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CS-21工法 施工事例 / 橋梁補修工事におけるコンクリート床版の長寿命化対策

工事概要

工事名称:令和元年度 豊田北部橋梁補強補修工事
工事場所:愛知県豊田市
発 注 者:国土交通省 中部地方整備局 名古屋国道事務所
施工会社:福美建設 株式会社
工 期 :2020年(令和2年)5月~2021年(令和3年)3月
施工部位:コンクリート床版下面
施工面積:305m2

【工 程】
① 素地調整(サンダーケレン・高圧洗浄)
2液混合型けい酸塩系表面含浸材 CS-21ビルダーNETIS:CG-170009-A):主剤と助剤の混合液、2回塗布

CS-21ビルダー 荷姿:主剤5㎏缶[左]・助剤4kg缶[右]

工法採用の経緯

 本工事は、愛知県豊田市稲武地区の国道153号線の橋梁を対象とする補修工事である。
 当該橋梁は、山間部に位置し、冬季には凍結防止剤が散布されており、床版上面には土砂化や鉄筋腐食が、床版下面にはスケーリングや漏水を伴うひび割れの発生が確認された。
 過年度の点検調書と、今回の調査結果の損傷範囲と箇所数の比較、また当社で事前に行った鉄筋腐食探知機iCORによる鉄筋腐食速度の測定結果からも、劣化の進行が速いと考えられ、塩害と凍害の複合劣化が主たる原因と診断された。

【写真:施工着手前 ⇩ 】

00_床版下面_着手前

 補修方法は、床版上面については脆弱部をウォータージェット工法により除去し、高靭性モルタルにて断面修復を行った。
 床版下面についてはスケーリングによる表面劣化や漏水ひび割れが生じていたことから、CS-21ビルダーNETIS:CG-170009-A既設コンクリート表面保護材)を提案し、採用された。

技術提案書(例)既設コンクリート表面保護
CS-21ビルダー (NETIS:CG-170009-A)

 本工事で使用したCS-21ビルダーNETIS:CG-170009-A2液混合型けい酸塩系表面含浸材)は、主剤:けい酸塩系表面含浸材と、助剤:水酸化カルシウム溶液からなる2液性であり、表層部の中性化した既設コンクリートにおける反応性を向上させた製品である。
 主剤と助剤の混合液を塗布するのみで、従来必須であった材料塗布後の散水を省略できるため施工性が良好である。また、助剤との混合により反応性・浸透性を損なうことなく、既設コンクリートにおいて劣化因子の侵入を抑制する効果が確認されていることなどから、本工事における微細ひび割れ補修を兼ねた表面保護材として選定した。

施工上のポイント

 当該橋梁には横断勾配がついており、橋面水の集中する箇所と、それ以外の箇所で床版コンクリートの劣化の進行程度に差がみられた。
 けい酸塩系表面含浸材は、浸透したコンクリート表層部の空隙を、主成分等の固形分、および主成分とカルシウム成分との反応物により充填することで緻密化し、効果を発揮する材料であり、塗布量(浸透させる固形分量)が少ない場合には、十分な効果が得られない場合がある。
 そのため、比較的健全な箇所に比べ、劣化の進行が進み、表層部の空隙が多く、けい酸塩系表面含浸材が浸透し易い箇所では、複数回塗布を行い、緻密化に必要なけい酸塩表面含浸材の塗布量(固形分量)を確保した。

【写真:CS-21ビルダー塗布状況 ⇩ 】

03_含浸材塗布状況

【写真:施工完了後 ⇩ 】

04_表面保護完了

まとめ・今後の展望

 当該工事では、現地調査結果から最適な工法と材料の選定を行うことができたと考えている。 
 既設コンクリート構造物の補修・補強工事においては、調査診断の結果から、各工事の特性に対応した、最適な工法の提案、材料の選定が重要である。
 今後も経験を重ね、各工事においてコンクリート構造物の長寿命化に貢献していきたい。 
              アストン協会会員・福美建設(株) 木原 壮史

              
 最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2021年9月号(P41-42)に掲載された「橋梁補修工事における『けい酸塩系表面含浸工法』による長寿命化対策」の転載(一部再構成)です。
 CS-21ビルダーなど、CS-21シリーズ製品による表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
 【新製品】新設コンクリートの表面保護材 CS-21ネオ(NETIS:CG-160013-VE 活用促進技術)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。