ、断面修復が必要な箇所については、別途処理が必要である。
【CS-21塗布工法の適用条件については、資料: CS-21シリーズ製品・工法概要[pdf] P8をご参照ください】

 当該建築物では、外壁部に注入が必要なひび割れが認められたため、塗布工法施工前に低圧注入工法により処理を行った。

 この工法は、当該材料を先行注入後に無機系注入材を注入し、注入後の表面に塗布含浸させることで、無機系注入材の流動性低下を防ぎ、無機系注入材単独では浸透し難い微細な空隙を充填する。また、無機系注入材の硬化収縮により発生する空隙も充填することで、水や各種劣化因子の侵入を抑制し、耐久性を向上させる効果が得られる工法である。また、使用材料が対象構造物と同質であるため一体感があり、補修跡も目立ち難い。

※当該材料は、塗布材としてだけでなく、注入材としても使用可能である。
【 CS-21工法(塗布・注入)の概要については、資料: CS-21シリーズ製品・工法概要[pdf] をご参照ください】

施工概要

◆防水工
① 下地処理:高圧洗浄などにより、コンクリート表面の汚れを除去する
② 材料塗布:希釈せず原液を使用
③ 湿潤散水:水を散布・塗布する
* ②・③繰り返し

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◆ひび割れ注入工
①下地処理(洗浄)
②注入台座接着
③ひび割れシール
④CS-21注入
⑤無機系注入材(微粒子セメント)注入
⑥注入台座撤去
⑦仕上げ・清掃

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今後の展望

 フロー経済からストック経済へ社会構造が変化している現在、ストックマネジメントやライフサイクルコストといった観点から、コンクリートの長寿命化が望まれている。
 当該材料は、表面保護材としての性能も認められてきており、さらなる技術向上により、コンクリートの長寿命化を目指したい。
              アストン協会コンクリート躯体防水研究会

最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2007年11月号(P89-90)に掲載された「無機質浸透性材料を使用したコンクリート構造物施工事例」の転載(一部再構成)です。
 コンクリート躯体防水材CS-21によるコンクリート構造物(駐車場・屋上・屋根・地下・水槽など)の躯体防水につきましては、コンクリート躯体防水研究会 ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。