01_全景

CS-21工法 施工事例 / 新設橋梁(上部工)の更なる耐久性向上対策

工事概要

工事名称:平成25年度 東海環状 下宮高架橋南PC上部工事
工事場所:岐阜県安八郡神戸町
発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所
施工期間:2015年(平成27年) 2月~3月
施工部位:床版下面(跨道部)
施工面積 :710m2
使用材料:CS-21(NETIS【旧】CB-020055-VR 設計比較対象技術)
塗 布 量 :200g/m2(塗布量中の乾燥固形分量 :63g/m2)

CS-21 荷姿5㎏缶

材料選定の経緯

 本工事は、国道475号東海環状自動車道の名古屋市の周辺30~40km圏に位置する愛知・岐阜・三重3県の豊田・瀬戸・土岐・関・岐阜・大垣・四日市等の諸都市を環状に連絡し、新東名・新名神、東名・名神高速や中央道・東海北陸道等と広域的なネットワークを形成する延長約160kmの高規格幹線道路のうち、建設中の西回り区間に位置する新設橋梁の上部工工事である。
 中部地方整備局管内の新設橋梁は、現在、橋梁の長寿命化に向けた設計の手引き(案)[以降、手引きとする]に沿って設計されている。当該工事は、国道および主要地方道の跨道部があり、第三者被害防止の観点から、剥落予防対策としてけい酸塩系表面含浸材の適用が検討された。

材料の選定方法

 本工事に適用する表面含浸材の選定にあたっては、特記において、
土木学会発刊の
表面保護工法 設計施工指針(案)
けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
が、適用図書とされ、
塩化物イオンの浸透抑制(塩害対策)、凍結融解抵抗性向上(凍害対策)、防水性などが要求性能とされていた。
 本工事において使用した表面含浸材は、NETISの有用な新技術に選定されている材料から、前述の要求性能を満たすことが、第三者機関による性能試験結果により証明されており、かつ、施工から10年以上経過した実績の追跡調査により効果持続性(耐久性)が確認できる材料を選定し、提案した結果、採用された。

技術提案書(例):新設コンクリート構造物の表面保護
CS-21ネオ(NETIS:CG-160013-VE 活用促進技術)

材料の特長

本工事において使用した表面含浸材は、

硬化後のコンクリート表面に塗布することで、健全部および目視では発見し難い微細ひび割れ部に浸透し、コンクリート中のカルシウム成分などと反応してCSH系結晶を生成する。

また、残留する未反応成分は、施工後に新たに微細ひび割れなどの空隙が発生した場合、水分の供給により溶解し、カルシウム成分と反応する継続的な反応性を有している。

これらの反応により、ひび割れ深部を含むコンクリート表層部を緻密化し、水および各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制することで、防水および表面保護(劣化抑制)効果を発揮する。
かぶりコンクリートの耐久性を向上させて、鋼材腐食を抑制し、鉄筋コンクリート構造物の長寿命化に寄与する。

水和反応活性剤を含有しており、材齢(新設・既設)を問わず効果を発揮すること、高濃度(乾燥固形分率=31.9%:JSCE-K572)であること、下地コンクリートが湿っていても施工できること、経年後に適用する補修・補強工法が限定されないこと などの特長がある。

図1
反応の持続性イメージ

施工手順

①高圧洗浄
②材料塗布(原液)
③湿潤散水
*②と③を、2~3回繰返し200g/m2の材料を塗布

桁側面:横向き塗布

施工時の留意点と改善点

 当該工事は、手引きにおける準寒冷地域(気温が低いまたは凍結防止剤散布量が多い地域)であり、けい酸塩系表面含浸材の施工時期が2~3月の冬季施工となったため、低温時の施工が課題となった。
 材料自体は-2℃程度まで凍結しないため、気温0℃以上あれば施工できるが、塗布時に湿潤散水などで水を使用するため、塗布した水が凍結しないよう注意が必要であった。
 そのため、作業を10~15時程度とするなど比較的気温の高い(5℃以上)時間帯とした。
(湿潤散水した水が乾燥した後は0℃未満となっても問題ない)
 また、桁がプレキャスト製品であるため、表層品質が高く、現場打ちコンクリートに比べ、材料が浸透し難かったため、1回あたりの塗布量を減らして、2~3回に分けて材料塗布・湿潤散水を行った。
 上記の対策のため、施工日ごとに気象条件・施工数量などがチェック出来るよう管理表を作成し、工程管理を行った。

今後の展望

 今後も、コンクリート構造物の将来的な維持管理コスト縮減のため、諸条件にあわせて最適な予防保全対策を選定し、ストックマネジメントに貢献したい。

               アストン協会会員福美建設(株) 久田康一郎


最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2015年9月号(P64-65)に掲載された「反応型けい酸塩系表面含浸材による新設橋梁の長寿命化対策」の転載(一部再構成)です。
 CS-21工法による表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
【新製品】施工性が良好な新設コンクリートの表面保護材CS-21ネオ(NETIS:CG-160013-VE 活用促進技術)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。